定番から話題作まで! 料理バトルが熱いグルメ漫画8選

» 2015年08月28日 15時30分 公開
[ぶくまる]
ぶくまる
定番から話題作まで! 料理バトルが熱いグルメ漫画8選

 数あるグルメ漫画の中でも、スポ根的な勝負の面白さやスリリングな展開を味わえるのが、料理バトル漫画です。

 今回は、ストーリーが面白くて、かつ料理のウンチクやレシピまでゲットできてしまう「おいしい」料理バトルが描かれている漫画から、お勧めの8作品をご紹介します。

料理バトル漫画の新定番! 『食戟のソーマ』

食戟のソーマ 1

食戟のソーマ』 附田祐斗・佐伯俊・森崎友紀/集英社

 ひと昔前のブームから一度は落ち着いた「料理バトルもの」というジャンルに、再び火をつけた作品です。2015年4月にはテレビアニメも放送され、まさに今が旬。まずはこちらからご賞味あれ。

 下町の定食屋の息子・幸平創真(ゆきひら そうま)は、ある日突然、名門の高級料理学校へ入学させられます。「成績不振者は容赦なく退学」というスパルタな環境の中、創真は勝ち残るため、そして仲間を守るために、料理対決「食戟」の場へ臨むのでした。

 この漫画の面白さは、低コストの食材を使う「定食屋の息子」創真が、アイデアと料理技術を駆使して、高級料理を作るライバルたちに立ち向かうところにあります。学園もの的な面白さもあり、部活動の喜怒哀楽や仲間との友情、ラブコメな場面も盛りだくさん。登場するキャラも、「神の舌」を持つ学園のお嬢さま・薙切えりなをはじめ、手ごわいライバルからドジっ娘クラスメートまで、実に個性的なラインアップで読ませてくれます。料理対決の場で審査員の見せる反応が、男女問わず妙に色っぽいのもオマケの1つ。

 本作は、『週刊少年ジャンプ』でサッカー漫画『少年疾駆』を連載していた附田祐斗先生が原作に専念し、おいしそうなグルメ表現と、官能的かつ魅惑的な描写で話題の佐伯俊先生が作画を担当しています。料理研究家の森崎友紀さんが監修を務める本格グルメ漫画でもあり、特別付録として登場した料理のレシピもついているので、読んだ後は実際に作ってみたくなりますよ。

『食戟のソーマ』を立ち読みする

庶民派の少年コックが大活躍 料理バトル漫画のスタンダード『ミスター味っ子』

ミスター味っ子 1巻

ミスター味っ子』 寺沢大介/講談社

 『将太の寿司』や『喰いタン』の作者であり、料理漫画の大御所・寺沢大介先生の代表作。アニメ化され、長年愛され親しまれてきた、グルメ漫画の金字塔的作品です。

 主人公の味吉陽一は、亡き父が残した大衆食堂を母とともに切り盛りしている少年。ある日、「味皇」と呼ばれる料理界の大物が店を訪れ、陽一の才覚を見抜きます。一躍、名の知られる存在となった陽一は、大人の料理人たちに挑戦され、意地と誇りをかけて戦うのでした。

 一流シェフが高級食材で挑んでくるのに対し、陽一はあくまで大衆食堂のコックとして技術と工夫をこらし、「自分の味」を創り出して張り合うところが痛快です。陽一を育てる味皇の、美味を食したときのユニークなリアクションや、

材料は金さえ出せば誰にでも手に入る 大事なのはこれを調理する料理人の技量だ

といった、コクのある数々の名言も語り草になっています。

 また、料理を食べて「すばらしい、すばらしいぞう」と叫ぶ脇役キャラが、『コータローまかりとおる!』の蛭田達也先生によって「須原椎造」と命名されるなど、ファンが思わずニヤリとする逸話も。

 続編の『ミスター味っ子II』では、陽一の息子・陽太が主人公。親子2代に渡る、壮大な味っ子伝説をお楽しみください。

『ミスター味っ子』をチェックする

悪役シェフが手段を選ばず戦う、異色の料理バトル! 『鉄鍋のジャン』

鉄鍋のジャン 01

鉄鍋のジャン』 おやまけいこ・西条真二/KADOKAWA/メディアファクトリー

 本作は、西条真二先生の迫力ある絵柄で描かれた、ダークテイストの料理バトル漫画。続編の『鉄鍋のジャン!R 頂上作戦』と併せて、先生の代表作となっています。

 主人公の秋山醤(ジャン)は、少年ながらすご腕の料理人。中華の名人である祖父から虐待に近い猛特訓を受けて育ったために、自分の料理に対して異様なプライドと愛情を持ち、ほかのシェフには暴言と無礼の限りを尽くします。そんなジャンが勝負への執念でさまざまな料理人とバトルを繰り広げるストーリーです。

