「ITカオスからの脱却」の方策を示すHPHP WORLD Tokyo 2006(2/2 ページ)

» 2006年06月01日 15時01分 公開
[渡邉利和,ITmedia]
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 組織とワークフォースの統合では、グローバル化と標準化を柱とし、「1回で済む作業は1回で済ませる」という考え方を原則にした。結果、従来は組織ごとにそれぞれ管理していたアプリケーションに関しても、担当する組織を1つに決めて責任を明確化し、水平展開的な対応に変えたという。

 同氏はこれをスポーツに置き換え、「1つのスポーツで1つのボールを使おうということだ。1つのスポーツに複数のボールを持ち込んではいけないが、同時に、すべてのスポーツを1つのボールで済ませるのは無理だ。無駄な重複は統合するが、違いがある部分については違った扱いができるようにしておく必要がある」と話した。

アプリケーションとインフラの統合戦略

 また、アプリーションとインフラの統合では、企業合併や国ごとの違いを統合していく作業が行なわれたという。例えば、人事システムは、国ごとに別々に80システムが存在しており、それぞれ「国ごとに事情が異なるので、システムも別である必要がある」と考えていたという。しかし、その処理を精査してみると、プロセスの90%は共通で、国ごとの差異が残る部分は10%に過ぎなかったという。この結果を踏まえて統合を行った結果、1つのデータセンター、8個のシステムで済むことになった。

 「システムが減ってコストが削減できたのは事実だが、それよりも、全従業員の人事情報を一元管理でき、必要なときにいつでも情報にアクセスできるようになったことによるメリットの方が大きい」という。

 データセンターに関しては、従来の85カ所を、3×2の計6カ所に集約し、2つのデータセンターが1組として動作しており相互にバックアップし合う体制にしたということだ。

 こうした統合の経験について同氏は「コストの削減ができたか? イエス。統合は簡単だったか? ノー。しかし、困難ではあっても統合を実現したことにより、変化に即応できる体制ができ、ビジネスを加速させることができるようになった。このことが統合の最大の成果だ」と、コスト削減や効率化といった発想ではなく、積極的な統合の意義を語った。

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