運転しているとニコニコ――「フィアット500」に乗ってきた(後編):試乗インプレッション
最新エンジンを積んで50年ぶりに蘇った“チンクエチェント”「フィアット500」。カーマニアならずとも、その走り、装備、乗り心地などは、大いに気になるところだろう。前編に引き続き、試乗インプレッションをお届けしよう。
運転しているとニコニコ――「フィアット500」に乗ってきた(前編)
ルパンも愛したコンパクトカーの代名詞“チンクエチェント”「フィアット500」が、新型になっていよいよ日本に上陸する。+D Style今年イチオシ!のこのクルマをさっそく試乗してきた。
取り回しラークラク、狭い路地もスイスイ
フィアット500のサイズは全長3545ミリ、全幅1625ミリ、全高1515ミリ、ホイールベース2300ミリ。規格ギリギリ(全長3.4/全幅1.48メートル以下)まで大型化した近年の軽自動車とほぼ同じくらいのその車体は、取り回しが悪いはずがない。さっそく路地に入って(実は迷い込んだのだが……)そのコンパクトさを実感した。5ナンバークラスが辛うじて2台すれ違えるほどの狭い路地でも、フィアット500はスイスイと走り抜けられる。最小回転半径も4.7メートルとこれも軽自動車並みだ。
コンパクトなボディのわりに室内はそれほど狭さを感じない。ただ、アイポイントが高めに設定されたシートのためか、ヘッドクリアランスは少なく、胴長の男性は頭上がやや窮屈に思えるかもしれない(その分、クルマとの一体感は味わえる)。シートはやや固めで長時間運転にも十分対応できそうな座り心地だ。
イタリア仕様車では4種類のグレード(ネイキッド/ポップ/スポーツ/ラウンジ)、3種類のエンジン(1.2リッター/1.4リッター/1.3リッターディーゼル)、12種類のボディカラー、9種類のホイールデザインが用意され、これらをベースにオリジナルステッカー(ボディ側面/ルーフ/ボンネット)や各種メッキパーツなどを自分の好みにカスタマイズすることができ、その組み合わせパターンは50万通り以上にも及ぶという。これにより「自分だけのコダワリの1台」を作り上げることができるのだ。
残念ながら日本仕様では初期導入予定の1.2リッターがラウンジとラウンジSS、近日導入予定の1.4リッターがポップのみとグレードも限られ、ボディカラーもラウンジが6色でラウンジSSが3色(ポップのカラー設定は未定)、シートやステアリングのカラーも選べないため、当初は“コダワリの1台”を作り上げることは難しそうだ。とはいってもそのスタイリングは、同じような顔ばかりが並ぶ日本車の中では十分に個性を発揮できることだろう。
走ることが“楽しい!”
さて実用域での走りはどうだろうか。試乗会の拠点・明治記念館のすぐ近くにある神宮外苑の周回コースでチェックしてみた。
前述の通り、デュアロジックをマニュアルモードで積極的に活用すると、信号のストップ&ゴーでもスッと流れをリードする加速を味わうことができた。試乗車では2人乗車と1人乗車で乗り比べてみたが、2人でも十分な加速は得られることを体感。
エンジンを回しての中高速域での加速を求めるのなら、近日登場予定の1.4リッター/100馬力DOHCエンジンを待った方がいいかもしれない。ただ、1.2リッター/69馬力のSOHCエンジンは低回転域から高い出力トルクを発生するため、ストップ&ゴーの多い街中の走りではほとんど不満を感じない。
いや、むしろ全身で力いっぱい元気よく走っている感が、ドライバーを“その気”にさせてくれるのだ。デュアロジックでクラッチの煩わしさから解放された分、よりエンジンを意識したシフトワークが行える。これは楽しい!
とにかく運転していると、ニコニコと自然に笑みがこぼれてくるクルマ――それがフィアット500だ。筆者は、フォルクスワーゲンのニュービートルが日本に導入された1999年にすぐ飛びつき、昨年までの約8年もの間ともに過ごしてきた。そのニュービートルの“ワクワク感”が、このフィアット500にもあふれている。
ガレージ(とお財布)に余裕があったなら、ぜひ手元に置いておきたい1台だ。
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