本屋探訪記:週末はレトロ映画図書館「駒鳥文庫」に行こう

BOOKSHOP LOVER=本屋好きがお届けする詳細な本屋レポ。本屋が好きならここに行け! 今回はまるで昔の映画館と図書館を混ぜ合わせたような空間が楽しい大阪天満宮そばの「駒鳥文庫」を紹介。

» 2014年12月13日 09時00分 公開
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 ここも雑誌で知った。大阪市北区天神橋にある大阪天満宮。その参道にある「駒鳥文庫」は、映画関連専門の古書店である(以下は2014年2月7日の記録だ)。

おばあちゃん家のにおいに包まれた映画の本専門店

 入るとまず懐かしいにおいがすることに気がつく。どこか落ち着くこのにおい、おばあちゃん家のにおいだ。

 落ち着いたのはガスストーブが暖かいからというばかりではない。レトロなブラウン管テレビに古い白黒映画が映っている。BGM代わりになっているのだが、これが店の雰囲気と非常によく合っている。

 駒鳥文庫は「鳥」と名前につくので生物図鑑や専門書が多いかと思いきや、映画の本専門店なのである(ちなみに鳥の本は屋号『駒鳥姉妹店』で出張出店している)。だから、並ぶ本は映画についての本ばかり。自分が映画をあまり観ないことをこのときほど悔やんだことはない。

映画にまみれられる店内

 入り口から右方向に空間が広がった長方形の店内。入ってすぐ目の前にはソファーとローテーブルがある。なぜソファがあるのかというと、ドリンクを提供しているからだ。とはいえあくまで古本屋がメインなので出せないときもあるらしい。値段は300円。お手ごろである。テーブルに置かれたバラの一輪挿しも洒落ている。

 真ん中には木製の梯子が壁沿いの天井まで届く本棚の足がかり。レジカウンターは右奥で周囲は本でいっぱいだ。

 ちなみに映画がどこで上映されているかというと、入口の辺に少しの空間。そこに駒鳥印のポストと昔のテレビがある。上映場所はこのレトロなテレビだ。

 ところどころに映画にまつわる小物や鳥にまつわる小物があって面白く、飽きずに本棚を眺めていられるのが素敵だ。

駒鳥書店で読みたい映画の本6冊

 そんな映画まみれの店内。背の高い本棚から僕が読みたくなった本が以下の5冊だ。

  • 『日本映画発達史』
  • 『植草甚一スクラップブック 映画はどんどん新しくなってゆく』
  • 『世界映画史』
  • 『映画の創りかた』
  • 『手塚治虫大全』

 映画をあまり観ない僕であるがこうも映画の本ばかりが並んでいると、否が応でも興味が湧いてしまう。どうやって映画が発達してきたのか、とかどうやってつくっているのか、とか。植草甚一は文章が好きだし手塚治虫はそういえばあまり読んだことないんだよな。

 知らないジャンルもこうやって見ると楽しそうで、ついついたくさん買い込みそうになる。いかんいかん。

駒鳥文庫はレトロ映画図書館である

 入ったときから漂う昭和の香り。ところどころに散りばめられた心憎い演出。俳優が書いたエッセイや古い映画のパンフレット。極めつけは古いテレビで流される名作映画。

 駒鳥文庫はまるで昔の映画館と図書館を混ぜ合わせたような空間である。そう、子ども時代に誰もが大好きだったあの閉鎖的な空間だ。まさか大阪に来て出会えると思わなかった。

 店主も気さくな良い方で天満橋まで行ったら寄りたい場所ができたと取材を終えてから独りほくそ笑む僕なのであった。

移転しています

 先にも書いてあるように本記事は2014年2月7日の記録だが、どうやら同年10月末に移転したようである。訪問時よりも駅にほど近く広い店舗。どんな店づくりになっているか気になって仕方ない。これからの展開に期待である。


著者プロフィール:wakkyhr

本屋開業を目指す本屋好きサラリーマン。ブログ「BOOKSHOP LOVER」を中心に活動。同名のネット古本屋も営み、「Cannes Lions 2013 Book Project」ではプロデューサーを務める。理想の本屋さんを開くべく本の世界で縦横無尽に活動中。好きな作家はクラフト・エヴィング商会。一番好きな本屋は秘密。

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