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なぜルネサスは、TSMCに勝てなかったのか “電子立国ニッポン”当時を知る日立のキーマンが語る(3/3 ページ)

業績が好調な半導体大手のTSMC。かつては日本も半導体が強い時期があった。なぜルネサスは勝てなかったのか。当時を知る日立製作所のキーマンが語った。

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半導体業界に学ぶ、国内モノづくり現場の次の一手

 半導体業界は、製造工程がシンプルなためBOPを整備しやすいという。主要な部品はチップの土台となるウエハーのみで、工程も「ウエハーに絶縁膜や導電膜などを付けて焼いて現像する作業を何十回も繰り返す」(無藤氏)というものだ。BOPとして公開すれば「何番のパターンで焼いてほしい」「何を何ミクロン付けてほしい」と注文すれば済む。

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半導体の製造工程がシンプルなためBOPを整備しやすいという(出所:無藤氏の講演資料)

 「自動車業界では、鋳造、機械加工、射出成形など工程が多岐にわたります。原料も鉄やアルミをはじめ多様なため、BOPを整備しきれません」(無藤氏)

 この特徴は、造船や電力インフラなどさまざまな分野で見られるという。では、日本のモノづくり現場はどうすればよいのか。無藤氏は、現場を理解する「フィジカルAI」が鍵になると述べる。現場の作業実績や製造実績に関する正確なデータを集め、AIに読み込ませてBOMやBOPを生成できるという。

 最初から「最適な工程になるようBOPを整備する」のは難しい。まずは「現場データを基に実態をBOPに落とし込むことから始める」という提案だ。BOPが完成した後で、品質の向上や発注の最適化などの改善サイクルを回し、改善点をBOPに反映するループを生めばよい。

無藤氏は「フィジカルとデジタルを一致させ、BOMやBOPを作るところにフィジカルAIを利用できます」と総括。その上で「信頼できるBOMやBOPがあれば、生成AIを使うときもハルシネーション(誤情報)を減らせます」と述べて「知の伝承と意思決定の高度化に生成AIを活用しやすくなります」と助言した。

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フィジカルAIを活用し、現場データからBOPを生成して改善サイクルを回す(出所:無藤氏の講演資料)

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