「導入したはいいが、投資に見合う効果は本当に出ているのか」――。生成AIの費用対効果が問われる局面で、IT部門は経営層にどう説明すればよいのか。そもそも、自組織にとって本当に必要な製品をどう選ぶべきか。住友商事や慶応大学、京都市といった先行組織がたどり着いた“勝ち筋”を、3冊のブックレットから読み解きます。
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生成AIやクラウドへの投資が広がる一方で、「その投資に見合う効果は本当に出ているのか」「経営層にどう説明すればよいのか」という問いが、IT部門に重くのしかかっています。華々しい導入の号砲よりも、投資対効果の見極めと社内への説明にこそ、現場の悩みは集まっているのではないでしょうか。
「ITmedia エンタープライズ」で公開したブックレットの中から、この問いに実践で向き合った企業・組織の事例を集めた3冊を紹介します。生成AIの費用対効果の検証、ツールの選定理由、そしてクラウド基盤の選び方――。投資判断の“物差し”を考える際のヒントとなるブックレットを紹介します。
最初に取り上げるのは、生成AIの投資対効果を真正面から検証した住友商事らの事例(「Copilotの“元”は取れるのか問題、ついに決着? 住友商事、京都市が掴んだ『AI活用の勝ち筋』」)です。同社はグループ9000人に、Microsoftの生成AIアシスタント「Microsoft 365 Copilot」のライセンスを配布しました。導入を検討する中で注目したのが、Microsoftが試算した年間約12億円という削減見込み額です。同社はこの数字をこのまま受け入れるのではなく、Microsoftの試算が妥当なのかどうかを、自ら検証することにしました。
併せて、9000人規模の活用をわずか2人で推進したという体制の作り方も取り上げています。
2冊目は、ツールの選定理由に焦点を当てた、慶應義塾大学の事例(「慶応大がNotionを選んだ『3つの理由』 “何ができるか”以外の決め手は?」)です。
全教職員にナレッジ管理ツール「Notion」を導入し、「AIキャンパス構想」を掲げました。数あるツールの中からNotionを選んだ理由について、同大は「何ができるか」という機能の比較だけでは決めなかったとのこと。経営層や事業部門に「なぜそれを選んだのか」を説明する材料として、同大の選定の考え方が参考になります。
3冊目は、クラウド基盤の選び方に関わるブックレット(「『万年3位』脱却なるか? Google Cloudに吹く"追い風"の正体を考察」)です。
エンタープライズ市場で長らく3番手とされてきたクラウド「Google Cloud」に対し、富士通、NEC、日立製作所、NTTデータの国内SIer大手4社が相次いで協業を発表しました。ブックレットでは、この「追い風」がなぜ吹いているのかを整理し、異なるベンダーのAIエージェントを相互に接続する規格「Agent2Agent(A2A)」といった動きも踏まえて、AI時代のクラウド選定のヒントを示しています。
生成AIもクラウドも厳しくROI(費用対効果)を問われる時代に入りました。投資に見合う効果をどう見極め、なぜその選択が必要なのかをを経営層にどう説明するか。3冊のブックレットは、その問いに向き合うIT部門の判断材料として役立つのではないでしょうか。
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