Special
» 2006年08月28日 10時00分 公開

uVALUEコンベンション2006を振り返る:セキュリティPCは新しい働き方を切りひらく「切り札」

できることならば場所の制限にとらわれず自由に仕事をしたい。しかし、情報の流出は避けたい……こんな相反する要求を同時にかなえる鍵がセキュアクライアントソリューションだ。

[ITmedia]
PR

 「セキュアクライアントソリューションを導入した当初のきっかけは、個人情報保護法への対応をにらんだ情報流出対策だ。しかしこれは同時に、ユビキタスな次世代オフィスを担う新たなクライアント環境としても活用することができる」――

 日立製作所は7月26日、27日に、同社のソリューション群を紹介するイベント「uVALUEコンベンション2006」を開催。この中で、セキュアユビキタスソリューションセンタ センター長の岡田純氏は、社内におけるセキュアクライアントソリューション導入の経緯や効果を説明するセッションにおいてこのように語った。

 「日本ネットワークセキュリティ協会の調査によると、情報漏えいの原因は『盗難』と『紛失』にほとんど集約されている。つまり、情報を持ち歩いたら危ない、ということができる」(岡田氏)

 だが一方で、あらゆるビジネスにスピードが求められる現在、情報を持ち歩かないことには仕事にならないのも事実だ。そこで「この問題をどう解決するかを考えて作り出されたのがセキュアクライアントソリューションだ」と岡田氏は述べた。

認証デバイスで「どこでもオフィス」

uVALUEコンベンション2006の会場で紹介されたセキュリティPC。写真は指静脈認証を用いてログオンを行っているところ

 セキュアクライアントソリューションは、いわゆるシンクライアントシステムの一種だ。クライアント側にはHDDを持たない「セキュリティPC」を配布し、実際の処理は、セキュリティ対策が施されたデータセンター内にあるサーバ又は同社でクライアントブレードと呼ぶブレードPC側で行う。その画面情報だけを転送し、実データは持ち歩かないようにすることで、根本的な部分で情報漏えいを防止する。

 同ソリューションには、用途や環境に応じて3つの使い方が用意されている。

 社内の既存のPCにアクセスする「ポイント・ポイント」型、データセンターに配置したクライアントブレードに接続する「ポイント・ブレード型」、シトリックスシステムズの「Citrix Presentation Server」を組み合わせてサーバベースコンピューティングを実現する「センター型」だ。これらを、使用するアプリケーションの種類や仕事の性質によって使い分けることができる。

 ポイントの1つは、「本当に本人がアクセスしているか」を確認するために、USB対応の認証デバイス「KeyMobile」を組み合わせている点だ。このデバイスをセキュリティPCに差し込まない限り、ログオンは行えない。さらに確認を強固にしたい場合は、指静脈認証を組み合わせることも可能だ。

 逆に、KeyMobileさえ持ち歩いていれば、端末や場所に依存することなく、いつでもどこでも自分自身の環境にアクセスできる。社内の別の事業所やサテライトオフィスなどでも、いつでも自分の決まった環境を呼び出し、利用する「ユビキタス」な働き方が可能になるわけだ。

ワークスタイルそのものに及ぼす変化

 日立製作所では実際に、2004年以降、このセキュアクライアントソリューションを順次導入してきた。

 「『必要な人にのみ必要な情報を』というデータ保全やセキュリティの観点に加え、組織の壁を越えたコミュニケーションや空間を超えたユビキタスオフィスの実現といった、ワークスタイルの改革を目指した」(岡田氏)。そのための手段がセキュアクライアントソリューションであり、オフィスのフリーアドレス化だという。

 これまで、部署ごとに島の形に並んでいた固定のデスクを撤廃。必要最低限の資料や備品を収納する専用のロッカーを割り当てはするが、基本的に、気分に応じて好きな場所に座れるようにした。同時に、ちょっとした打ち合わせを行うためのスペースや会議室を充実させたという。「メリハリのある業務の展開、整理ができている」(同氏)

日立製作所、セキュアユビキタスソリューションセンタセンター長の岡田純氏

 また、紙の文書は「極力使わない」(岡田氏)こととし、たとえ会議であっても資料はプロジェクタで映すだけ、といった形式にした。FAXなどで送られてきた文書は、スキャナやOCRを用いて逐次電子化し、共有する仕組みである。

 この結果、会議室などの共有スペースを2倍に増やしつつ、フロア全体のスペースの30%削減を実現した。また副次的ながら無視できない効果として、ペンや付箋紙といった消耗品を1カ所に集約することで、各々の「取り置き」分がなくなり、そこでもコスト削減が実現できたという。

 これだけでも固定費の観点からコストメリットが生まれたが、それ以上に大きいのが、コミュニケーションの活性化と意志決定のスピードアップといった業務効率の向上が見られたことだ。

 「ちょっと疑問が生じたとき、部署の壁を越えて気軽にどんどんコミュニケーションを取るといった姿が珍しくない。また、外出が多い従業員の場合、わざわざオフィスに戻らずとも、出先での空き時間を活用してメールの確認や報告書の作成などいつもの業務が可能になった」(岡田氏)

 もちろん、当初の目的である情報漏えい対策も実現できている。「セキュアクライアントソリューションのコンセプトである『情報を持たない、持ち出さない』という安心感に加え、データを一元化し、印刷処理も一括することによって管理を徹底できた。また、ペーパーレス化によってオフィスのクリーン化やコスト削減が実現できたほか、紙文書経由の漏えい対策にもつながっている」(同氏)。今後求められるであろう日本版SOX法への対応にもつながる部分だ。

 セキュアクライアントソリューションというITツールをうまく活用しつつ、ワークスタイルそのものの変革にも取り組むことにより、「新しいオフィスへの変化が実現できている」と岡田氏。同社以外にも、流通業や弁護士事務所など業種を問わず導入例があるという。「自分自身のワークスタイルのあり方も含め、いろいろな視点から新たなクライアント環境というものをぜひ検討してほしい」(岡田氏)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.