特集
2003/07/29 17:53 更新

UNIX USER03年8月号特別企画より転載:
FreeBSD 5.1-RELEASEにおける新機能の概要と活用例 (5/6)


UNIX USER 2003年8月号より転載

FireWire/DVTS
 FireWire(IEEE 1394、i.LINK)への対応は5.0-RELEASEからさらに進展している。

●DVストリームのキャプチャ

 fwcontrolコマンドでは、新たに「-R」オプションと「-S」オプションが追加された。これによって、FireWire経由でのDVストリームのキャプチャ(-R)や、キャプチャしたファイルのDV機器側への送信(-S)が可能となった(実行例4)。
 なお、DVストリームは1秒間に4MB弱使用するので、1時間の録画には約13GBのスペースが必要となる。

実行例4 fwcontrolコマンドによるDVキャプチャ

# fwcontrol -R stream.dv  ←stream.dvに録画
NTSC
012345678901234567890123456789
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
012345678901234567890123456789
01^C              ←Ctrl+Cキーでキャプチャ停止
# ls -l stream.dv
-rw-r-----  1 root  wheel  57820800 ... stream.dv
# fwcontrol -S stream.dv  ←stream.dvから再生

●IP上でのDVストリーミング

 5.1-RELEASEには、IP上でDVストリームを流すソフトウェアDVTS(ports/multimedia/dvts)も提供されている。MPEG-2と比較して30Mbpsという大きな帯域を必要とするが、タイムラグが非常に小さく、高画質な動画を提供できるため、広帯域を利用できる環境では非常に有用な通信方式である。
 DVTSをX上で再生するソフトウェアxdvshowもportsで提供されているが、残念ながら筆者の環境では動作しなかった。Windows用DVTSクライアントもhttp://www.sfc.wide.ad.jp/DVTS/software/win2000/で公開されており、こちらは問題なく再生可能であった(図1)。

図1
図1 Windows用DVTSクライアントによるDVストリーミング再生(クリックで拡大)

 実際にシステムを構築する場合は、FreeBSDマシン上でports/multimedia/dvtsをインストールし、dvsendコマンドを実行すれば良い(実行例5)。

実行例5 DVTSによるDVストリームの送信

# dvsend -4 -h 192.168.0.199 ←「-4」はIPv4通信、「-h」では
destination : 192.168.0.199    クライアントのIPアドレスを指定
port        : 8000

RTCP dest   : 192.168.0.199
RTCP port   : 8001
IEEE1394 dev : /dev/fw0

 なお、Windowsマシン側でパーソナルファイアウォールなどが動作している場合は、UDPの8000番ポートを通過させるように設定する必要がある。

新ブートローダー
 5.1-RELEASEの導入時に驚くのが、新しいブートローダーだろう(図2)。
 メニューには7つの項目があり、それぞれ表5の機能を提供する。ブートローダープロンプトで利用できるコマンドに関しては、loader(8)のオンラインマニュアルなどを参照してほしい。

図2
図2 5.1-RELEASEの新ブートローダー(クリックで拡大)

表5 新ブートローダーの7項目

項目 機能
Boot FreeBSD 通常の起動を行うモード。何も入力しない場合、数秒でこのモードに移行する
Boot FreeBSD with ACPI enabled/disabled ACPIに関して現在と逆の設定をするモード。ACPIを読み込む設定になっていれば「enabled」に、そうでなければ「disabled」と表示される
Boot FreeBSD in Safe Mode セーフモード。具体的には、ACPIの無効化、ATA/ATAPIデバイスのDMA禁止、ATAの書き込みキャッシングの禁止、EISAスロットの無効化などを行う
Boot FreeBSD in single user mode シングルユーザーモード
Boot FreeBSD with verbose logging カーネルのメッセージを詳細にするモード
Escape to loader prompt ブートローダープロンプトを表示
Reboot 再起動

[UNIX USER特別企画]
FreeBSD 5.1-RELEASEにおける新機能の概要と活用例
(1) 完成度の向上した5.1-RELEASE
(2) nsdispatchのNSSモジュール対応
(3) jailに追加された機能
(4) ULEスケジューラ
(5) FireWire/DVTS〜新ブートローダー
(6) VMware 3用のports〜5.2-STABLEに向けて

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UNIX USER 8月号

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・FreeBSD 5.1-RELEASE
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