「スガキヤ」は今度こそ関東で成功できるか 過去には「2度の撤退」、克服すべき課題は?(2/2 ページ)
ラーメンチェーン「スガキヤ」が10月、約20年ぶりに関東へ再進出した。過去2度の進出はいずれも撤退に終わったが、今回は神奈川県から再び挑む。3度目の挑戦で関東に定着できるのか。
これまでの関東進出は2回とも失敗
スガキヤは関東で成功するのだろうか。前出の通り、過去に2度失敗した経緯がある。関東では1980年代に約50店舗まで拡大したものの、1990年代から縮小し、1999年に撤退した。別メディアの取材によると、工場から関東まで食材を配送する物流コストがネックだったという。また、品質の安定化にも苦戦したようだ。
他社の事例では、低価格の中華そばを武器に西日本へ進出した「幸楽苑」が、採算を確保できずに撤退した経緯がある。幸楽苑は撤退の際、京都工場を他社に譲渡した。
低価格チェーンの場合、工場を中心として周辺に店舗を増やさなければならない。埼玉県行田市に工場を置く「日高屋」が1都3県に集中しているのも同様の理由だ。また、遠方の店舗を管理する場合、本部から派遣する人員の交通費も軽視できない。
今回、スガキヤが東京ではなく、東海地方に近い神奈川県に出店したのも、物流コストを抑える狙いがあると考えられる。
2回目の関東進出は2004年で、高田馬場に1店舗を構えた。しょうゆラーメンを提供するなど関東に味を合わせたが、2年後に撤退した。当時はSNSがない時代で、同店の認知も広がらなかった。
今回の関東進出は「三度目の正直」となるか
過去の失敗例を踏まえると、スガキヤが関東で再展開を目指すには、まずは東海地方に近い神奈川県でドミナント出店を重ねる必要がある。賃料の高い都内では値上げを迫られる可能性があり、単品でワンコイン、セットで1000円程度という価格面の強みが失われてしまうだろう。
ただし、グループ会社の「寿がきや食品」が2021年から、即席めんを製造する群馬工場を稼働させている。同拠点を活用すればコストを抑えられるかもしれない。いずれにしても100店舗、200店舗と店舗数を増やすまでは、一定のコストを覚悟する必要がある。
また、関東と東海では認知度にも大きな差がある。東海では歴史が長いため、消費者の多くが子どもの頃からスガキヤを認知しており、ソウルフードとして定着している。一方の関東では、食べたことがない人も多いはずだ。
低価格チェーンという枠組みでは、マクドナルドやサイゼリヤも競合となりうる。商業施設で「安いものを食べたい」と考えた客がスガキヤの価格帯を知らなければ、他のチェーンを選ぶだろう。東海地方では、こうしたチェーンと同じ商業施設内に出店する店舗も見られるが、関東で同様の立地に出店しても成功するとは限らない。
三度目の正直となるのだろうか。関東での展開を成功させるには、当面のコストと認知度の差を克服しなければならない。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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