連載
「頑張る人が損をする」 増える「静かな退職」、社員の“自己犠牲”にタダ乗りしてきた企業が見直すべき8つのこと:AI・DX時代に“勝てる組織”(3/4 ページ)
「静かな退職」は個人の怠慢ではなく組織のゆがみへの防衛反応だ。精神論を脱し、社員が正当に報われる環境へと導く「8つの具体策」と実務に役立つ組織の診断項目を提示する。
施策7:「不本意な静かな退職」への早期介入
会社が注力してサポートすべきなのは「本当は会社に貢献したかったのに、失望と徒労感の末に静かな退職へと追い込まれた人」です。彼らが見せる以下のサインを見逃してはなりません。
- 以前より会議での発言や提案が明らかに減った
- 業務の改善アイデアを出さなくなった
- 後輩の育成や相談から意図的に距離を置くようになった
- 「どうせ言っても変わらない」というシニカルな発言が増えた
- 評価面談で具体的な不満やキャリアの希望を言わなくなった
- 休職や退職の話はしないが、外部学習や副業にだけ異常に熱心になっている
この層は、組織内にとどまっている「冷却初期」の段階で丁寧に対話を重ねれば、エンゲージメントを取り戻す可能性が十分にあります。逆に放置すれば心は完全に戻らず、転職市場が好転したタイミングで静かに去っていきます。
施策8:「バーンアウト」と「低意欲」を厳格に切り分ける
現場で同じ「発言しない」「追加業務を断る」という行動が起きていても、その背後にある理由は5つに分かれます。
- 価値観として昇進・業務の拡張を望んでいない(安定志向)
- 評価への不満によって会社に対して冷めている(制度への不信感)
- 異動などで仕事の適性が合っていない(配置のミスマッチ)
- 過負荷によって心身が壊れかけている(バーンアウト防衛型)
- 単純に低パフォーマンスで責任を回避している(意図的な怠業)
これら5つを十把一絡げに扱い、一律のモチベーション研修を受けさせたり精神論で発破しようとしたりすれば、マネジメントは必ず失敗します。特に、バーンアウト防衛型には「休息と業務再設計」が急務であり、意欲向上施策は毒となります。
一方、評価不満型には「公正な評価と対話」が、低パフォーマンス型には「厳格な期待値設定と改善プロセス」が必要です。事象の裏にある原因を的確に切り分けることがマネジメントの要諦です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「静かな退職」は“悪”か? それとも“賢い選択”か? 職場のモヤモヤを整理する4つのチェックリスト
「静かな退職」が注目を集めている。だが、それを単なる「怠業」や「若手社員の意欲低下」と捉えるだけでは、本質を見誤る可能性がある。企業はどこまでを許容し、どこから介入すべきなのか。向き合うべき課題を考える。
優秀な社員だったのに――なぜ「静かな退職」をするのか、どうしたら救えるか
指示通りに動くものの、最低限の仕事しかしない「静かな退職」。では、静かな退職状態になった社員は、二度と会社に対して心を開かないのか。本稿では、静かな退職が広まった6つの要因と実際に心を閉ざす「6つのペルソナ」をひも解き、健全な貢献を取り戻すための「5つの復活ジャーニー」を提示する。
不満はある、でもサボれない――「静かな退職」と「手を抜けない人」 働く意識の二極化
不満はある。けれど、仕事で手を抜くことはできない――。jinjerの調査からは、そんな“割り切れない働き方”をする人が一定層いるという実態が浮かび上がった。
