WANトラフィックを可視化し、最適化する――真の高速アプリケーション配信のためのアプローチ

現在、企業のWAN回線上では200種類以上のアプリケーションが通信し、帯域の半分を占有しているという。さらに、音声や動画などのトラフィックはより大きな帯域を必要とする。これらを遅延なく伝送するためには、通信の中身を分析し、帯域を適切にコントロールする仕組みがなければならない。ただ単にWAN高速化ソリューションを適用するだけでは、帯域の最適化にはつながらないのである。パケッティアの回答は、各アプリケーションのトラフィックを識別、特性を把握した上で高速化することだ。

» 2007年03月01日 00時00分 公開
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TCP/IPトラフィックの増大がWANの帯域を圧迫

 企業のWAN回線を経由するTCP/IP通信が年々飛躍的に増加して、WANの帯域を圧迫している。

 その要因の1つとして、WAN経由で利用されるアプリケーションが複雑化していることが挙げられる。主要な業務アプリケーションがWebアプリケーション化され、業務システムへのブラウザベースのアクセスは広域化し、WANへの依存性がさらに高まった。また、IP電話やテレビ会議システムなどのVoIP(Voice over IP)アプリケーションの進展もTCP/IP通信量を増大させている。

 そもそもTCP/IP通信は、確認応答、フロー制御、ふくそう制御といったプロトコル自体の非効率性を抱えている。そうした特性は、LAN上での利用ではさほど問題にならなかった。しかし、WAN回線では、複雑化したアプリケーション通信が増大したことによって、その非効率性の問題が露呈してしまった。さらに上位プロトコルのHTTP、従来から利用されているCIFS(Common Internet File System)やNFS(Network File System)で使われるプロトコルもTCP/IP同様に非効率性があるなど、WAN上での利用に最適化されていないことが背景にある。

 もう1つの要因として、データセンターなどへのサーバおよびストレージ統合の進展が挙げられる。LAN内に閉じていたサーバやストレージがWAN経由でもアクセスされるようになり、しかもアクセス距離も拡大した。ブランチオフィスからのアクセスにおけるパフォーマンス低下の原因にはサーバ処理の遅延、クライアント処理の遅延、コンテンツ生成時の遅延など、さまざまな遅延が背景にあるが、最も大きな遅延はWAN通過時のRTT(Round Trip Time)の増大である。

 また、データセンターへのデータ集中化に伴い、事業継続性の観点からディザスタリカバリ(DR)サイトの構築・運用が増え、データセンター間を同期化するためのトラフィックもWAN回線の帯域圧迫に拍車をかけることになった。

 プロトコルの非効率性の問題を抱えたTCP/IPトラフィックがこうしたことを背景に増大し、WAN回線やサーバの増強、ルータの設定変更、アプリケーションやシステムの設計変更といった手段ではもはや解決できない深刻な問題になりつつある。

遅延を抑えるカギはトラフィック分析とアプリの特性に応じた高速化

 現在、企業は業務においてさまざまなアプリケーションを利用している。それらアプリケーションは企業のアクセス網を介して全国各地の拠点から利用されており、WAN上では平均して200以上のアプリケーション通信が流れているとされる。

 その中には、業務に欠かせなくなった電子メールや基幹システムの業務アプリケーション、ファイル共有など重要なアプリケーションもあれば、業務に関係ないWebブラウジングや音楽ファイルのダウンロードなども含まれている(図1)。そうした数多くのアプリケーション通信は、それぞれ特有の問題によってWAN上のトラフィックの遅延を生み出している。

photo 図1 WAN上で通信するさまざまなアプリケーション (クリックすると画像が拡大します)

 例えば、ビデオ会議などを含むVoIPアプリケーションでは、スループットの低下だけでなく、遅延や揺らぎも品質低下につながる。またWAN経由のファイル共有サービスでは、CIFS特有の細かいメッセージのやり取りが遅延に影響を及ぼす。あるいは、業務以外のアプリケーションによる無駄な帯域消費やウイルス、DoS(サービス妨害)攻撃など想定外の急激なトラフィックが業務アプリケーションに致命的なパフォーマンス低下をもたらすこともある。

