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なぜ、元・大企業の部長が「自席で地蔵」になるのか? 中小企業が陥りがちな“シニア採用”の落とし穴(4/4 ページ)

シニアの採用は活発化しているにもかかわらず、活躍できずに試用期間で終了してしまう事例が後を絶たない。どうすれば防げるのか?

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“不幸な別れ”を防ぐために、受け入れ側ができる「3つの工夫」

 互いに不幸な結果を招かないようにするため、筆者が考える3つの工夫を紹介したい。

「晩年の職歴」を見る

 まず、職務経歴書のどこを見るかが大切だ。特に、直近で何をしていたかに注目する必要がある。

 大企業には、中小企業ではポジション自体が少ない職種がある。内部監査や内部統制、IR、財務企画、営業推進、行政との折衝などだ。法務や税務も、中小企業では外部の専門家に任せていることが多い。こうした領域で長く働いてきた人は、立派な経歴があるが、中小企業で活躍の場を見つけにくい場合がある。

 「営業を20年経験した」という経歴でも、直近の15年が内部監査であれば、営業の知見は15年前のものになっている。経歴の長さではなく、直近で何をしていたかを確認したい。

副業や業務委託で迎え入れる

 次に、いきなり正社員として迎えるのではなく、副業や業務委託で一緒に働いてみることだ。業務委託であれば、成果物で評価する形にしておきたい。

 小さな仕事を切り出して任せ、その仕事ぶりを見る。営業経験者であれば、実際に商品を売ってきてもらうのが分かりやすい。月に1件、500万円の受注を取れるのであれば、年間でどれほどの売り上げが見込めるのか、どの程度の報酬を払えるのかの見通しも立つ。

 一緒に働けば仕事への姿勢や周囲との関わり方も見えてくるため、成果が確認できてから正社員やフルタイムでの契約に切り替えれば良い。互いを見極める期間を設けることで、企業と本人双方のリスクを下げることにつながるのである。

役割と権限を細かく決める

 役割と権限を明確にすることも有効だ。何を任せるのか、どこまで自分で判断して良いのか、誰の指示で動くのか。また、社長から直接指示を出すのか、役員の下で働いてもらうのかも、あらかじめ決めておくことだ。

 大企業出身者にとっては、ルールが細かければ細かいほど動きやすい。逆に言えば、ルールさえ明確であれば、その範囲内で安定して高い成果を出せる人も多いのである。

 ただし、決めたルールを頻繁に変えないよう注意したい。中小企業では、午前中に決めたことが午後には変わることも珍しくない。一方、大企業では一度決まった方針は、少なくとも1年は続くことが多い。社長の一声で方針が次々と変わる環境は、大企業出身者にとって大きなストレスになる。


3つの工夫をすれば、活躍の可能性は大いにある

力を発揮してもらうためには? 受け入れの設計次第で強力な武器になる

 大企業出身のシニア採用の成否は、企業側の工夫にかかっている。

 直近の経歴をきちんと見て、小さく試せる期間を設け、役割と権限を明確にする。そのうえで、本当に成果が出ると分かってから正式に迎え入れれば良い。

 一度の失敗で「シニアは使えない」と結論付けてしまうのはもったいない。受け入れ方を変えれば、大企業で培われた経験が、中小企業の大きな力になる可能性は十分にあるのである。

市原大和(いちはら・やまと)

BEYOND AGE 代表。大手企業での勤務経験を経て、シニアのセカンドキャリア支援に特化した事業を展開。これまで3000人以上のシニアの転職・独立を支援。


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