デバイスから業務要件を分離――企業の「持続可能なIT基盤」を支えるシトリックスCitrix iForum 2011 Japan開催に向けて

2011年10月4日、東京・溜池山王のANA インターコンチネンタルホテル東京でシトリックス・システムズ・ジャパンが主催する「Citrix iForum 2011 Japan」が開催される。テーマは「持続可能なIT基盤を考える」。その概要について、同社マーケティング&ビジネスディベロップメント本部 本部長の伊藤利昭氏に話をうかがった。

» 2011年09月02日 10時00分 公開
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柔軟なワークスタイル環境を整える

 東日本大震災以降、災害に備えて事業継続性を実現するには、どのような施策を行うべきかという話題に注目が集まっている。ビジネスが停止しないようにシステムを遠隔地間で冗長化したり、クラウドサービスを利用して重要なデータの消失を防止したりといったソリューションを導入する企業も増えている。だが、そもそも災害対策を念頭に置くのではなく、日頃からビジネスの「持続可能性」を高めておくことが重要だというのが、シトリックス・システムズ・ジャパン(以下、シトリックス)の考えだ。

 「今回の震災では、東北地方の沿岸を襲った津波による甚大な被害を受けましたが、首都圏を大きな混乱に陥れたのは、電力不足・輪番停電による交通機関のまひでした。震災当日とその後の数日間、電車が動かないという不便さを味わったのは、初めての経験でした。多くのビジネスマンは、これで仕事を続けられるのかという不安を感じたわけですが、その一方で自宅にPCがあり、ブロードバンド回線でインターネットに接続され、どこにでもアクセスできるのに仕事ができないことを、身を持って知らされました」(マーケティング&ビジネスディベロップメント本部 本部長の伊藤利昭氏)

 交通機関のまひによる影響は、シトリックス自身も受けたという。

 「当社では震災後、社員はリモートアクセスによって仕事ができたので問題はありませんでした。ところが、当社の業務を委託している企業では担当者が出勤できず、一時的に業務が滞ってしまうという事態が発生しました。当社も含めてIT関連業界では、交通機関が止まることで大きな影響を受けることをまったく予想していなかったわけです」

 交通機関が止まることは、震災に限らず日常的にあり得ることだ。そうした事態に備え、出勤が困難な場合でも通常通りに業務を継続できること、勤務する場所に捕らわれない柔軟なワークスタイル環境を整えておくことが解決策になると伊藤氏は言う。

デバイスから業務要件を分離する

 もう1つ、今回の震災によって明らかになったのは、クライアントPC、サーバ、ネットワークなどのIT機器で障害が発生した場合の対策が不十分であることだという。多くの企業では、IT機器に障害が発生したら、代替機と速やかに交換して復旧させること想定していた。しかし、交通機関が止まり、物流が機能しなければ、代替機の入手も困難だということが分かったのだ。

photo シトリックス・システムズ・ジャパンの伊藤利昭氏

 「IT機器の破損による問題は、どんなデバイスでも使えるようにしておくことで解決できます。代替機が手配できなければ、例えば個人所有のPCを業務に利用するなど、あるものを使うしかありません」(伊藤氏)

 しかし、個人所有のPCを業務に利用する場合、企業のセキュリティポリシーによって禁止されているなどの壁もある。

 「それを解決するには、デバイスからセキュリティ要件と業務要件、ネットワーク要件を分離することです。つまり、一般的なネットワークを使ってインターネット経由で業務にアクセスできる環境を作ります。従来の企業システムでは、クライアントPCにアプリケーションとデータを持っていますが、それをサーバ側に移行して、必要なITリソースをデータセンターに集約します。クライアント側は、画面を表示するだけです。これにより、PCだけでなくタブレットやスマートフォンもクライアントデバイスとして利用可能になります。それらのデバイスには業務のアプリケーション環境もデータもないので、セキュリティを心配する必要はありません」(伊藤氏)

