言語や音声だけではわからない微妙なニュアンスも相手の顔を見れば伝わることがある。このような質の高いコミュニケーションを支援するのがテレビ会議システムだ。最近は急速に普及が進んでいるというが、はたして導入のメリットは何なのか。テレビ会議ソリョーション「Visual Communication」を提供する日立電子サービス株式会社にその魅力を伺った。
コミュニケーションのIT化が進む一方で、対面してのコミュニケーションを重視する企業も少なくない。顔を合わせて会話すれば、言葉や声だけでは伝わりにくい、その場の雰囲気や相手の表情を伝えることができる。
ただ事業所が全国に散らばっていたり、拠点を海外に移している企業の場合、フェイス・to・フェイスにこだわると移動時間やスケジュール調整などによって意思決定のスピードが鈍る恐れもある。また上流での決定事項や経営ビジョンを現場に浸透させるときにも各階層で会議や報告会を行わなければならず、末端に浸透するまでにタイムラグが生じやすい。
フェイス・to・フェイスの良さを活かしつつ、リアルタイムで情報共有することはできないか。そんな企業のニーズに応えたのが日立電子サービスのテレビ会議ソリューション「Visual Communication」である。このサービスではテレビ会議システムやネットワーク、オフィスまわりの設備をワンストップで提供。経営の迅速化に大いに貢献するソリューションとして注目を集めている。
実はテレビ会議システムそのものは、最近になって突然登場したものではない。「Visual Communication」も、すでに2002年からサービスの提供を開始している。それが今なぜ再注目されているのか。その理由を日立電子サービス ネットワークシステム部 事業推進グループ 技師の古澤利男氏は次のように語る。
「もともとお客様のニーズは高かったのです。ただ以前はISDNが主流で、帯域が限られていたうえに従量制でランニングコストが高く、それが導入の障壁になっていた部分がありました。ところが最近はIPネットワークが整備されて、足回りにも光が普及。ネットワークの品質が向上して定額制でコストも割安になっています」
またネットワークだけでなくテレビ会議装置や多地点接続装置の低価格化が進んだことも大きい。日立電子サービス ネットワークシステム部 事業推進グループの秋田理奈氏は、次のように語る。
「あるお客様はM&A後、企業風土を新しく作りなおすために、経営ビジョンを浸透させる必要を感じていました。そこで社長のメッセージを全社員へリアルタイムに伝えるために、テレビ会議システムを導入、ご活用いただいています。こうした使い方ができるようになったのも導入コストが大幅に下がって、より多くの社員がテレビ会議に参加できる環境が整ったからかもしれません」
最近は支社から支店、営業所レベル、あるいは部署レベルまで導入している企業も目立つという。もはやテレビ会議は誰でも利用できる一般的なシステムになった。
日立電子サービスは、「Visual Communication」導入前のヒアリングを重視している。一口にテレビ会議システムといっても、目的によって最適なネットワークやシステムが違うからだ。
たとえば講堂など大きな会場で発表会や研修会などを中継する場合と少人数でディスカッションする場合ではシステム構成が変わってくる。大会場であれば拡声が可能な音響システムや発表者・質疑応答者の双方を撮影できるカメラシステムなど多機能な会場設備が必要となる。ディスカッションの場合は会議室などの物理的な制約を受けず、いつでもどこでも開催できるよう誰でも操作でき、かつ移動ができるシステムが必要となる。
また場合によってはテレビ会議仕様の什器を提供したり、照明設備や電源設備を整備することも必要になってくる。このように企業の目的や状況に応じて、きめ細かな提案ができるのも製品からネットワーク、オフィスまわりまでワンストップで手がけている同社ならではの強みといえるだろう。
日立電子サービスは、自社への導入によって、「Visual Communication」の有用性を実証している。昨年12月に、グループ社員約7000人のうち、約8割に当たる約5600人が利用できる大規模システムを導入。古澤氏は、従来のスピードとの違いを次のように強調する。
「以前は1時間の会議のために各地の事業所から1日がかりで移動することも少なくありませんでした。ところがテレビ会議システムの拡大によって、単に移動時間がカットされただけでなく、リアルタイムにコミュニケーションを取って意思決定ができるようになった。経営のスピードは確実に早まったといえるでしょう。そして、弊社の経営スピードの向上は、そのままお客様へのサービス向上に直結すると考えています」
また、出張がなくなったことによるコスト削減効果も見逃せない。同社は今回、テレビ会議システムの拡大で約1億円の設備投資を行った。その投資額も出張費削減のほか、従来の移動時間をコスト換算すると3カ月強で回収できたという。
「今回、利用者の立場に立った構築ノウハウが飛躍的に蓄積できました。今後はこのノウハウを最大限に活用してお客様のニーズにあったソリューションを提供していきたいですね」
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提供:日立電子サービス株式会社
「ITセレクト」 2006年9月号より転載
制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2006年9月2日