 主人公のジャンは、料理漫画のみならず、他のジャンルにおいても珍しい「ダーティーヒーロー」です。ほかのキャラも、性格や言動に極端なところがありますが、ジャンのヒールっぷりの個性は作品中随一と言えます。そのため、西条先生の濃密で鮮烈な描写とも相まって、他の作品とは一味違う料理対決を楽しむことができます。料理勝負の場になると、相手を追いつめて徹底的に勝利を奪いとろうとし、負ければ自身の身体を痛めつけてまで悔しがるジャンは、一度読むと忘れられない強烈なキャラクターです。

 フードコーディネーターのおやまけいこさんが監修をしているだけあって、中華料理における火力の重要さ、食材の扱いや処理の仕方などに、説得力とリアリティが感じられるのも、作品に奥行きを与えています。おやまけいこさん自ら紹介する、家でも作れる料理レシピの解説も見どころ。

 「いい人キャラはお腹いっぱい」という方は、ジャンがかもし出す退廃的ムードと、ダークファンタジー的な世界観で、スパイシーなお口直しをしてみてはいかがでしょうか。

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つぶれかけた店を救うため、天才カレー職人が躍動『華麗なる食卓』

華麗なる食卓 1

華麗なる食卓』 ふなつ一輝・森枝卓士/集英社

 エロっ気とギャグ満載の妖怪漫画『妖怪少女―モンスガ―』を連載中のふなつ一輝先生が描く『華麗なる食卓』は、実に正統派のグルメ漫画です。料理研究家の森枝卓士さんが監修を務め、調理シーンの後にその料理のレシピが紹介されています。49巻におよぶ長編漫画ながら、登場する料理のほとんどがカレーという、「カレーの事典」的な漫画です。

 主人公の高円寺マキトはシンガポール生まれの日本人。亡き母が編み出したチキンカレーのレシピを求めて東南アジアを流れ歩き、カレーの腕を磨きました。レシピの手掛かりを追ってやってきた日本で、恩人の店「ガネーシャ」がつぶれかかっていることを知り、シェフとなって再建に取り組みます。そしてガネーシャを守るため、得意技のカレーで料理バトルに挑むのでした。

 見どころは、読んだ後に必ずカレーを食べたくなってしまうほどおいしそうに描かれたカレーの数々。料理バトルでは、ありとあらゆる種類のカレーが登場し、「カレーって、こんなにバリエーションがあったのか!」と驚かされます。

 また、一見ちゃらんぽらんなマキトが、カレーを通して客が抱える悩みを解消したり、ヒロイン・結維とのきずなをはぐくんだり、ハートウォーミングに展開する人間ドラマも魅力の1つ。女性キャラのセクシーカットが意外に(?)多いのも、ある意味見どころです。

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中国王朝ファンタジーな料理バトル。これぞ真の中華対決! 『中華一番!』

中華一番! 1巻

中華一番!』 小川悦司/講談社

 続編の『真・中華一番!』とともに、小川悦司先生の代表作であり、アニメ化もされた人気作です。

 舞台は清朝時代の中国。四川料理の天才少年であるリュウ・マオシン(劉昴星)は、修業のために広州の陽泉酒家で働くことになります。あるときは師匠からの難題に答えるため、あるときは試験に合格するため、またあるときは悪人をやっつけるために、マオが持ち前の鋭い味覚と正義感で料理バトルへ挑むストーリーです。

 登場する料理や調理過程の描写が細かくてリアルな一方、不思議な技やマジカルな厨房(ちゅうぼう)道具も活躍するという、料理バトルと王道ファンタジーの両面を持つ漫画です。中国王朝モノならではの衣装や習俗、動乱の時代といった要素も楽しめます。悪者との生死をかけた対決や、胸のすく勧善懲悪なストーリーなどは、時代ものだからこその面白さ。子どもでもハマるような明快さと、大人でもうなるディテールの細かさを兼ね備えた、良質のエンターテインメントといえる作品です。

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料理バトル漫画の巨匠がすし業界を描いた名作『将太の寿司』