 こうした遅延を解消していくためには、「アプリケーションごとの特性を把握した上で、WAN上のアプリケーショントラフィックの現状を分析する必要がある」(パケッティア ジャパンの塚本靖シニアシステムコンサルタント)。さらにその分析に基づいて、アプリケーションの優先度を決定するとともに、個々のアプリケーション特性に合った高速化のチューニングを行うべきである。

 これに対してパケッティアは、数多くのアプリケーショントラフィックが混在するWAN環境において、トラフィック状況を細かく分析・可視化するとともに、トラフィックのポリシーに基づくアプリケーション制御、アプリケーション特性に対応した高速化を図るソリューションで課題に応えている。以下に具体的にみていこう。

 音声/データ統合環境でのパフォーマンス管理

 IP電話やテレビ会議といった音声とデータが統合された環境では、音声/映像の品質劣化などの問題とその原因を把握する必要がある。パケッティアのパフォーマンス管理では、遅延や揺らぎはもとより、品質管理で重要になるR値やMOS値などのパラメータの詳細な測定と分析ができる。例えば、音声データがWAN上でどれほど帯域を使っているか、時間ごとのスループットはどうか、さらに特定のIPアドレス同士の通信における遅延や揺らぎの分析など、パフォーマンスのブレークダウンによって詳細な測定・分析が可能だ。

 そうした分析に基づいて、音声データに適切な帯域を割り当てるアプリケーションQoS(サービス品質)のコントロールや、ストリーミング系で利用されるRTP(Real-time Transport Protocol)アルゴリズムの圧縮などを行うことで、音声/データ統合環境において最適な品質管理が可能になる。

 トランザクション系トラフィックのレスポンス改善

 ERP(統合業務パッケージ)ソフトやグループウェアなどトランザクションタイプのトラフィックでは、アプリケーションによる帯域競合、トランザクション遅延、サーバ遅延、ネットワーク遅延など、さまざまな側面での分析が必要となる。パケッティアのシステムでは、こうしたトラフィック管理に基づいた上で、インテリジェントなアプリケーションレベルのQoSコントロールと圧縮技術に加え、「Xpress TCP/Xpress HTTP」というアクセラレーション技術によってWAN遅延を解消する。

 サーバ/ストレージ統合によるパフォーマンス低下への対応

 昨今のサーバ/ストレージ統合によって、前述のようにWANを介したファイルサービスのレスポンスが悪化している。その要因は、CIFSやNFSのLAN環境を前提としたプロトコルデザインによるところが大きい。これに対してパケッティアは、WAN環境でのCIFSおよびNFSのファイルサービスを最適化する独自プロトコル「Storage Cashig/IP」(SC/IP)技術を持っている。このSC/IPを使うことで、データをバルクキャッシュしてLAN環境と同等のファイルサービスを実現する。

 DRサイトへのデータ転送の効率化

 DRサイトへのデータバックアップでは、大容量ファイルの転送が時間内に終了しない、あるいはWAN回線の帯域幅に対して相応のスループットが出ないといった問題が発生する。このような問題に対してパケッティアは、データ圧縮技術とともに独自のTCPアクセラレーション技術を提供する。

 このTCPアクセラレーション技術は、データセンター間の通信において、TCP通信を、WANに最適化されたXTPと呼ばれるプロトコルに変換して転送する。TCPでは、Windowsのスループットサイズと遅延からプロトコルの性能自体に限界があるが、XTPはこの限界を打ち破るもの。回線の帯域をXTPの通信で埋め尽くし、サイト間の大容量データ転送のスループットを飛躍的に増やすことが可能だ。