 サーバ側の対策として有効なのは、クラウドサービスを活用することだという。

 「サーバ側の環境は、自社で全部を所有するのではなく、クラウドサービスを利用します。これまで日本では、セキュリティ対策に不安があるだとか、何かあったときに自社で所有している以上の堅牢性を確保できるかといった議論がありましたが、クラウドサービスをきちんと理解して利用すればよいと考えています」(伊藤氏)

 ユーザーは、さまざまなデバイスからクラウド上に用意されているアプリケーションやサービスを利用する。それをフロントとして企業システムにアクセスする。企業システムに入ると、業務やデータにアクセスできるデスクトップ環境がサービスとして提供される。これらをあたかもプライベート空間のようにセキュアに利用できる環境を、シトリックスでは「Bridge:ブリッジ」と呼び、クラウド環境も含めてエンタープライズシステムとして考えるのだという。

 「これにより、ユーザーはデバイスを自分で自由に選定できるようになります。一方で企業のIT部門は、クライアントのアップデートやパッチの適用などをサーバ側で一括管理することが可能になります。OSのバージョンアップに伴ってクライアントPCを入れ替えるというコスト負担も大幅に軽減できます」(伊藤氏)

BCPやクラウドへの理解を深める

 このように「持続可能性」を高めるためには、具体的にどのようなソリューションを選択すれば良いのか。すでに取り組んでいる企業は、どのようなIT基盤を用意したのか。そうした内容は、10月4日に開催される「Citrix iForum 2011 Japan」に用意されたセミナーの各セッションで聞くことができる。

 とりわけ「持続可能なIT基盤を考える」というテーマは、米Citrix Systems シニア バイス プレジデント 兼 CMOのウェス・ワッソン氏、CTO Office シニアディレクターのマイケル・ハリス氏、シトリックス・システムズ・ジャパン 代表取締役社長のマイケル・キング氏の3氏によるキーノートスピーチで詳しく紹介されるのに加え、事業継続性関連のセミナーが9セッションほど用意されている。

 例えば、シトリックスの事業継続計画(BCP)ソリューションを実際に利用している企業、およびシステムを構築したシステムインテグレーターが、実際に震災をどう乗り切ったのかという生の声が聞けるほか、学校事務のワークスタイル改革に取り組んだ地方自治体の事例などが紹介される。また、2008年にハリケーン・カトリーナ、2009年に新型インフルエンザの流行によるパンデミック対策、そして東日本大震災と世界各地のオフィスで事業継続に対応したCitrix本社のBCP担当ディレクターによる自社事例の紹介もある。

 その手段として注目されるクラウドについても、詳細なセミナーが用意されている。

 「どのような変化にも即座に対応できる迅速性、柔軟性を実現するバーチャル・コンピューティングにより、企業システムのIT基盤は所有から利用へと、今まさに進もうとしています。しかし、クラウドに関しては、企業がクラウドを本格的に導入するまでに、まだまだ高いハードルがあります。特に日本では、従来型のITにおいて自社の業務に合わせてシステムをカスタマイズするという文化が根強くあり、業務システムをクラウドに移行する事例は多くありません。クラウドでは、標準化された環境を利用するからこそ、必要に応じていつでも、安価に利用できるというメリットがあります。こうしたクラウドに対する理解を深めていただくためのセッションを用意しています」(伊藤氏)

 一方で、クラウドサービスを提供する側に立った新技術、あるいはユーザー視点に立ったクラウドなど、さまざまな切り口のセッションも用意されている。

 IT部門向けには、テレワークによるワークスタイル改革とBCPを両立するリモートアクセス環境の構築するにあたって、セキュリティやコスト、パフォーマンス、展開のスピードなどの観点からどのように解決すべきか――その技術的なポイントを解説するセッションがお勧めだ。夕方の遅い時間帯には、シトリックスの各製品を実際に使ってシステム環境の構築手順を学ぶエンジニア向けセッションも設けられている。

 全50セッションで構成される見どころ満載のCitrix iForum 2011 Japanは、企業のIT部門はもちろん、経営者からユーザーまで誰にでも有用な情報が入手できる場として、決して見逃すことのできないイベントだ。

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提供:シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2011年10月1日