地図とオンラインOSの関係（後編）：Windows Liveが魅せる次世代マッシュアップ（1/5 ページ）

“マッシュアップの面白さは手軽さにある”。Webページを作る感覚でJavaScriptを使い、地図を自由に利用する醍醐味は？　この記事では、Virtual Earth（地図）とWindows Messenger（メッセンジャー）のマッシュアップを紹介しよう。

[大澤文孝，ITmedia]

　Windows Liveは、マイクロソフトがオンラインで展開する「検索」「メール」「ブログ」「地図」「メッセンジャ」などを提供するWebプラットフォームだ。

　これらの機能はユーザーの目から、「http://www.live.com/」というURLで、Webサイトとして認識できる。しかし、実際にはAPI（Application Program Interface）として各サービスが構成されており、開発者がそのAPIを用いることで、それぞれのサービス機能を自由に呼び出すことが可能だ。上記のlive.comでは、各種サービスをまとめたり、ほかのオープンなAPIと連携することもできるLiveガジェットが用意されており、Microsoft自身もマッシュアップでサービス連携をしているのだ。

　オンライン・ムックPlus「Windows Liveが魅せる次世代マッシュアップ」のこの記事の後編では、前編に引き続き、Windows Liveで提供されている主なAPIの使い方と、マッシュアップが実際にどのように行われるのかを解説していく。記事中には、幾つかのJavaScriptのソースコードが登場するが、自ら体感していくコツは、一部の数値を変更するなどして、変化の楽しみを見ていくことだ。

　今回の記事でのポイントは、マッシュアップがいかに簡単かを理解してもらうことである。前編に続いて読んでみれば、Virtual Earthを便利に利用するためのノウハウが分かるはずだ。

マッシュアップはWebアプリとの組み合わせが重要

　前編で見てきたように、Virtual Earth Controlを使うと、地図を表示するだけでなく自由に特定の場所を検索することができる。

　そうとはいえ、前編のリスト3に示したように、テキストボックスを設けてユーザーに検索させるのが目的ならば、わざわざVirtual Earth Controlを使わなくても済むだろう。そうなると、http://maps.live.com/から場所検索をすればよいのでは？　となってしまう。

　このため、「Virtual Earth Control」を使うメリットは、ユーザーに検索させるのではなく、「ほかのアプリケーションから利用してデータを検索させる」ことにある。

　例えば、自分の店舗の場所を地図として表示したいなら、地図上で店の場所に「プッシュピンを表示」という方法が、まず思いつくだろう。

　プッシュピンの表示は、VEPushpinオブジェクトで表現されるのだ。このVEPushpinオブジェクトとは、「緯度／経度」そして、表示する「アイコン」、表示する「名称」や「詳細情報」を含めることができるものだ。

　具体的には、次のようにすると地図上にプッシュピンを配置できる。

var pin = new VEPushpin(
  1, new VELatLong(35.676918, 139.761161), 
  'http://www.itmedia.co.jp/favicon.ico', 
  'アイティメディア株式会社 本社', '国際ビル8F');
  map.AddPushpin(pin);

　もちろん、このような静的な位置にプッシュピンを表示するだけでなく、動的な位置にプッシュピンを表示することも可能だ。

　ここでは、Windows Messengerの「連絡先」の情報を取得できる「Live Contacts Control」と「Virtual Earth Control」を組み合わせ、「友人・知人の自宅を地図上に表示する」というマッシュアップ例を見ていこう。

Windows Messengerとマッシュアップするためには

　まずは、Live Contacts Controlの使い方から説明しよう。

　Live Contacts Controlは、連絡先情報をWebアプリケーションに引き渡す機能を提供するものだ。なお、Live Contacts Controlは2007年2月現在、β版となっている。そのため、使い方や動作は、今後変更される可能性があることを忘れてはならない。なお、Live Contacts Controlは少し複雑なため、解説より前に、プログラムリストと、その動作を見せておくことにしよう。