どんなシーンもオールマイティにこなせる安心感――ソニー「FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS」:交換レンズ百景
「α7 II」はもちろんだが、他のα7シリーズのカメラにもぜひ付けておきたい、オールマイティな10倍ズームレンズが登場した。少々重さはあるが、明るい単焦点レンズと組み合わせてシステムを作りたいレンズだ。
ソニーのEマウント用高倍率ズームレンズ「FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS」をα7 IIに装着して、ブラブラと撮影を楽しんだ。やや大きくて重たいレンズだが、10倍ズームは街歩きでのスナップにとても重宝した。
レンズのデザインは「α7 II」にピッタリとマッチするストレートなもの。手にした感じもシンプルな印象だ。12群17枚で構成され、レンズ内手ブレ補正機能を有するこのレンズは、780グラムとズッシリとした重さを感じるかもしれない。またズーミングした感触も重めだ。大幅に画角を変える際にはややスムーズさに欠けるので注意が必要である。
24ミリスタートの10倍ズームレンズということもあり、スナップや旅行など、オールマイティーに重宝すると感じた。ワイド側で引きのない狭い路地から室内を、テレ側で遠くの山々や風景などを余すことなく撮影可能だ。また最短撮影距離も50センチ〜80センチなので、マクロ的に小さな被写体を大きく撮ることもできる。
高倍率ながら描写は悪くない。全体的にコントラストも高くヌケもよい。前後のボケはややうるさいが許容レベルだと感じた。少し絞って撮影すれば、画面中心部からシャープな写真を手にすることができるはずである。これ1本であらゆるジャンルの撮影が可能なので、フルサイズのEマウントユーザーにとっては気になる高倍率ズームレンズだろう。
高倍率ズームレンズはさまざまなシーンで重宝する。ワイドからテレまであらゆる被写体を捉えられるからだ。ふと訪れたお寺の門を見上げて1ショット。照明のディテールや門の塗装の色合いまで自然な写りである。
10倍ズームともなるとテレ端はF値が暗くなってしまうもの。α7 IIは高感度性能もまずまずだが、やはり暗所ではよく効く手ブレ補正機能が頼もしいシーンも増えてくる。石仏の質感も見た目通りに撮れて満足。
ワイド端では周辺光量が低下するが、F8まで絞ってしまえば気にならないレベルに改善される。パースペクティブを生かしたワイド感あふれるカットを楽しんでみよう。
高層マンションをややアンダー気味にキリリとシューティング。シャープな印象を出してみたが、画面中心部はイメージ撮りキリッとした写りとなった。
大きくて重たいレンズだが、これをボディに装着しておけばたいていのものは撮影できる安心感が嬉しい。街中をブラブラと散策中、気になったものがあればササッとフレームを決めて撮影が可能だ。
F11まで絞って手前の緑から、橋を渡る電車まで被写界深度内に収めて撮影。周辺の描写は流れ気味だが、コントラストと色合いはなかなかのもの。午後の清涼感が伝わってくるカットとなった。
ワイド端でもフルサイズ機で撮影すれば背景をぼかすことができる。ボケはやや二線ボケの傾向があり、逆光時にはフレアが出やすいので、光源の位置には気をつけてフレーミングしたい。
α7シリーズを所有していて、気軽なオールマイティーレンズを探している人には最適なレンズだろう。これに明るい単焦点レンズを組み合わせて撮影旅行に出れば楽しいに違いない。
近接撮影に強いのもこのレンズの特長だ。自然なボケ味と、雰囲気のある色再現性を生かして花を撮影してみたが、しっとりとした仕上がりとなった。万能な高倍率ズームはブラブラ撮影にピッタリ。
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