デジタル処理は再現性から作品性へ――オリンパス:デジタルだからできること(3/3 ページ)
近年のデジタル一眼を語る際、注目すべきはミラーレス機の躍進。なかでもオリンパスの「PEN」シリーズは大きなヒットを記録した。そのオリンパスが考える「デジタルだからできること」とは何だろうか。
赤松氏: ライブガイドも考え方は同じです。撮りたい写真のイメージさえ持っていればいい難しい説明は必要ないのです。i-FINISHも内部的には、被写体の中で色の分布や頻度を認識し、主要被写体を目立たつよう部分的なコントロールしていますが、その原理は知らなくても“よい写真”は撮れます。写真はきれいなだけではく、感情とリンクしているものですから、その瞬間の感動を切りとって保存したいというリクエストに応えるため、さまざまなデジタル処理を活用しているのです。
寺田氏: 当然、カメラとしての基本であるレンズや撮像素子についての研究開発も続けていますが、デジタル処理については「画像解析によるイメージの提案、感動を画像とする力」にわたしたちの強みがあるのと思っています。
赤松氏: i-FINISHについては開発陣から提案があった機能です。さきほどの「画像解析によるイメージの提案、感動を画像とする力」に関する、ノウハウの蓄積が進んでいることの証しのひとつといえるかと思います。
――E-PL1では背面に動画ボタンが用意されています。E-PL1を手にした人が、デジタル一眼でどのような映像を撮ると想像しますか。
寺田氏: E-PL1では背面のすぐに押せる位置に動画ボタンを用意していますから、日常の風景を残すのがメインではないかと思います。ですが、デジタル一眼の動画については、部分的にビデオカメラを上回る能力・魅力を秘めていますから、ムービーメモカメラとしての用途にとどまるものでもないとも考えています。
デジタルカメラは既に「写真を撮る、動画を撮る」道具ではなく、コンテンツを撮る道具、その時の感情を残すための道具になっているように感じています。映像自体も動画共有サイトの普及で身近になっていますし、映像ならば写真と違う感情を残すことができます。わたしたちは「コンテンツを残すためのツール」としてカメラを使ってもらいたいので、そのカタチは写真でも動画でも構わないのです。E-PL1を決して、ビデオとカメラを1台にした便利な製品として見てほしくないのです。
この考え方はコンパクトデジタルカメラでも変わりませんが、デジタル一眼の方がよりメッセージを明確に伝えられると考えます。マイクロフォーサーズ自体、ライブビュー、そして動画撮影に強い構造ですし。ちなみにフォーサーズは再現性、マイクロフォーサーズがこれまでの領域を飛び出た製品という方向性を指向しているのは確かです。
赤松氏: アートフィルターやi-FINSHなどを搭載していますが、どれもゴールとは考えていないのです。使う方がカメラを手にした際に感じる欲求は1つではないですし、1つの機能や製品で答えられるものではありませんから。「音を残す」というのもそのひとつといえるでしょう。メーカーの立場から「カメラってこうだからこうしてね」ではなく、どれだけ多くの人の、多様なリクエストに応えられるか、に努力していきたいですね。
寺田氏: OLYMPUS PENは「これまでの一眼では難しいし、大きいし……。でも、良い写真はとりたい」というユーザーに向けて導入しました。写真を撮れば、その後に見せ合ったり、共有したり、さまざまな使い方ができるようになりますから、写真のファンを増やしていきたいのです。
そのアフターシューティングの答えのひとつとして、アプリケーションソフトウェアー「OLYMPUS Viewer 2」や「ib」を提案させてもらいました。写真愛好家中心で回ってきた業界ですが、より自分なりの素敵なコンテテンツを楽しむ人を作るのが、増やしていくのがPenの役割です。これからは撮影以外のソリューションも積極的に提供していきたいと考えています。
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