本大好き司書メイドの好感度を上げ、年に一度のデート権を得るべく繰り広げられるメイドたちのラブアタック。連載15回目は、司書見習いのサヤがやってきましたよ。今日、手にしているのはどの本でしょうか……。
街の片隅に、メイドが営む私設図書館がありました。
そこには書架を守る司書メイドがいます。ほんわりおっとりした司書メイド ミソノに、淡い思いを抱くメイドもいるようです。
ミソノの好感度を上げようと、今日もお気に入りの1冊を持って、メイドがやって来ます。
太陽がまぶしい季節がやってきました。夏は外に遊びに行くのもいいですが、涼しい図書館にこもって読書にふけるのもいいですよね。
その通りですねー。日陰でページを開く幸せ……。
今日はそんな夏の読書にぴったりの『夏の庭―The Friends』を持ってきました。あ、でもこの本は空調の効いた図書館というよりは、学校の、開いた窓から風が少しだけ入ってくるような暑い図書室が似合いそうな気がいたします。
あら、それもまた素敵ですね。
わたくしのイメージですと、とにかく、夏になると必ず読みたくなる一冊です。
夏の必読書!
『夏の庭―The Friends』は、夏休み中の少年三人が「死」を見るために、近所のおじいさんを見張ろうというところから始まります。その少年たちのノリが「じーさんが死ぬとこ見ようぜ☆」みたいな感じで、すごく軽いんです。びっくりするほど軽い。ちょっと不謹慎かとも思えますが、でも少年たちにとっては本当に興味だけなんですよね。「死」を知らないからこそ純粋で無邪気というか。
もちろん少年たちが見張っていることはすぐにおじいさんにばれて、そこから少年とおじいさんの交流が始まって、最終的におじいさんは死にます。(はしょりすぎてごめんなさい……)でも、おじいさんが死んだときの少年たちはですね、本当に最初の「じーさんが死ぬとこ見ようぜ☆」的少年とは思えないんです。すごくおじいさんの死を悲しんでいるんです。本当に切実な感じで。あの無邪気さはどこへやら、なんです。
このシーンはおじいさんとの交流と「死」によって、少年たちがすごく成長したんだということが伝わってきて、この本の中で一番ぐっとくるところですね。最初とのギャップもあって、すごく涙を誘います。いつも「今回こそは泣かない!」と思って読み始めるのですが、どうしてもこのシーンで泣いてしまいます。なんとなく悔しいのですが。
やっぱり「死」が扱われている作品って、雰囲気が暗くなってしまうように思うのですが、この作品は全然そんなことはありません。「死」によって少年たちの成長が描かれているので、未来が開けている感じがするのです。前向きな気持ちになれて、読んだ後はすごくさわやかです。
夏は怪談を読んで涼しくなるのもいいですが、『夏の庭』を読んでさわやかな気持ちになりませんか?
……超絶ネタばれですね! でもきっと、サヤちゃんはそこを踏まえても、この夏の物語の「ぐっとくる」感はけして薄れない! と思ったからこその紹介なんですね。さわやかな気持ちになりたくなってきました!
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