エンタープライズ:ニュース 2003/12/17 23:35:00 更新


基調講演:エリソンCEOの代役はウォール街から転身したフィリップス執行副社長

東京ビッグサイトで開幕したOracleWorld Tokyoの基調講演には、今年5月、ウォール街のスターアナリストから転身したフィリップス氏が登場した。エリソン氏の信任も厚く、PeopleSoftに対する買収提案では入社早々にその手腕を振るった。

 総帥、ラリー・エリソンCEOの来日はまたしても見送られたが、今や彼の片腕として戦略全般を担当するOracleのナンバー2、チャック・フィリップス執行副社長が「OracleWorld 2003 Tokyo」のキーノートスピーカーを務めた。

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「Oracleで最も多忙な執行副社長」と紹介されたフィリップス氏


 12月17日夕方、東京ビッグサイトで開幕したOracleWorld Tokyoの基調講演には、今年5月、ウォール街のスターアナリストから転身したフィリップス氏が登場した。まだ40歳代半ばで、いわば新米の幹部だが、エリソン氏の信任も厚く、PeopleSoftに対する買収提案では入社早々にその手腕を振るった。新しい幹部を迎えた米Oracleは、昨日、売り上げが8%増、純利益は15%増という好調な第2会計四半期決算を発表したばかりだ。

 フィリップス氏は、ITが抱えている課題として「データの断片化」「複雑化と統合」、そして「コストに対するプレッシャー」を挙げ、これらが解決できれば、企業は成長できるとした。

 「Oracleの戦略は、すべてのデータを1カ所に集めること。そうすることで情報の質が高まり、情報の普及が進み、その結果として意思決定の質が高まる」とフィリップス氏。Oracle E-Business Suite(EBS)で取られている「Unified Information Architecture」のアプローチだ。

 「他社が採用する統合中心型の選択肢では、人事、会計、調達、販売といったアプリケーションごとにデータベースが構築され、それらをポイントツーポイントでつなぐことになるが、OracleのEBSでは顧客や製品に関する情報すべてがワンビューで提供される」(フィリップス氏)

コストを大胆に引き下げるグリッド

 OracleWorld Tokyoの目玉となっているOracle 10gのグリッド機能についてもフィリップス氏は多くの時間を割いた。同氏は、多数のコンピュータをつなぐ考え方は従来からあったとしながらも、既存の企業向けアプリケーションを変更なしで稼動できる点でOracleのグリッドは極めてユニークだとする。

 また、Oracle 10gのグリッドは、本来の条件を満たしていないという批判に対しても、敢えて「1台の大きなコンピュータの役割をする多くの小さなサーバの統合利用」という同社流の定義を明確に打ち出した。

 Oracleのグリッドは、アプリケーションごとに分断されたコンピューティングリソースを仮想化によってプールし、負荷に応じて自動的に再配分するもの。アプリケーションごとのピークに合わせて巨大なサーバを購入しながら、普段はその数パーセントの容量しか使われていないという問題に焦点を当てている。

 「座席の15パーセントしか埋められないとすれば、航空会社は利益を出すことができない」とフィリップス氏。

 彼は、多くのビジネスでは受注処理と会計処理のピーク時期がずれているとしたうえで、これらをグリッドという1台の仮想コンピュータに展開することによって企業は余分なコストを背負わなくとも済むと話す。

 新たなキャンペーンを展開した場合、CRMの負荷は急上昇するだろうし、データウェアハウスではサマリーテーブルを更新すれば同様だ。フィリップス氏は、「どれも予測可能なものだが、すべてのアプリケーションには負荷の変動がある」とし、SCM、財務、ERPなど、ほとんどすべてのアプリケーションでグリッドを活用するメリットがあるとする。

 ここ数年、Oracleの戦略は一貫している。ソフトウェアのサービス化を促し、RAC(Real Application Clusters)やUnbreakable Linuxのイノベーションによって、コンピューティングコストを大胆に引き下げることだ。残念ながらビデオでの登場となったエリソンCEOだが、そのメッセージは「エンタープライズグリッドは10倍の性能を1/10のコストでもたらす」と締めくくられている。

 なお、Oracle 10gのベータプログラムには既に350社以上が参加しているという。

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[浅井英二,ITmedia]

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