開放F1.2が描き出す、上質で近代的な世界――パナソニック「LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2」:交換レンズ百景
AF付きm4/3用レンズとしては最も明るい開放F値 F1.2を達成し、なおかつ手ブレ補正付きの注目製品。開放から使っていけるシャープさとクセのないボケ味は、さまざまなシーンを上質に描き出す。
オートフォーカス対応マイクロフォーサーズ用レンズとして最も明るい開放F値 F1.2と、光学式手ブレ補正を備えた大口径単焦点レンズが登場した。その名は「LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH. / POWER O.I.S」。ライカブランドをまとったパナソニックのレンズである。
レンズの質感は最高だ。アルミ削り出しの鏡筒は剛性感高く、フォトグラファーをやる気にさせてくれる。重厚で高級感あふれるレンズフードも同様の仕上げで、遮光性はもちろんルックスも上々だ。
初めて採用された絞りリングも若干クリック感が軽めながら操作していて実に心地よい。ただEVFをのぞきながら撮影に没頭していると、絞り操作時に時たま開放1.2から行きすぎてAマークのポジションに入ってしまうことがあったので、この位置で明確に「この先はAマークだよ」と指先に伝わる感触があるといいのではないかと思った。
写りはミラーレス用中望遠としては最上と言える。特にF1.2絞り開放から臆することなく使用できるシャープさと、美しく自然に拡散されていくようなボケ味、そして逆光にも強いコーティングは、様々なシーンで上質な描写を提供してくれるに違いない。
モデルの向かって左目にフォーカスして絞り開放で撮影。合焦したポイントの力強さとキレの良さ、そこから徐々にフェードしていくボケが心地よい。
このレンズのボケはとてもニュートラルに感じる。均等にススッと消えていくようなボケは近ごろの高性能レンズのトレンドになっているが、まさにそれである。クセのない上質なボケ味だ。悪く言えばそっけないボケでもある。
今回はDMC-GX7で撮影をしたが、若干レンズ重量を感じることがあった。ただしそれはとても軽微なもので、繊細で克明な写りを見てしまうと問題ではないような気もしてくる。50センチまで寄れるのもこのレンズの特長で、肉眼で注視したようなカットを撮ることが可能だ。
F8まで絞ってバスケットのゴールをシューティング。チェーンで構成されたネット部分のディテールが見事だ。ひとつひとつの鎖がさび付き、鈍い光を放っているのがよく分かる。日常的なスナップ撮影でも実用的だ。
太陽をフレームに入れて満開直前の桜を撮影した。ナノサーフェースコーティングのおかげか、イヤなゴーストの発生も特になく、透明感溢れるヌケのいい写真となった。
壁に落ちる桜の影を入れて、停まっているクルマのエンジンフードにフォーカスして撮影。クルマのメタリックな質感から、壁の質感までしっかりと描写できている。春の夕方の淡い色合いもイメージ通りの再現となった。
日が落ちた商店街をバックに、モデルの瞳に映るハイライトにフォーカスしてシューティング。自然で上質なボケの中に、凜としたまなざしだけが狙った通りに浮かび上がった。F1.2開放ともなるとピント合わせも慎重になるが、GX7のピンポイントAFとこのレンズの相性は抜群であった。
F1.2で明るい上に光学手ブレ補正機能搭載なので、暗い場所でのポートレートも貪欲に撮影できるのがこのレンズの魅力だ。また点光源などのボケ味もニュートラルで、メインの被写体を損なうことがないので好感が持てる。モデル、スナップ、風景にと明るさとシャープさ、そしてボケ味の良さを求めるマイクロフォーサーズユーザーなら使ってみたい一本に仕上がっていると思う。
(編注:本記事では一般的な撮影状態での利用を念頭としているため、人物撮影にレフ版などは利用しておりません)
(モデル:萩原誠子 オスカープロモーション)
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