最新「20倍ズームコンデジ」は手持ちでもブレずに撮れるか? 5モデル検証(2/2 ページ)
各社から光学20倍前後の高倍率ズームレンズを搭載したコンパクトデジカメが多く登場している。いずれも強力なブレ補正の搭載をうたうが、実際のところはどうか?実験してみた。
どのカメラも合格点の出来栄え
結論から言ってしまうと、ほぼ各社とも手持ちで撮影してもほとんど手ブレする心配はなかった。高性能な手ブレ補正機能がいかんなく発揮された結果だ。若干、COOLPIX S9500はほかに比べるとややもやっとした印象を受けるが、これは光学ズームの倍率が22倍とほかよりも高く、また絵作りがシャープネスをあまりかけていないといったことなのかもしれない。
また晴天の屋外だったのも好結果につながったと言える。撮影された写真はシャッター速度は1/400秒〜1/1000秒で、1/640秒前後が多かった。焦点距離(35ミリ換算)よりも大きな数字のシャッター速度を使えばブレる可能性は少なくなるといわれるが、これだけの超望遠撮影になるとしっかりとフレーム内に被写体を収めるのにも一苦労する。わずかな動きでも画角がずれてしまうからだ。手ブレ補正がしっかりと効いているため、まったく見当はずれの場所を撮ってしまったというのもなかった。
検証とは関係ないが、超望遠撮影をしているとふとした動作で被写体をフレームから外してしまうことがよくある。こうなると再び同じアングルを探し出すのはとっても時間がかかってしまう。そうした場合は思い切って広角側に一度ズームレバーを戻し、再度ズーミングしながら被写体をフレームに収めよう。
デジタルズームを使うと1000ミリの世界がそこに
今回は光学20倍ズームで手ブレせずに撮影できるのかということをメインに検証してみたが、各社ともデジタルズーム機能も搭載しているので、そちらについても紹介したい。
デジタルズームとは、いわば写真を切り抜いたもので当然ながら、画質は低下するのだが、最近では画像補正技術も格段に向上しているため、なるべく光学ズームに近いような品質になるような技術が使われている。超解像ズームやプレミアムズームと言われているのがそれだ。
設定などは前ページと同じで、ズームレバーを目一杯望遠側にして撮影してみた。
デジタルズームに関してはそれほど期待していなかったのだが、各社とも観覧車の柱のボルト部分が認識できるほど描写されていたので、正直驚いた。その中でも群を抜いてシャープに再現されていたのはFinePix F900EXR。これは手ブレ補正がしっかり効いている事以外にも、センサーの大きさが関係していると思われる。ほかのカメラが1/2.3型なのに対し、F900EXRだけは1/2型なので、センサーサイズの分だけ精細感についても優れた結果が出たと考えられる。
手ブレと被写体ブレは違う
失敗写真の代表的なものとして、手ブレによるブレがあげられるが、ほかにもブレの原因はある。それは、被写体が動くことによって起こる「被写体ブレ」だ。これはどういった時に現れるかというと、屋内など光量が少ないシーンで、動き回る子供やペットを撮ろうした時によく出くわす。もちろん、屋外でも動きが激しければ当然、被写体ブレは起こる。
被写体ブレは撮影対象が動くことによって引き起こされるので、これはいかに手ブレ補正が優秀でもまったく対処できない。では、どうすればいいのかと言うと、これもシャッター速度を上げることで解決できる。具体的には、もしオートで被写体ブレして意図した写真が撮れなかった場合はシーンモードを「スポーツ」にしてみよう。こうすることで、速いシャッターで撮影することが可能だ。
カメラのモードダイヤルに「S」や「Tv」といった「シャッター速度優先AE」があれば、もっと細かくシャッター速度を自分で決めることもできる。その際に注意したいのは、冒頭でも述べたように露出の関係からやみくもにシャッター速度は上げることはできないのだが、それでもISO感度を上げることで速いシャッターを切ることができるようになる。
ただし、ISO感度を上げるというのは、カメラ内部で電気的にブーストして適正露出に必要な光量を確保するため、上げすぎるとどうしても写真にノイズがのってしまう。このあたりのシャッター速度とISO感度をバランスよく設定するのがデジカメ初心者にとって最初は少々難しいかもしれないが、一度勘所をつかめばすんなり理解できるはずだ。動いているものをピタリと止めて写したいのであれば1/500秒以上が目安となるが、まずは1/250秒くらいで試してみよう。
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