IBM、BladeCenterの「仮想アーキテクチャ」提供へ

米IBMは、一連のネットワーキングツールと管理技術を数社のパートナーとともに提供し、自社のブレードサーバの速度と効率を改善する考えだ。

» 2007年01月16日 16時12分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
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 ニューヨーク州アーモンクに本社を置くIBMでは、自社の「BladeCenter H」システムに組み込まれる新製品群を「仮想ファブリック技術」と呼んでいる。これは、企業のデータセンターの接続性と帯域幅を改善するのに必要な、スイッチ/ネットワーク機器をイーサネットの接続ファブリックに組み合わせたアーキテクチャを意味するという。

 IBM BladeCenterを担当するプログラムディレクター、イシャン・セーガル氏は、「これで、BladeCenter Hシステムで相互運用性を提供するという約束を顧客に果たすことができる。われわれは高い効率と大容量を顧客に提供しようとしているのだ。この技術は、より大きな帯域幅とパワーをシャーシに組み込むことを可能にする」と述べている。

 この新アーキテクチャの一部として、IBMおよびカリフォルニア州サンタクララに本社を置くBlade Network Technologiesは、ブレードサーバ用の10ギガビットイーサネット(10GbE)スイッチを提供する。両社によると、これはブレードサーバ用として初の10GbEスイッチだという。

 Blade Networkの「Nortel 10G Ethernet Switch」をBladeCenter Hに組み込み、さらに「NetXen 10G」拡張カードを搭載することにより、IBMのブレードサーバのユーザーに「業界他社の製品よりもはるかに優れたスループットとレイテンシを提供できる」とセーガル氏は話す。

 IBMでは、価格面でも競争力があるとしている。セーガル氏によると、スイッチの価格は1ポート当たり500ドル以下になるという(IBMによると、Blade Network Technologiesのスイッチの価格は20ポート搭載モデルが9799ドルに設定される予定)。

 さらにIBMは、Cisco SystemsおよびQLogicのネットワーキングスイッチとFibre Channelに関する新しいパートナーシップも発表した。

 IBMでは、非常に競争の激しいブレード市場(IDCの調査によると、2009年までに年間売り上げ100億ドルの規模に成長する見込み)において、今後もHewlett-Packard(HP)、Dell、Sun Microsystemsなどの競合企業との差別化を図っていく考えだ。

 IDCとGartnerによる昨年7〜9月期の調査では、IBMは42.3%というシェアでブレード市場をリードしており、35%のシェアを確保したHPがそれに続く。IBMがこの優位を維持するには、ブレードサーバに対するユーザーの要求に俊敏に対応できることを顧客に示す必要がある。

 IBMがBladeCenter Hで提供する追加技術は、2006年12月4日に発表された「BladeCenter HT」システムに組み込まれている技術に似ている部分もある。この製品には、Blade Network Technologiesが開発した10GbEスイッチが搭載されており、これらのスイッチは通信企業の過酷な運用環境に対応したサーバ向けに設計されている。

 IBMによると、この新しい仮想アーキテクチャは、IPTVやオンラインゲーム分野など大きな帯域幅へのニーズがある業界にも適しているが、ウォール街の投資会社やHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)を必要とする企業なども、データセンターインフラの統合や消費電力の削減によるメリットが得られるという。IBMでは、ブレードサーバ群を相互に接続する仮想ネットワーキングシステムを提供することにより、データセンターの負荷を緩和する考えだ。

 Blade Network Technologiesのビクラム・メータ社長兼CEOは、「データセンターにおける最大の問題は、電力とスペースと冷却だ。場所を取り、熱を放出するサーバ装置を削減するだけでは不十分だ。ネットワーキング機器も、この問題に寄与しているのだ」と話す。

 IBMでは、10GbEスイッチのほかにも、BladeCenter Hシリーズ用に幾つかの製品を提供する予定だ。その1つがCiscoの組み込み型「4G Fibre Channel」スイッチである。この製品は、エンドツーエンドのSAN(Storage Area Network)サービスを配備することを可能にする。

 そのほかのネットワーキング製品としては、「QLogic Ethernet InfiniBand Bridge」モジュールと「QLogic Fibre Channel InfiniBand Bridge」モジュールが含まれる。これらのモジュールは、InfiniBandで接続されたBladeCenter Hシステム群を外部のGbEネットワークやFibre Channelネットワークに接続するためのゲートウェイ機能を提供する。

 IBMは、システム管理者がソフトウェアを使って、ブレードで使用するイーサネットポートおよびFibre Channelポートのアドレスを割り当てることができる「Address Manager」という新ツールも提供する予定だ。これにより、製造工程でこれらのアドレスをハードウェアに焼き込む必要がなくなる。

 さらに同社は、各ブレード内のFibre ChannelまたはGbEコネクションの数を2倍に増やすことができるマルチスイッチインターコネクトモジュールも提供する。

 Address Managerを除き、これらの製品はいずれも現在、注文を受け付けており、2月または3月に出荷開始の予定だ。IBMによると、NetXen Ethernet Expansion Cardの価格は899ドル(2ポートモデル)から。Ciscoの4G Fibre Channel Switchの価格は20ポートモデルが1万4999ドル、10ポートモデルが8999ドル。QLogic Ethernet InfiniBand Bridgeの価格は8149ドルから、QLogic InfiniBand Fibre Channel Bridgeの価格は9799ドルとなっている。

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