特集
2003/07/29 17:53 更新
UNIX USER03年8月号特別企画より転載:
FreeBSD 5.1-RELEASEにおける新機能の概要と活用例 (1/6)
FreeBSD 5.1-RELEASEでは、NSSモジュールへの対応やjailの機能強化など、さまざまな変更が行われている。とくに重要だと思われる変更点をピックアップし、具体的な活用例を挙げながら解説する。
UNIX USER 2003年8月号より転載
完成度の向上した5.1-RELEASE |
実際に使用してみると、5.0-RELEASEと比較してかなり完成度が上がっており、実験的ながらもamd64(AMD Opteron 64ビット)アーキテクチャにも対応している(注1)。
5.0-RELEASEから追加された主な新機能を表1に示しておく。セキュリティに関する修正は除外しているが、具体的なアップデートに関してはセキュリティブランチのCVSupを利用すると良い。
本稿では、この中からとくに重要である以下の新機能について、実際の利用法を紹介しながら解説しよう。
[UNIX USER特別企画] FreeBSD 5.1-RELEASEにおける新機能の概要と活用例 |
(1) 完成度の向上した5.1-RELEASE |
(2) nsdispatchのNSSモジュール対応 |
(3) jailに追加された機能 |
(4) ULEスケジューラ |
(5) FireWire/DVTS〜新ブートローダー |
(6) VMware 3用のports〜5.2-STABLEに向けて |
表1 5.1-RELEASEの主な特徴
カーネル関連 | |
シングルプロセッサのAMD Opteron(amd64)アーキテクチャに対応 USB 2.0コントローラehci(4)の追加 LinuxエミュレーションのIPv6サポート SMPに適したプロセススケジューラULEの導入(カーネルコンフィグファイルで新旧どちらのスケジューラを利用するかを選択。GENERICカーネルでは旧スケジューラを利用) デバイスのメジャー番号の動的割り当て SMPカーネルへのHyperThreadingの初期的サポート(machdep.hlt_logical_cpusとmachdep.hlt_cpusの2つのsysctl変数が追加された。詳しくはsmp(4)参照) PAE(Physical Address Extensions)のサポートにより、Intel P6アーキテクチャ以降で64GBの物理メモリが利用可能となった。ただし、プロセスの論理メモリ空間は4GBのまま(デバイスドライバ側でのDMAに関する対応もあるため、必ずしもすべてのデバイスでPAEが使用できるわけではない。詳細はpae(4)とカーネルコンフィグファイルPAEを参照) ブートローダーが新しくなり、boot1とboot2という2ファイルから、bootという1ファイルに変更(カーネルのあるルートパーティションは1.5TB以内) USBイーサネットドライバaxe(4)、rue(4)の追加 nsdispatch(3)のスレッド対応とNSSモジュール対応 TCP、UDPの特権ポート範囲がsysctl変数(net.inet.ip.portrange.reservedlow、net.inet.ip.portrange.reservedhigh)で設定可能となった ata(4)の新デバイス対応(SiS製チップセット、Promise SATA150/TX2/TX4 Serial ATAチップセット) CAMレイヤー管理下のブロックデバイスにおける2TB制限の撤廃。アップグレードする場合は、pass(4)やxpt(4)を利用するアプリケーション(camcontrol、sysutils/cdrtools、multimedia/xmmsなど)の再構築が必要 GEOMが必須となった IBM ServeRAIDのドライバips(4) の追加 UFS/UFS2にボリュームラベルを導入(newfs、tunefsの「-L」オプションで指定) vinum(4)ボリュームをルートファイルシステムとして利用できるようになった disklabel(8)がbsdlabel(8)に変更された(alpha、i386、pc98アーキテクチャでは、disklabelがbsdlabelへのリンクとなっている) fwcontrol(8)にDVストリーム送受信用オプション「-R」と「-S」が追加された GEOMの状態表示ユーティリティgstat(8)が追加された jailの中にコマンドを送信するjexec(8)、jailを一覧表示するためのjls(8)、killallにjailを限定する「-j」オプションが追加された sysinstall(8)が作成するファイルシステムの既定値がUFS2に変更された KSEを用いたPOSIXスレッドの実装であるlibkse(M対Nスレッド実装)とlibthr(1対1スレッド実装)が追加された。前者はデフォルトでインストール、有効化される 起動スクリプトがNetBSD由来のrcNGに統一された
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contribソフトウェア関連 | |
ACPI-CAソフトウェアのアップデート(20030228) DRMカーネルモジュールのアップデート(20030424) GCCのアップデート(3.2.2) IPFilterのアップデート(3.4.31) OpenPAMのアップデート(Dianthus) OpenSSHのアップデート(3.6.1p1) OpenSSLのアップデート(0.9.7a) sendmailのアップデート(8.12.9) tcpdumpのアップデート(3.7.2)
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ports/packages関連 | |
MD5が一致しなかった場合に再取得を試みる機能と、途中まで取得したファイルの再取得機能を追加 pkg_create(1)に、共存できないpackagesのリストを登録する「-C」オプションが追加
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リリースエンジニアリング関連 | |
sysinstallによるXFree86のコンポーネントごとのインストールに対応 XFree86のアップデート(4.3.0) GNOME(2.2.1)とKDE(3.2.1)のアップデート
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注1 ドキュメントによると、AMD64アーキテクチャは正式バイナリリリースとして扱われていない。
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