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2003/07/29 17:53 更新

UNIX USER03年8月号特別企画より転載:
FreeBSD 5.1-RELEASEにおける新機能の概要と活用例 (6/6)


UNIX USER 2003年8月号より転載

VMware 3用のports
 FreeBSD上でのVMwareサポートは、長い間、Linuxエミュレータを利用したVMware 2用のportsのみ提供されていた。現在では、VMware workstationのバージョンが4まで更新されており、さまざまな機能の提供や、パフォーマンスの改善が行われている。それにもかかわらず、VMware 2しか利用できないのは残念な状況だったが、5.1-RELEASEではようやくVMware 3用のports(注7)が用意された。
注7 VMware 3用のportsはFreeBSD 5.x以降を対象に作成されているため、FreeBSD 4.xでは動作しない。

 VMware 3のportsは、ports/emulators/vmware3で提供されている。Linuxエミュレータを有効化してports/emulators/vmware3をインストールし、再起動すればVMwareが利用可能となる。ただし、このportsには多少の不具合もあるようで、筆者の環境では、


# cd /usr/lib
# ln -s /usr/local/lib/vmware/lib vmware

としないと動作しなかった。
 ネットワークもBridgingで利用できているが、手動の設定が必要となった。具体的には、portsインストール時にNetgraphブリッジを有効にし、VMwareのネットワーク設定で「Custom」を選択して、デバイスを/dev/vmnet1と指定する(図3)。
図3
図3 ネットワークの「Custom」設定画面(クリックで拡大)

 このVMware 3環境で、ゲストOSとしてWindows XPを実行した例を図4に示しておく。
 なお、現在はVMware 4のみが販売対象となっており、バージョン3は試用ライセンスも発行されていない。そのため、試用を行う手段は存在しない。VMware 3 Linux版は、CD-ROM販売の在庫が一部で流通しているようなので、可能であればそれらを購入してライセンスを入手できるかもしれない。

図4
図4 FreeBSD上のVMware 3でWindows XPを起動(クリックで拡大)

5.2-STABLEに向けて
 5.0-RELEASEと比較して5.1-RELEASEは、全体的な粗削りさが影を潜め、STABLEブランチへの分岐が予定されている5.2-RELEASEへ向けて、徐々に準備を整えつつある印象がある。5.2-RELEASEへ向けてのTODOリスト(http://www.freebsd.org/releases/5.2R/todo.html)には、現状で次のような項目が挙げられている。
・製品クオリティでのM対Nスレッド機構の実現
・DarwinによるMSDOSFSの拡張や各種修正の取り込み
・ネットワークスタックに関するジャイアントロックなしの細粒度ロック機構の実現
・AMD64アーキテクチャの完全サポート
・軽量割り込みスレッド、軽量コンテクストスイッチの実現
・システムの完全ダイナミックリンク化
 5.1-RELEASEにおいて、来るべき5.2-RELEASEの姿が次第に見えてきたようにも思える。今後のCURRENTブランチの進行が楽しみである。

[UNIX USER特別企画]
FreeBSD 5.1-RELEASEにおける新機能の概要と活用例
(1) 完成度の向上した5.1-RELEASE
(2) nsdispatchのNSSモジュール対応
(3) jailに追加された機能
(4) ULEスケジューラ
(5) FireWire/DVTS〜新ブートローダー
(6) VMware 3用のports〜5.2-STABLEに向けて

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UNIX USER8月号表紙 FreeBSD 5.1-RELEASEを収録
UNIX USER 8月号

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