アプリ固有の問題を解決するパケッティアのソリューション

 パケッティアは、前述したような個々のアプリケーション環境に対応する、インテリジェントなアプリケーションQoS、アクセラレーション、拠点ITサービスによるWANの最適化のソリューションとして、「PacketShaper®」「iShared™」「SkyX®」という製品群をラインアップしている(図2)。

photo 図2 「PacketShaper」「iShared」「SkyX」は個々のアプリケーション要件に対応する (クリックすると画像が拡大します)

 まず帯域管理装置であるPacketShaperは、監視モジュール、制御モジュール、圧縮モジュール、高速化モジュールなどにより、アプリケーションレベルの可視化、制御、圧縮、高速化を通じてアプリケーションのパフォーマンスを最適化する。

 監視モジュールは、600以上のアプリケーションをレイヤ7で自動分類するとともに、トラフィック状況を細かく分析して重要なトラフィックの帯域を確保。また、音声/ビデオなどのサービスレベルで監視を行い、ウイルスやDoS攻撃などのセキュリティ脅威もリアルタイムで検知する。制御モジュールでは、トラフィックポリシーに基づいて柔軟にアプリケーションQoSをコントロールし、WANの回線効率を最大化することができる。

 また、圧縮および高速化モジュールは、アプリケーションごとに最適な圧縮アルゴリズムを適用してアプリケーションのパフォーマンスとレスポンスを改善、Xpress TCP/Xpress HTTPによる高速化と相まって、パフォーマンスが最大約10倍にまで向上するという。

 WAFS(WANファイルアクセス高速化)ソリューションであるiSharedは、CIFSやNFSのWAN経由のファイル共有サービスへのアクセスを大幅に高速化できる。

 iSharedが採用するSC/IPでは、ファイルオープン時にやり取りされる数百に及ぶメッセージとデータをストリーム化して転送するとともに、データ圧縮とキャッシングなどによってデータ量を大きく削減する。

 通常、1.5MbpsのWAN回線で60ミリ秒の遅延があるとすると、5MBのWord文書を読み込むと文書が開くまでに122秒ほど掛かってしまう。そこでiSharedを利用すると1回目のアクセスで11秒、キャッシュデータが存在する場合は3秒にまで短縮することができる。iSharedは、CIFSやNFSだけではなく、HTTP、FTP通信のほかマイクロソフトのSharePointサーバやExchangeサーバ、Lotus Notes/Dominoなどへのアクセスもカバーする。

 またiSharedでは、DNS/DHCPやドメインコントローラ、プリントサービス、Webキャッシングなどのブランチオフィス向けの「スタッカブルサービス」も提供。拠点において重要となる各ITサービスもiShared1台でサポートする。

 iSharedはアプライアンスだけでなく、サーバソフトウェア版も用意されている。さらに、モバイル用クライアント(「Mobiliti」)をサポートしており、モバイルユーザーも高速なファイルアクセスが可能になる。メールクライアントのネットワーク経由のバックアップなどをバックグラウンドで処理できる。

 一方、WAN高速化装置「SkyX」は、DRをはじめとするデータセンターのデータレプリケーションなどWAN上で一度に大量のTCP通信を必要とするネットワーク環境に適している。TCP通信のWAN上の遅延を大容量通信に最適化されたXTPプロトコルに変換することにより、レプリケーション通信のセッションで最大約100倍もの高速化を図れる。IPv6の高速化にも対応している。

 また、オン・ザ・フライデータ圧縮機能による圧縮率は最大で約10倍。通常の混合トラフィックで実現される圧縮率と比較しても、より多くのデータを転送できる。こうした技術を活用したSkyXのDRサイト構築は、カブドットコム証券の導入事例に見ることができる。

 なお、SkyXのXTPアクセラレーション技術は、PacketShaperにもインプリメントされている。さまざまなアプリケーションが混在する環境において、一部のトラフィックをXTPを使って高速化したいというときにPacketShaperで対応できるようになっている。

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提供:パケッティア ジャパン インク
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2007年3月31日