メモリ8GBのPCは業務に耐えられるのか。MicrosoftはWindows 11の更新で、8GB搭載PCの応答性を最大20%、マルチタスクの処理速度を最大40%向上させたと発表した。OSとアプリの双方で進めた改善策の中身とは。
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Microsoftは2026年11月3日(現地時間)、メモリを8GB搭載した「Windows 11」のPCについて、動作の応答性とメモリの使用効率を改善したと発表した。同社が2026年7月にWindowsの品質改善の重点分野として掲げたメモリ最適化について、その最新状況を公表した。
同社によると、8GBのPCでWindowsの応答性は最大20%向上し、複数のアプリを同時に使うマルチタスクの処理速度は同社のラボテストで最大40%向上した。いずれも2026年1月時点のビルドと比較した数値だ。同社は、16GBや32GBのメモリを搭載したPCがより多くの処理をこなせる点は変わらないとした上で、8GBのPCでも従来より多くの作業をこなせるようにすることを狙いに挙げている。
8GBのPCでタスクマネージャーを開くと、メモリの大半が使用中と表示されることがある。Microsoftは、この表示が必ずしもPCに負荷がかかっている状態を意味しないと説明する。では、同社はメモリを増設せずに、どのような方法で8GBのPCの動作を改善したのか。
メモリの使い方についてMicrosoftは、Windowsが空いているメモリを活用し、よく使うアプリやデータをすぐに呼び出せる状態に保っていると説明する。利用状況が変われば、Windowsはそのメモリを解放したり優先度を変えたりする。タスクマネージャーでメモリの大半が使用中に見えるのはこのためだ。同社は、使われずに残っているメモリの量ではなく、PCの応答性が保たれているかどうかが重要だとしている。
Windowsは以前から、使用頻度の低いデータを圧縮してメモリに残し、低速なストレージへの退避を減らしてきた。Microsoftは今回、メモリ圧縮の度合いや、データをストレージに退避するタイミング、メモリに戻すタイミングを8GBのPC向けに調整した。その結果、作業中のデータを最大2GB多くメモリ上に保持できるようになり、開いたままにしたアプリやブラウザのタブに戻った際に再読み込みが発生しにくくなったという。
操作の応答については、Windowsがユーザーの要求した処理を一時的に優先し、ユーザーが操作している間は検索インデックスの作成といったバックグラウンド処理を控えるようにした。冒頭で触れた応答性の最大20%向上は、Windowsの主な操作にかかる時間を測定した結果だ。対象は「スタート」メニューや検索、右クリック、「設定」の表示と、「Snipping Tool」や「エクスプローラー」の起動だ。
Webブラウザ「Microsoft Edge」は、バックグラウンドで既に動作していることが多い。そこでWindowsは、リンクのクリックや「スタート」メニューからEdgeを開く際に、起動中のEdgeを探す処理を省いて直接接続するようにした。これによってEdgeを開く速度は最大33%向上するという。この改善を利用するにはEdge 150以降が必要だ。
コミュニケーションツール「Microsoft Teams」は、8GBのPCで、処理負荷を抑える「Efficiency Mode」を既定で有効にできる。これによってTeamsの起動は最大20%速くなり、動作中に使うシステムリソースも減るという。Teamsは会議中、カメラの解像度を調整してプロセッサの処理能力を音声処理に振り向けることができ、PCの負荷が高い状況でも通話の音声を明瞭に保てるという。
マルチタスクの処理速度は、同一の8GBのPCで、更新前後のビルドを使って負荷の高い作業を再現し、測定した。テストでは、Edgeで20個のタブを開いた後に4K動画を開いた。続けて容量の大きい「Microsoft Word」や「Microsoft PowerPoint」「Microsoft Excel」のファイルと、「Microsoft Outlook」やエクスプローラーを順に開き、全てを開いたままにした。この一連の作業は、2026年1月時点のビルドと比べて最大40%速く完了したという。テストには、Qualcommのプロセッサ「Snapdragon X Plus」を搭載したHPのノートPC「HP OmniBook 3」を使った。Microsoftは、この結果は特定のシナリオと構成によるものでベンチマークではないとしている。
一方でMicrosoftは、3Dモデリングや高度な動画編集、大規模なデータ処理といった負荷の高い作業には、16GB以上のメモリを搭載したPCが向いているとしている。
メモリ使用量の削減では、WindowsとEdge、業務アプリケーション群「Microsoft 365」のアプリの改善を合わせ、8GBのPCを使ったマルチタスクのテストでコミットメモリ(プログラムが使うためにOSが確保したメモリ)の増加量を最大900MB抑えた。このうちWordやPowerPoint、Excel、Outlookの改善による削減分は360MBに上る。Windowsのプラットフォーム側の改善によって、メモリ使用量を2桁の割合で減らしたサードパーティー製アプリもある。メッセージングアプリ「WhatsApp」のWindows版がその例だという。
使っていない機能のメモリ消費も減らした。メモリが8GB以下のPCでは「ウィジェット」を開いたときにだけ読み込むようにし、閉じている間のコミットメモリを約200MB削減した。Edgeでは、使っていないタブがスリープ状態に移行するまでの時間の既定値を、2時間から15分に短縮した。
Microsoftは、プロセッサの進化によっても8GBのPCで実行できる処理の幅が広がるとしている。技術評価やマーケティングサービスを手掛けるPrincipled TechnologiesがMicrosoftの委託で実施したテストでは、8GBのメモリを搭載した2026年モデルのDellのノートPC「XPS 13」が、同じく8GBの2021年モデルと比べてマルチコアのCPU性能で最大94%高い結果を示した。この2026年モデルは、CPU性能やWebブラウジング、4K動画の書き出しなどで、16GBのメモリを搭載した2021年モデルとほぼ同等の性能を示したという。この結果はテストした機種に基づくもので、8GBのPC全般を代表するものではないとしている。
Microsoftは今後数カ月で、次の取り組みを進める。
これらの改善を利用するには、Windows 11のバージョン26H2のOSビルド26300.9818以降に更新する必要がある。「設定」の「Windows Update」で「利用可能になったらすぐに最新の更新プログラムを入手する」を有効にし、「更新プログラムのチェック」を選ぶ。一部の改善はアプリの更新やMicrosoft Store経由で提供されるため、EdgeやMicrosoft 365、Teamsも最新の状態に保つ必要がある。
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