知らない番号でも一瞬で正体判明? 警察庁推奨アプリの実力を検証半径300メートルのIT

警察庁が“推奨”する特殊詐欺対策アプリが、無料で使えるようになりました。電話を取る前に危険な番号を判定し、ブロックできます。というわけで筆者も実際に試してみたのですが、詐欺対策とは別の「意外な使い道」も見えてきました。

» 2026年03月10日 07時00分 公開
[宮田健ITmedia]

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 ちょっと気になるリリースが届きました。セキュリティベンダーのトレンドマイクロが“警察庁推奨”の特殊詐欺対策アプリとして「詐欺バスターLite」を無料で公開した、というニュースです。

 コンシューマー向けに有料販売されている「詐欺バスター」は、動画を含むディープフェイクの検知や詐欺電話、インターネット詐欺を防ぐために関係各所と協業しているサービスです。筆者はこれを以前から知っており「無料ならなあ」と思っていたのですが、めでたく「詐欺バスターLite」で無料利用できるようになりました(告知の画像などから「これは詐欺?」と若干うたがってしまいましたが……)。

詐欺バスター Lite(出典:トレンドマイクロのプレスリリース)

 この他、「警察庁推奨」アプリとしてタウンページを運営する、NTTタウンページからも同様のアプリが登場しました。こちらも無料で利用できます。このアプリでは、警察庁の情報とフィッシングに関するデータを積極的に公開している、トビラシステムズの最新データが使われています。どちらのアプリも信頼できるものですね。

詐欺対策 by NTTタウンページ(出典:NTTタウンページのWebサイト)

 警察庁の「X」アカウントや特殊詐欺対策ページにもしっかりとこれらのアプリの記載がありました。本稿執筆時点では、トレンドマイクロとNTTタウンページの2つのアプリが掲載されています。ここまで調べて裏も取れたので、安心してここでお薦めしているわけです。

警察庁は一定の基準に適合するアプリを「警察庁推奨アプリ」として認定している(出典:警察庁のWebサイト)

“警察庁推奨”の無料アプリを入れたら……着信画面に思わぬ表示が出た

 このアプリは非常にシンプルで特殊詐欺などの犯行に利用された電話番号(国際電話番号を含む)から電話がかかってきた場合、スマートフォンの機能と合わせ、電話をとる前にその番号に対し、ブロックする機能があります。

 ちなみに警視庁からも「防犯アプリ デジポリス」というアプリが出ており、詐欺に使われている国際電話番号からの着信通知を遮断し、詐欺電話をブロックできます。

防犯アプリ デジポリス(出典:警視庁のWebサイト)

 筆者も早速、それぞれのアプリを使ってみました。アプリを入れて設定を一通り進めると、これまでの発着信通知においても、番号がヒットすれば発信者の種別を出してくれます。筆者の電話番号には幸いにも詐欺電話そのものは来ていないのですが、非常に興味深いことに、詐欺バスター Liteはいわゆる営業電話に関しても発信者を出してくれます。モザイクをかけていますが、誰もが知る企業名が記されており、これは詐欺電話対策以上に便利だ、という方もいるかもしれません。営業する企業にとってはたまったもんではないかと思いますが……。

赤文字で記された電話番号に詐欺バスター Liteが反応、誰もが知る企業からの営業電話だ(出典:詐欺バスター Liteのアプリ画面)

 また、どちらのアプリでも単体で電話番号を検索する機能が含まれています。特にタウンページと連携するNTTタウンページのアプリでは、電話番号と企業を調べるツールとしても活用できるかもしれません。

 これまで履歴に残る番号をインターネットで調べ、それがどこからかかってきたのかを調べる作業をしていましたが、これらのアプリがあれば一瞬でその作業が終了します。特に国際電話を一律にブロックする機能は、海外と電話する機会がほぼないという方にとっては非常に便利。筆者も次に母親に会うときに、これらのアプリを教えてあげようと思いました。

 ただし常用するにはもう少し調査が必要かもしれません。例えば詐欺に使われた電話番号は自動でアップデートされるのか。また、詐欺の番号ではない電話番号を含まれたとき、それが正しく削除されるのかどうかなどが気になります。思い出してみると、これはまさに「迷惑メール」への対処と同じような流れです。一度スパムメール扱いされたとき、そこから復帰するのは非常に大変だったと思います。そのようなときにどう対応するのか、これらのアプリの今後を継続的に見ていきましょう。

 この2つのアプリだけでなく、多くのベンダーから同様の機能を持つものが今後登場するでしょう。これらが無料で提供されるのは非常にありがたいと思う一方、持続性のある仕組みも必要ですから、今後ビジネスとしてどう進めるのかという点も注目したいところです。

コンシューマーだけではなく組織にも必要な仕組みだ

 このような仕組みは、コンシューマーに真っ先に必要なものですが、組織にも同様の仕組みが展開できれば素晴らしいでしょう。昨今、CEOを装う詐欺が登場し、多くの被害が生まれています。取引先の電話番号がたくさん入っている社用スマートフォンを保護することは詐欺対策の面からも非常に重要です。とはいえ、本気の詐欺行為ではその番号すらも書き換える可能性があるので、過信は禁物です。

 一方でカジュアル(?)な詐欺行為であれば、こういった電話番号データベースの導入は効果も大きいはずです。まずは個人レベルでこれらのアプリをチェックしてみてください。もし効果を感じられたら、家族にも導入を勧めてみましょう。PCへのウイルス対策として当たり前のようにアプリを入れていた時代を思い出す、なかなか興味深い話題でした。

著者紹介:宮田健(みやた・たけし)

『Q&Aで考えるセキュリティ入門「木曜日のフルット」と学ぼう!〈漫画キャラで学ぶ大人のビジネス教養シリーズ〉』

元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。

2019年2月1日に2冊目の本『Q&Aで考えるセキュリティ入門 「木曜日のフルット」と学ぼう!〈漫画キャラで学ぶ大人のビジネス教養シリーズ〉』(エムディエヌコーポレーション)が発売。スマートフォンやPCにある大切なデータや個人情報を、インターネット上の「悪意ある攻撃」などから守るための基本知識をQ&Aのクイズ形式で楽しく学べる。


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