マイクロソフトが考えるUC戦略とは

 マイクロソフトは、都内でUC戦略についての説明会を行った。日本企業の俊敏性を高めるために同社が提供するソリューションとは……。

» 2007年09月30日 17時17分 公開
[伏見学,ITmedia]

 マイクロソフトは9月28日、都内の同社セミナールームにて、10月に発売される「Office Communications Server 2007」(OCS 2007)や統合コミュニケーションクライアント「Office Communicator 2007」(OC 2007)など新製品のデモンストレーションと、それに関わるユニファイドコミュニケーション(UC)戦略について説明を行った。

 UCの目的は「ビジネスプロセスにおける人的遅延を削減し、俊敏性を身に付けることである」と、同社・インフォメーションワーカービジネス本部の越川慎司氏は説明した。現在UCの市場と技術は成熟しつつあるが、まだ企業へのソリューション導入などは進んでいない。特に日本国内においては、チームや企業を越えたコミュニケーションおよびコラボレーションは欧米と比べて少ないという。

インフォメーションワーカービジネス本部・越川慎司氏 マイクロソフトのUC戦略を説明する、インフォメーションワーカービジネス本部・越川慎司氏

 導入が進まない理由として、プレゼンスなどの新たな技術が理解されていない、導入事例が確立されていない、製品が技術的に複雑であるといった課題が挙げられている。また企業は導入に際し、コスト削減など定量的なROIを求めているが、生産性の向上など定性的なROIを基準にしている点もネックに感じているようだ。実際に、マイクロソフトが1000社以上の国内企業にヒアリングを行ったところ、こうした意見が多かったという。

 今回同社が提供するUC関連製品の目的は、こうした課題を解消し企業にビジネスメリットをもたらすことだという。

UC導入に向けたMSのアプローチ UC導入に向けたマイクロソフトのアプローチ
MSユーザー側の幅広い選択肢 マイクロソフトユーザー側の幅広い選択肢

 デモンストレーションでは、ビジネス現場においてOC 2007やパノラマビデオ映像デバイス「RoundTable」を採用することで、ワークフローの機敏性が高まり、従来生じていた人的遅延やコストを削減できることが示された。

 OC 2007は、リアルタイムコミュニケーションサーバであるOCS 2007の推奨クライアント。インスタントメッセージ(IM)はもちろんのこと、WordやExcelなどの 「2007 Office System」と連携しているため、ユーザーはさまざまなコミュニケーション方法を選択できるという。RoundTableは、今回新たに発表された製品。パノラマ映像を撮れるため、Web会議などで参加者状況などを確認できる。これらのソリューションを利用することで、ユーザーは相手が遠隔地にいても、あたかもその場にいるかのように、リアルタイムに音声会話をしたりパワーポイント資料などを共有したりすることが可能で、業務効率の向上につながるという。

 このデモンストレーションの中でも、ビジネスプロセスの俊敏性やスピードアップという言葉が繰り返し使われた。またIMをベースに、Webカメラでの映像、音声などによるリアルタイムなコミュニケーションがUCに欠かせないと強調した。

 最後に、越川氏は同社のビジネスモデルについて「場所やデバイスにとらわれず、ユーザーのワークスタイルに合わせた幅広いソリューションを提供したい。UCを通じてソフトウェアの利便性を伝えたい」と語った。

パノラマビデオ映像デバイス「RoundTable」「RoundTable」のオペレーション画面 「RoundTable」は、下部にマイクロフォン、スピーカーフォン、タッチスクリーンLCD、上部に5点式カメラを搭載

 日本ではまだ導入事例の少ないUCだが、そのコンセプトに賛同する企業は増えているようだ。例えばIMについては、ビジネスツールとしての導入意欲は高いという。10月17日のOCS 2007発表イベントでは、UC導入を表明した企業数十社が紹介されるという。これを契機に、国内でも徐々にUCが浸透していくのではないだろうか。

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