将太の寿司 1巻

将太の寿司』 寺沢大介/講談社

 先にご紹介した『ミスター味っ子』を描いた料理バトル漫画界の重鎮・寺沢大介先生の第二の代表作です。続編に『将太の寿司〜全国大会編〜』『将太の寿司2 World Stage』があり、ドラマ化もされました。ちなみに、コミックスの第1〜2巻は『マガジンSPECIAL』連載版で、将太は18歳。第3巻以降の『週刊少年マガジン』連載版は、15歳という設定で新たにスタートしています。

 主人公・将太の家はすし屋ですが、横暴な同業者に妨害され窮地に立っていました。将太は家業の再興を志して上京し、名店・鳳寿司の雑用係に。努力を重ねて頭角を現した将太は、宿敵である同業者に苦しめられつつも、日本一を目指してすし職人コンクールを勝ち上がっていきます。

 バトル漫画の王道ともいえる迫力ある勝負、グルメ漫画の醍醐味(だいごみ)である料理のうんちく、スポ根漫画にも通じる熱い努力と友情など、面白さのツボがきちんと押さえられているのは、さすが寺沢先生。すし職人仲間との人間模様や、故郷の彼女との遠距離恋愛など、人間ドラマ的に「泣ける」のもいいところ。「昨日の敵は今日の友」という、爽やかな後味も秀逸です。

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日本人ならではのパンを作る天才少年! 『焼きたて!!ジャぱん』

焼きたて!!ジャぱん(1)

焼きたて!!ジャぱん』 橋口たかし/小学館

 ドラマ化もされた医療漫画『最上の命医』の橋口たかし先生が、持ち前のギャグの腕を存分にふるった料理バトル漫画です。アニメ化され、大手パンメーカーとのコラボなども話題となりました。

 パン作りに適した「太陽の手」を持つ少年・和馬は、「世界に誇れる日本のパン=ジャぱん」の開発に情熱を注ぎ、独自のレシピを考案していました。和馬が就職した有名パン屋「パンタジア」には、店の乗っ取りをたくらむ者たちが、刺客を次々と送り込んできます。送り込まれたすご腕のパン職人たちと繰り広げられるパン作りバトル。女性店長・月乃と店を守るため、和馬は親友の河内と協力し、戦いに臨むのですが……。

 読みどころは「日本人の心に刺さるパン」を通じて触れられる、さまざまなトリビアです。酵母菌と発酵の関係、クロワッサン焼きの難しさなど、目からウロコの情報から、和食って、食文化って何だろう……と思わされる深い料理哲学まで、パン職人の熱意が詰まっています。

 もう1つのお勧めポイントは、作品内で展開されるエキセントリックな超展開とギャグの数々。「パンの漫画で笑えるの?」と思ったあなた、だまされたと思って一度読んでみては? 今や伝説となっている、驚がくの最終回も必見です。

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前代未聞の魔法✕弁当バトル! 『マジカルシェフ少女しずる』

マジカルシェフ少女しずる(1)

マジカルシェフ少女しずる』 水あさと/アース・スター エンターテイメント

 青春ラブコメ『デンキ街の本屋さん』がアニメ化されるなど、注目の漫画家・水あさと先生が放つ、異色の料理バトル・ファンタジーです。

 世は「大弁当時代」! 不況の中、節約術を探した人類は「弁当」に注目し、特異な弁当づくり能力「ツールズ」を進化させました。主人公・しずるは、能力を持たない「落ちこぼれ」ながら、行方不明の母を探すため、超エリート学校「国立大勉富学園(ベンガク)」で学んでいます。次々に挑まれる弁当バトルの中で、母の包丁によって秘められた能力を開花させていくしずる。そして、かつて伝説と呼ばれた天才料理人の母の姿が次第に明らかになっていくのでした。

 卵をふわふわにするために5億回かき混ぜたり、時間を止めて調理をしたりと、ツールズに頼るライバルたちに対し、しずるの武器は「弁当づくりへの愛情」。冷めてもおいしく食べられる方法や、ウインナーをパリッとした食感にする工夫など、今すぐ使える弁当作りのテクニックも盛り込まれながら、大事なのは「食べる人への思いやり」であることを思い出させてくれます。マジカル少女モノ、学園モノとしても楽しめる、まさに料理バトル漫画界究極の個性派作品といえるでしょう。

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まとめ

 いかがでしたか? 料理バトル漫画は、できたてほやほやの料理の絵で目と心を満たしてくれるだけでなく、スリリングな対決から料理のヒントまで、魅力が盛りだくさんです。読んでおいしく、作っておいしい料理バトル漫画を、どうぞご賞味ください。

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