「FUJIFILM X-T10」のレンズ選び 中望遠単焦点レンズ編
軽量コンパクトでありながら美しい写真を撮影できる富士フイルムの「FUJIFILM X-T10」。上位機種X-T1のほとんどの機能を継承し、写りは同等。それでいて気軽に持ち歩けるという素晴らしいミラーレス一眼だ。初心者から上級者まで、撮影の喜びを味わえる魅力的なカメラであり、ぜひ単焦点レンズを組み合わせて使いたいカメラといえる。
前回は標準単焦点レンズ群、前々回は広角単焦点レンズ群を取り上げたが、フジノンXFレンズとX-T10の写りの良さを実感していただけたと思う。レンズが持つ光学特性とセンサーのマッチングが素晴らしく、鋭いエッジと深い色合い、トーンがうまく絡み合い、ハーモニーを奏でるかのような写りが実にいい。またレンズ自体の造りもしっかりとしたもので、モノとしての存在感も見逃せない。
さて、第3回目となる今回は、中望遠域の単焦点レンズ群を取り上げる。レンズは「XF56mmF1.2 R」「XF60mmF2.4 R Macro」「XF90mmF2 R LM WR」の3本をインプレッションしたい。
X-T10はAPS-Cサイズのセンサーを搭載するため、XF56mmF1.2 Rを装着すると35ミリ判換算で85ミリ相当、XF60mmF2.4 R Macroでは91ミリ相当、XF90mmF2 R LM WRは137ミリ相当の焦点距離となる。中望遠~望遠域に分類される長さだ。
被写体としてはポートレート、風景、スナップなどに向いている。どのレンズも絞り開放からキリッと立ち上がったシャープさを見せ、上質なボケ味が堪能できる。特にXF56mmF1.2 Rは絶品だ。これで女性を撮ると必ず喜んでもらえるからスゴい。瞳の周辺など際立たせたい部分はクッキリと、肌はソフトにうまく柔らかく描写し、色合いもほのかで優しいイメージに仕上がるのだ。背景ボケもスムーズで品があるが、よりクリーミーなボケを求める人には「XF56mmF1.2 R APD」という選択肢もある。人物をよりソフトに撮りたい人にはオススメだ。
XF60mmF2.4 R Macroは、マクロレンズらしくコントラストが高い描写が得られる。最短撮影距離が26.7センチと、静物や花、昆虫などの撮影から、開放F2.4という明るさを生かしてのポートレート撮影までこなせるレンズとなっている。
XF90mmF2 R LM WRは、防じん防滴耐低温構造のタフネスさを持つので、風景やワイルドライフ系の撮影でも安心して使えるはずだ。やや全長があるのでX-T10にはヘビーに感じるが、137ミリ相当となる距離感と、F2という明るさを活用して速いシャッタースピードが使えるのはこのレンズならではといえる。
3本とも実に魅力的な写りで素晴らしいのだが、もしこの中から1本だけ選ぶとしたら、個人的にはXF56mmF1.2 Rを推したい。
XF56mmF1.2 R
このレンズは女性ポートレート撮影に最高の1本だ。絞り開放から品を感じさせる描写だからである。X-T10を買ったらまず購入したい単焦点レンズと言ってもいい。背景のシルキーなボケも美しい。
チョイ絞りで撮るとシャープさがググッと際立ってくる。それでいて肌のトーンはささくれ立たないので女性を撮影する時に重宝する。X-T10に装着するとややズッシリ感があるがそれが逆に安定感を生んでいる。
人物だけでなくスナップから風景まで緻密で安定感のある描写がこのレンズのウリだ。リアリティのある立体感が素晴らしい。
XF60mmF2.4 R Macro
マクロレンズらしいきめ細かい写り。描写のおいしい絞り値を使って、クッキリとしっかりと笹の葉を捉えることができた。
91ミリ相当の長さなので人物撮影にもピッタリだ。やや固めの写りだが、X-T10のフィルムシミュレーションを上手く使ってやれば、女性でもいい感じに撮れることだろう。
東京湾の漁港をスナップ。コッテリとして濃厚な仕上がりは自分好み。ルックス的にやや古さを感じるレンズだが、この写りを見るとそんなことはどうでもよくなる。
XF90mmF2 R LM WR
137ミリ相当の焦点距離はかなり使いがいがある。街中をブラブラと歩いていても何かとちょうどいい長さに感じた。X-T10にはやや長めの鏡筒だが構えると意外とバランスがいい。
人物撮影の場合、この位の焦点距離で全身を撮るとプロポーションがキレイに撮れる。短かすぎず長すぎない距離感がいい雰囲気を出してくれる。モデルと背景の重なり具合を考慮して絞りを決めてシャッターを切ろう。
X-T10は防じん防滴ボディではないが、このレンズのタフネスさは頼もしい。しっかりとしたレンズの造りは構えるだけでそれを感じさせてくれる。絞り開放からグッと絞ってまで富士フイルムらしい発色を見せてくれるので、山岳からワイルドライフ、風景までガンガンと連れ出したいレンズだ。
画角比較
X-T10はAPS-Cフォーマットなので、1.5倍した数字が35ミリ判換算の焦点距離となる。開放F値、レンズとボディのバランス、撮影する被写体に応じてレンズをチョイスしよう。
(モデル:加藤美穂 オスカープロモーション)
※編注:本記事では一般的な撮影状態での利用を念頭に置いているため、人物撮影にレフ版などは利用していません
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
AIに200万円渡してネットショップを1年運営させてみた──Alibabaの研究者らがシミュレーション 資産14倍の例も
-
2
PHP脆弱性でいち早くサービス停止したコドモン 背景に「被害が出てからでは取り消せない」
-
3
人に注射を打てる「サイボーグゴキブリ」の群れが、がれき下の被災者を救助? 実験成功率72%
-
4
「お名前.com」 のFX自動売買VPS、不正アクセスで金銭被害か 「600万円の損失」「55万円なくなった」……報告相次ぐ
-
5
PayPay、「免許証画像で本人確認」廃止 ICチップ読み取りに統一
-
6
トランプ大統領、Googleに「大西洋」の改名を打診 ピチャイCEOが「大洋は勘弁を」と難色
-
7
「AIでエンジニア派遣は不要になる」のか? 各社に肌感を聞いた 求められる人材、明確に変化
-
8
デジタル庁、公式サイトへの問い合わせ最大1万3000件漏えいか Web制作ツール「Studio」不正アクセスで
-
9
1000万のWebサイトで「生きたAPIキー」が大量に“丸見え”状態? 大手銀行やインフラの鍵も 米スタンフォード大などが調査
-
10
PHP脆弱性“PoCフライング公開”の経緯、支援財団が公表 混乱広げた企業を名指しで批判
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR