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» 2006年12月27日 16時00分 公開

「MIJSをソフトウェアの1つのブランドにしていく」

日本のITテクノロジーの空洞化が叫ばれる中、同じ目線を持つソフトウェアベンダー18社がMIJSの旗の下に集った。世界に通用する製品の開発がエンジニアを引きつけ、ひいては連携を通じての標準作りがユーザーやシステムインテグレーターの要望に応えることにつながるのだという。

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同じ目線のソフトウェアベンダー同士で世界に挑む

 「MIJSコンソーシアムには、ソフトウェアベンダーとして、日本のソフトウェアを今後どのようにしていきたいかを考えている企業に参加してほしい。日本のソフトウェアベンダーのトップの集まりとなるので、日々同じ悩みをもって市場に対しチャレンジしていこうという、経営者として同じ目線を持っている人たちに集まってほしい」

 ウイングアーク テクノロジーズ代表取締役社長の内野弘幸氏は、メイド・イン・ジャパン・ソフトウェア・コンソーシアム(Made in Japan Software Consortium:以下、MIJS)で日本のソフトウェアパッケージの発展のためにともに活動していきたいメンバーについて、このように語る。「日本のソフトウェアパッケージを世界で通用するものにする」という共通の目的の下に集まったのは、18社の国産ソフトウェアベンダーだ(2006年12月時点)。MIJSでは、参加者を広く募ってメンバー企業をどんどん増やすのではなく、内野氏の言葉にあるように、対象となる企業については明確な目標に向かって同じ目線を持つところに絞り込んでいる。

 実際にMIJSのホームページには、参加が望ましい企業として次のような記述がある。

  1. 国産ソフトウェア製品を保有し、そのライセンスおよびソフトウェア製品の関連売上が全体の過半数を超える
  2. あるジャンル(セグメント)で、TOPシェアを有するかそれに準ずるソフトウェア製品を保有

 つまり、オリジナルなパッケージソフトウェアのビジネスで実績があるベンダーということだ。ビジネスを開始したばかりの企業や、SI(システムインテグレーション)をビジネスの中心とし、その傍らでパッケージ製品も扱っているという企業は対象にならない。だが、これらの企業をMIJSの活動が排除しているという意味ではない。

photo 「MIJSには同じ目線を持ったソフトベンダーに参加してほしい」とウイングアーク テクノロジーズの内野社長

 「SIerは、特定の顧客の現状を踏まえ、要望に対してコンサルティングを行い、最適な解答を出すのが目的だ。顧客に合ったものをインテグレートし、ときにはツールやソフトウェアパッケージを組み合わせることもある。これに対しソフトウェアベンダーは、市場全体に適合する製品を提供している。そしてほかの製品との差別化を図るために、新しい技術にも積極的に挑戦する」(内野氏)

 このようなビジネススタイルの違いがあるため、同じIT業界にあってもSIerとソフトウェアベンダーは経営に対する考え方も違うという。サイボウズ代表取締役社長の青野慶久氏は、「例えばSIerとソフトウェアベンダーでは、見ている経営指標も違う。SIであれば、プロジェクトに対してあと何人投入したら原価割れして赤字になるかということに気を遣うが、パッケージを作っている際にはあまり原価というものを意識していない。原価というよりは製品がどれだけ売れるかが重要であり、作っている段階で『これは売れる製品になる』と思えば、2倍でも3倍でも人を投入することがある。この感覚はSIerの経営にはないものだろう」と指摘する。

 ソフトウェアパッケージの製造・販売というビジネスにはリスクもあるが、うまくいったときのリターンも大きい。これを承知の上で挑戦する意識のある企業の集まりだからこそ、MIJSの活動は同じ目標に向かって一緒に進んでいけるのだという。


日本のIT技術の空洞化にも一石を投ずる

 ここ最近、インドや中国のオフショア開発の進展、また国内の少子化やIT業界に対する「3K」(「きつい」「帰れない」「給料が安い」)イメージからくる若手技術者の減少などが原因で、数年後には国内のIT技術は空洞化してしまうのではとの懸念がある。これに対しても、国産ソフトウェアパッケージベンダーが世界に通用する製品を開発していくとことが、1つの解決策になるという。

 SIerが実施するシステム構築では、システムを期限内に作り上げることが最優先される。そのため、普通はリスクを冒さない安全な方法が取られる。それでも多くの場合は、コスト削減を理由に厳しい納期が提示され、間に合わせるためにSEやプログラマーは日々残業を強いられるというのが現実だろう。これがまさに、IT業界の3Kイメージにつながっている。SIの仕事では、もちろん最新の技術に対する知識も大事だが、どちらかといえばプロジェクトや人の管理能力に重点が置かれる。そのため、純粋にIT技術を追求したいと思っていても、気がつくと管理自体が仕事になってしまう技術者も多い。

 上級SEやプロジェクトマネジャーを目指すならばそれでもいいが、純粋に技術を追求したい人は思い悩むことになる。ソフトウェアパッケージの開発であれば、こうした要求に応えることができるという。前述のように製品の差別化のために、積極的に新しい技術にチャレンジする必要があり、さらにその製品のビジネスがうまくいけば、技術者に対価として渡せるものも大きくなる。これが実現できれば、技術を磨いてプログラミングの世界でやっていきたいという技術者には、かなりの魅力になるだろう。

 「IT業界の技術者を1つにくくってしまうのではなく、きちんと仕事をセグメント分けする必要がある。それぞれがどんな仕事であり、どのような魅力やチャレンジがあるかということを明確にしなければならない」(内野氏)

photo サイボウズの青野社長は、ソフトウェアでも日本のもの作りの技術を発揮できると話す

 「ソフトウェアの技術者は、もっともっと増えてほしい。日本のIT技術の空洞化については、例えばわたしはかつて松下電工に勤めていたが、ある日系大手電機メーカーは日本人よりも中国人の社員のほうが多い会社となっている。とはいえ、その電機メーカーを中国の会社とは誰も言わない。たとえ中国にあっても、日本人のもの作り魂を大事にしていけば、それは日本の会社だと言える。どこで開発するかではなく、この日本人のもの作りの技術をきちんと発揮していくことが大切だ」(青野氏)

 ソフトウェアベンダーの立場からは、現状のSIerの仕事の進め方に、あらゆることを手作りで行おうとする傾向があるようにも見えるという。もっとツールやパッケージを活用すれば楽に開発できるのではないか、その分顧客の要望にきめ細かく対応できるのではないかと感じるのだ。品質の良い国産ソフトウェアを組み合わせることで新たな価値を提供できるのだから、SIerにはもっと積極的にパッケージ製品を活用してほしいとのこと。

 「ソフトウェアパッケージだけですべてが解決できるわけではなく、SIerにしかできない部分がたくさんある。SIerの国産ソフトウェアパッケージに対する意識を変えていくのももちろんだが、エンドユーザーにもソフトウェアパッケージの良さにもっと気づいてもらえるよう活動していく」と内野氏は話す。


MIJSブランドの連携を確立、理想的なSaaSを目指す

 国産ソフトウェアパッケージは、日本人が作るから品質が高いというわけではない。日本人が作るからというよりも、むしろ利用する日本企業の現場レベルが高いため、そのノウハウをきちんと取り込んだ結果として製品の品質が高くなるのだという。個々に品質が高いとはいえ、それぞれ独立した製品を複数導入すると、製品ごとにGUIは違うし、データの構造も異なるという状況となる。そのため、製品ごとに使い方を覚えたりデータ構造の違いなどを吸収する新たな仕組みを構築したり、という作業が必要になる。

 これでは、個々に品質が高くても、今求められているシステムの全体最適化にはおぼつかない。企業側も、導入には二の足を踏むことになる。そういったことを解決するためにも、MIJSではまず各製品の連携モデルを作るところから活動を開始している。単にベンダーが集まって海外に進出するというのではなく、国内できちんと評価される新たな連携サービスモデルを作り上げ、その成果を海外に展開するというステップを踏むのだ。

 「日本にもパーツ、パーツではいいものがたくさんある。大規模ではないが、海外のパッケージ製品に十分対抗できる。MIJSの連携の活動に、技術バックボーンを持っている人はワクワクして参加している。分野が異なると何を聞いても興味深く、新たな組み合わせで面白いアイデアがどんどん浮かんでくる」(青野氏)

 「従来は基幹系のシステムは後処理、インタフェースの部分で相いれなかったが、最近ではWeb2.0的なものも基幹系のシステムとどんどん連携している。つながることで、過去の弱点が逆に新たな武器になることもある。例えば、ERPとBIの連携が実現できれば、内部統制に対するメリットにつながるなどもその例だ」(内野氏)

photo MIJSの確立した標準が活用されることが目標だという

 MIJSでは、ベンダーの異なる製品同士の連携ソリューションを確立することで独自のブランドを構築していくという。製品連携を進めていくと、自然にそのためのノウハウが蓄積され、結果として標準や基準といったものができあがる。それを新たにMIJSの「標準」としてSIerやユーザーにも提供していく。最初からMIJSの標準を日本標準にしていくのだと大上段な意気込みで活動するではなく、徐々にMIJSの取り組みが浸透し、その結果多くのユーザーやSIer、さらにはMIJSに参画していないソフトウェアベンダーも活用してくれるようになれば、それらはおのずと業界標準へと昇華することになる。

 「企業の担当者にはMIJSのサイトにアクセスしてもらい、自分がやろうとしていることがソリューションとして掲載されているかを確認して、あればぜひそれを使ってもらいたい。また、MIJSがそのような要望に応えられるモデルを、どんどん生み出していけるようになればと考えている」(内野氏)

 青野氏は「MIJSが、今後は日本のソフトウェアの1つのブランドになっていく。MIJSのソフトウェアを組み合わせることで、ある程度完成されたシステムができあがるというのが理想だ。そのためには、ナレッジもテンプレートも十分にそろった状態にしていく必要がある」とMIJSによる標準作りの目標を掲げる。

 最終的には、MIJSで提供できる複数ベンダーの組み合わせによる連携ソリューションを、SaaS(Software as a Service)形式で顧客に提供していきたいとも考えている。ソフトウェアインテグレーションの究極的な形は、SaaSのモデルだというのだ。海外の巨大なソフトウェアベンダーは、ソフトウェアライセンスを販売するビジネスで大きな実績を上げてきたため、SaaSモデルへの転換にはかなり勇気が必要であろう。これに対し、比較的規模が小さい国産ソフトウェアベンダーにとっては、理想的なSaaSモデルへのかじ取りも容易だ。

 「SaaSであれば、乗り換えのコストも低い。そのため、これからは本当にいいものだけが市場に残る時代がやってくる」(青野氏)

 MIJSの活動が軌道に乗っているころには、IT業界の勢力地図が大きく塗り替えられている可能性もありそうだ。

日本のソフトウェアビジネスを変える〜 MIJSカンファレンス「Japan」2007 開催決定!
テーマ 日本の有力ソフトウェアベンダーが結集!
製品の相互連携による海外展開および国内ビジネス基盤強化を熱く語る!
注目セッション 基調講演1
ソフトブレーン株式会社 マネージメントアドバイザー 宋文洲氏
「日本のソフトウェアベンダーへのエール、世界に視点を!」
基調講演2
日本放送協会 エグゼクティブ・プロデューサー 今井彰氏
「『プロジェクトX 〜挑戦者たち〜』チームとは何か、そしてリーダーの条件」
日時 2007年02月01日(木) 10:30〜(受付開始 10:00)
会場 東京コンファレンスセンター・品川
参加費 無料(定員600名)
主催 MIJSコンソーシアム
協賛企業 日本アイ・ビー・エム株式会社、日本オラクル株式会社、日本BEAシステムズ株式会社、
マイクロソフト株式会社、インテル株式会社、デル株式会社
協力企業 サン・マイクロシステムズ株式会社
メディア協力 ITmedia エンタープライズ編集部、@IT編集部、IDGジャパン、ZDNet Japan

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提供:MIJSコンソーシアム
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2007年2月20日