「金の稼ぎ方を教えてやる」――少年誌で、株価チャートまで学べるって何電子コミック・プチレビュー

あるに越したことはないお金の知識。今回ご紹介する『M.I.Q』は、株価チャートの見方から、経営のイロハまで学べてしまう、素敵なマンガです。

» 2014年12月05日 10時00分 公開
[新崎幸夫,ハートコミックス]

 今回ご紹介する『M.I.Q』は、タイトルだけでは何のマンガか、ピンとこないかもしれません。これは「マネーのIQ」の略で、お金に関する知識を高めることが重要だということを教えてくれるマンガです。

これが黒場新太。サーファー&長髪という、およそ教師らしからぬキャラですが、株価チャートの見方にも精通した「マネーの達人」です

 主人公は、高校生の三浦アキラ。しかし、真の主人公は、そのアキラにマネーの極意を教えてくれる教師、黒場新太(くろばしんた)かもしれません。テーマ的には青年誌? と思いきや、週刊少年マガジンで2004年から2005年にかけて連載されていた、少年マンガだったりします。

 黒場が生徒たちに語ったのは、社会の「ルールが変わった」ということ。従来は、いい学校を出て、いい会社に入って、マイホームを買っておけば、土地の値段も給料も右肩上がりで、人生がスムーズに進んだが、これからはそうはいかないとデータを示しながらズバズバと説明していきます。何となく、30代や40代のサラリーマンの方が共感してしまう内容ですね。

 そんな黒場が発表した驚きの授業内容、それは、「100万円を、1カ月で倍にする方法」を考えろというものでした。

100万円を、1カ月で倍にする方法を考えろ!!

 さあ、読者の皆さんも、少し考えてみてください。100万円を倍にするには? これが可能なら、皆さんのリアルな預貯金が、いくらか増えるかもしれませんね。もちろん、「競馬やパチンコで……」といったギャンブル性の高い案は論外。黒場から、「全員――アウトだ!!」と切って捨てられてしまいます。

 誰もが答えを出せず、返事に窮する中で、優等生キャラから衝撃の発言が飛び出します。そのアイデアは、何と「貯金」。

今はデフレで物価が下がってるから……結果的に増えるコトになるんだ(キリッ もっともらしい論理ですが、果たして黒場は?

 支持者も多い貯金案ですが、黒場は「2倍にするには2000年かかるんだよ!!」とバッサリ。確かに、今の日本の低金利では、貯金は、あまりよい投資先とはいえません。

 これを受けて、可愛いキャラの女子高生が、こう答えます。「タイに行きたいです!」――その心は、「タイなら物価が半分ぐらいだから――200万円分の生活ができるでしょ!」。なるほど、そうきたかという回答ですが、これに黒場はこう答えます。「正解!!」

 さあ、主人公の三浦は、どう答えるのか? そしてそれは、正解なのか、不正解なのか? 続きは、実際に自分の目で確認してください。ここから続く、黒場の一連の授業は、むしろ社会人に勧めたい充実したものになっています。

 最後に、筆者が感銘を受けたセリフをひとつ。

今の大人たちが作っちまった大借金…
そのツケは全部――
お前たちが将来稼ぐ金から
払わされるんだよ!!

 まさに、おっしゃる通り。今の若者たちに、未来はあるのでしょうか。選挙を前に、思わず日本社会の今後に思いをはせてしまうマンガとなっています。M.I.Qは、全3巻。現在ハートコミックスなどで、基本無料にて読むことが可能です。

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