エンタープライズ:インタビュー | 2003/12/17 22:31:00 更新 |
Interview:シングルデータモデルの優位性をアプリケーションにも広げるOracleの戦略
東京ビックサイトにおいて「OracleWorld Tokyo」が3年ぶりに開幕した。来日した米Oracleのアプリケーションテクノロジー担当の上級副社長、クリフ・ゴドウィン氏に、EBSを中心とした同社の技術やビジネスの展開について聞いた
日本オラクルは12月17、18日、東京ビックサイトにおいて「OracleWorld Tokyo」を3年ぶりに開催している。200を超えるセッションが開催される今回は、同社のデータベース製品の最新版「Oracle 10g」を日本のユーザーやエンジニアに広めると同時に、企業向けアプリケーションである「Oracle E-Business Suite」(EBS)をさらに浸透させることも同社のテーマの1つになっている。
10gは、複数のハードウェアに分散するデータベースを、ソフトウェア的にクラスタリングし、物理的には別々の複数のディスクを仮想的に、シングルデータモデルとして扱えることが特徴となっている。これに対し、ライバルであるDB2やSQL Serverは、ディスクごとにデータを切り分ける仕様になっている。
これは、シェアドナッシングのデータベースとして、OracleがRAC(Real Application Clusters)、10gへとリレーさせてきている中核技術だ。
同イベントの開催にあたり、来日した米Oracleのアプリケーションテクノロジー担当の上級副社長、クリフ・ゴドウィン氏に、EBSを中心とした同社の技術やビジネスの展開について聞いた。
クリフ・ゴドウィン氏
ZDNet OracleWorld Tokyoが始まるにあたりどのような気持ちですか?
ゴドウィン とても興奮しています。10gやEBSの技術的な進歩をカスタマーに理解してほしい。現在、日本のカスタマーの60%は既に、E-Business Suite 11iを使っています。EBSの一部を利用している既存のユーザーには、機能を拡張して、スイートとしてEBSの本来の力を享受してもらいたい。セットアップにコストはかかるかもしれませんが、その後は、ローコストの運用が可能になります。
ZDNet 技術面から見たOracleの特徴は?
ゴドウィン シングルデータモデル、シングルインスタンスという10gが持つ強力な機能を、アプリケーションにも生かすことができます。
例えば、ビジネス・インテリジェンスへの取り組みである「Daily Business Intelligence」では、一般的な仕組みとは異なり、トランザクション系のDBからデータウェアハウス(DWH)を構築する必要がありません。10gならば、トランザクションDBとDWHはロードを別々に扱いながら、一緒に格納しておけるのです。
ZDNet もし仮に、日本の大企業のメーカーが1からシステムを構築するときに、プラットフォームやハードウェア、ソフトウェアなど、技術面から見てどのような提案をしますか?
ゴドウィン OS、アプリケーションサーバの観点から言えば、Linuxを推奨します。Linuxならばパフォーマンスで従来の大型コンピュータの3倍、コストは5分の1に抑えることができます。
Oracle社内でも、顧客との商談に利用するデモ機に関しては、データベースサーバを含めてすべてLinuxで構成しています。重要なのは、コストではなく、パフォーマンスが実際にLinuxの方がいいということです。
ハードウェアに関しては、インテル・アーキテクチャ(IA)を採用した量産型のサーバが基本になります。
ZDNet 今後のOracleのビジネスにおいて、ターゲットになる企業の業種や規模は?
ゴドウィン ほかのベンダーと同様に、中堅企業の市場には力を入れていきます。一方で、今後はアウトソーシング事業が鍵になると考えています。ユーザー企業の多くがコアコンピタンス以外はアウトソースしようと考え方を強めてきています。
アウトソースと言っても何もすべてをOracleに任せるというわけではありません。さまざまな製品やサービスを組み合わせて、いろいろなパターンを提供していくことになります。
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[聞き手:怒賀新也,ITmedia]
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