運用負担の軽減と拡張性の向上を実現既存の環境を生かしながら、新たにコア-エッジ型SANを構築

大手ISPのニフティ株式会社では、急激なデータ量の増大と、それに伴う管理負担の急増を受け、Brocade 48000ダイレクタとBrocade 4100 スイッチによるコア-エッジ型のSAN環境を構築し、同時に点在していたSANアイランドをBrocade AP7420(Multiprotocol Router)で接続してストレージ統合を実現した。これにより、バックアップ作業の効率化を図ると共に、拡張性と管理効率に優れたSANインフラが整備されることとなった。

» 2007年02月07日 19時00分 公開
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 パソコン通信時代から数えて約20年の歴史を持つ大手ISP「ニフティ株式会社」。同社は、「With Us, You Can」というキャッチフレーズのもと、安全性・信頼性の高いインターネットサービスをユーザに提供するのみならず、インターネットを活用してユーザの生活を豊かにし、「お客様のライフパートナーになること」を目指し、より付加価値の高いさまざまなサービスの提供に力を入れている。しかし、加入者数の増加や光環境への移行の加速、さらにはより競争力のあるサービス提供の要求などにより、管理しなければならないデータ量は大幅に増加し、もはや現状のストレージ環境では対応しきれなくなってきていた。

データ量の急増によるシステムの複雑化への対応が急務――既存環境を生かしたSANアイランドの統合を決定

ニフティ株式会社 基盤インフラグループ センター部 課長 蔵原寛氏

 これまでニフティでは、様々なサービスを提供するに当たって、システムごとにSANアイランドを構築し、それぞれ専用のストレージを用いていた。しかし、光ファイバー回線の登場などによってユーザの通信環境は高速化し、それに伴い管理しなければならないデータ量も急激に増加していく中、従来の管理手法の延長線上に単にSANを増やして行ったのでは、さらにシステムの複雑化を招くことになるばかりか、大幅な運用管理コストの増加を免れない恐れがあった。

 そしてこの課題を解決すべく、ニフティがSANの統合プロジェクトを立ち上げたのは、2005年の秋頃のことだ。「新たにコア-エッジ型SANファブリックを構築し、そこにFCルーターを介して既存のSANアイランドを接続して全体を統合すれば、管理効率と拡張性に優れたストレージ環境が構築できると考えたのです」と、センター部課長の蔵原寛氏は言う。

 ニフティでは、この要求を満たすべくベンダー各社のソリューションの検討を開始。その結果、ブロケードのFCダイレクタBrocade 48000(富士通 SN200 Model 540)とFCスイッチBrocade Brocade 4100(富士通 SN200 Model 480)を使ってコア−エッジ型SANを構築し、同時にブロケードのSANルーティング・スイッチBrocade AP7420(富士通 SN200 Model 250M)によって、既存のSANアイランドを接続することを決定した。センター部の上野貴也氏は、「ブロケードのFCスイッチについては既存のSAN環境においてすでに導入実績があり、その機能性や安定性には満足していました。既存のSANアイランドを接続するためのルーティング・スイッチには当然、既存環境との相互接続性が保証されていることが必須であり、その点ブロケード製品であれば間違いないと考えたのです」と説明する。

 ニフティがこの統合プロジェクトを立ち上げたのが2005年の秋。そして、統合後の新たなSANファブリックが稼動したのは2006年1月。つまり、検討開始から導入まで半年とかからずに完了したことになる。導入作業には、システム・インテグレーションを手がける富士通株式会社の協力を得て、ほとんど何のトラブルもなく無事終了したとのこと。「既存のSANアイランドにほとんど手を加えず、MPRを介して新たなSANファブリックと接続しています。データの移行を行う必要もなかったため、導入もスムーズに実行できました」と、上野氏は振り返る。

SAN/ストレージ統合により、管理効率を向上――バックアップとリソース追加作業時間を大幅に短縮

ニフティ株式会社 基盤インフラグループ センター部 上野貴也氏

 コア−エッジ型のSAN環境を構築し、同時に分散していたSANアイランドを統合したことによって、ニフティではさまざまな効果を実感しているそうだ。

 一つには、バックアップ作業の大幅な効率化が挙げられる。これは、従来SANアイランドごとにバックアップ・システムを構築・実施していたところ、SANを統合したことによって統合バックアップが可能になり、個別のバックアップ・システムの構築にかかっていた時間と作業を大幅に削減することができたのが要因だ。また二つ目には、ストレージの追加作業を大幅に効率化することができたことが挙げられる。統合前の環境では、設計から構築、設定まで約2〜3カ月を要していたストレージリソースの追加作業が、ストレージ統合後には、ストレージの空きリソースを割り当てるだけの数時間程度の作業で済むようになったのだ。ニフティ センター部課長 蔵原 寛氏は、「例えば、お客様に提供している容量を無制限にするという新しいサービスを打ち出したとしても、容量が不足する前に、すぐに必要なストレージを追加提供できるわけです。これは、サービスを向上する意味においても、またお客様にとっても大きなメリットとなります」と、リソース追加作業が効率化されたことの効果を述べる。


将来の拡張にも柔軟に対応できるインフラ整備を完了――DRやストレージ仮想化、さらにILMへの取り組みも

ニフティ株式会社 基盤インフラグループ センター部 遠藤秀平氏

 今回のプロジェクトを通して、ニフティはブロケードのBrocade 48000およびMPRの性能と安定性に非常に満足しているとのことだ。統合後のSAN環境においても、本番稼動後約1年経った現在まで、サービス停止を伴うようなトラブルはまったく起こっていないという。ニフティでは、このプロジェクトによって将来のサービス拡張にも柔軟に対応できるストレージ・インフラが整備できたと考えており、2007年にはこの統合されたインフラをベースに災害対策(DR)サイト構築を行う計画だ。遠隔拠点にあるデータセンターのSAN同士を、MPRを介して接続し、統合されたSAN全体をDR構成のインフラとして活用することができるようになるため、サービス構築のたびに必要であったDR構成作成の手間を省き、管理効率を高められる。

 ニフティでは、今回の統合によって整備されたストレージ・インフラを基盤にしながら、今後はさらにストレージ仮想化やILMといった考え方を取り入れ、より可用性と管理効率に優れたITインフラへと強化していく計画だ。上野氏は、「ブロケードからは、今後の製品ロードマップや方向性などについて定期的に情報を提供してもらっており、ニフティのシステム拡張計画を検討する上でも大変参考になっています」と語り、これらの新しい技術の検討や導入に際しても、さらにブロケードへの期待を高めている。

ニフティのSANファブリック構成概念図

技術的課題:

データ量の急激な増大と、それに伴う管理負担の増加に対応するため、従来システムごとに分散していた複数のSANアイランドを統合し、同時に将来のサービス拡張にも柔軟に対応できる管理効率の高いストレージ・インフラを整備すること

ソリューション:

ブロケードのFCダイレクタBrocade 48000およびFCスイッチBrocade 4100でコア-エッジ型SANを構築。同時に、既存のSANアイランドをBrocade AP7420で接続し、ストレージとSANの統合を実施

成果:

  • SAN統合によりバックアップ・システムと作業を統合。バックアップ・システム構築の所要時間削減と運用管理の効率化を実現
  • ストレージの拡張性を向上し、サーバーに対するストレージリソース追加への対応を迅速化
  • データセンター内における柔軟なストレージ配置を実現
  • 将来の拡張への柔軟な対応を可能とするストレージ基盤を構築

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提供:ブロケード コミュニケーションズ システムズ株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2007年3月11日