情シス女子の悲劇 Windows XP/Office2003サポート切れ3カ月前の場合ライセンス認証、互換性、Officeアップグレードは大丈夫?

Windows XPのサポート終了までのカウントダウンが進む。企業のクライアントPC環境の移行も佳境に入ってきたが、「まだまだ」という感覚の企業は多い。サポート終了が目前に迫れば、どんな悲劇が待っているのだろうか……。

» 2012年11月08日 10時00分 公開
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突然のエラーメッセージ

新藤 蒼(しんどう そう)
とある中堅商社の情報システム部に勤務。仕事にも慣れてきた入社4年目だが、部長からの無理難題には頭を抱える毎日を送っている。

 2014年1月。とある中堅商社の情報システム部で働く新藤 蒼(しんどう そう)は、オフィスで1人、頭を抱えていた。

「どうしよう……」

 事の発端は、3カ月前にさかのぼる。社内に約800台あるクライアントPCの運用管理を一手に任されていた蒼は、Windows XPのサポートが2014年4月に切れることを初めて知ったのだった。社内PCのOSは全てWindows XP。これを、あと半年以内に全てWindows 7へ移行しなければならない。

 OS移行のプロジェクト責任者に任命された蒼は、急いで情報をかき集め、Windows 7のボリュームライセンス契約を締結する。検証用に5台のPCを確保し、ようやくWindows 7をインストールできたのは2013年も既に終わろうとしていた頃だった。そして、年明け早々に動作検証作業を進めていた蒼は慌てふためく。

「何なの、このメッセージは……」

 5台の検証用PCの全てで、起動直後に「ライセンス認証の手続きを今すぐ行ってください」というメッセージが表示された。急いでネットで調べてみると、Windows 7をインストールしたPCごとに、オンラインか電話でライセンス認証の手続きをしなければいけないらしい。

「盲点だったわ……。こんな手続き、800台全部でいちいちやっていたら、切りがないわよ! ああ、どうしよう」

 頭を抱えていたちょうどそのとき、背中から呑気な声が聞こえてきた。

部長 「明けましておめでとう! 年明け早々、ご苦労さん。順調に進んでる?」

 声の主は蒼の上司、情報システム部の部長だ。蒼は事の経緯を説明する。

部長 「ん、ボリュームライセンスなんだろう? Windows XPを導入したときには、ボリュームライセンスだからアクティベーションなんてなかったぞ。何かの間違いじゃないのか?」

 「(事情も知らずに……)じゃあ、今、その目で実際に見てください。それとも、ご自分でアクティベーションされますか!?」

Windows 7の展開と認証には独自ノウハウが必要

 2014年4月、Windows XPのサポート期間が終了する。サポートが切れたOSは、たとえ脆弱性が発見されても、マイクロソフトから修正プログラムが提供されなくなるため、セキュリティリスクが一気に高まる。現在、多くの企業が自社のPCで利用しているWindows XPをWindows 7に移行させる作業を進めている。

 しかし、その過程では実に多くの企業が蒼と同じようにライセンス認証の問題にぶつかっているのだ。Windows XPのボリュームライセンスは、プロダクトキーさえ入力すれば、アクティベーション(ライセンス認証)の手続きが不要だった。それが、Windows Vista以降ではボリュームライセンスであっても手続きが必須になっている。社内に何百台、何千台とある全てのPCで1台ごとにライセンス認証の手続きをしていたのでは蒼の言う通り「切りがない」。

 そこでマイクロソフトは、大量のPCのライセンス認証と展開を効率的に行う方法を幾つも提供している。例えば、ボリュームライセンス利用のOSのライセンス認証を自動的に行う「ボリューム アクティベーション(VA)」や、その構成技術である「キー管理サービス(KMS)」「マルチ ライセンス認証キー(MAK)」などがある。

 Windows Vista以降のクライアントOSの導入に初めて取り組む企業は、あらかじめこうした技術について十分調査しておくべきだろう。

画面が正しく表示されない! Webアプリケーションの互換性問題も

 1月4日は新年の仕事始めだ。まだ正月休み明けの緩んだ雰囲気の漂うオフィスで、蒼だけが1人、真剣な眼差しでPCに向かっていた。

「ふぅ、何とか5台分のライセンス認証は完了したわ。800台のアクティベーションをどうするかは、あとで部長も交えて相談しよう」

 Windows 7移行に関する情報を調べる中で、事前にアプリケーションの互換性がネックになりそうなことも分かっていた。早急に社内で使われている業務アプリケーションの動作検証を進めないといけない。

 ただし、蒼にはほのかな期待があった。幸いなことに、社内で使われている業務アプリケーションの大部分がWebブラウザで利用するものだったのだ。

「PCに直接インストールするアプリならともかく、ブラウザで使うWebアプリならOSが変わっても影響はあまりないわよね……」

 早速アクティベーションを終えたばかりのPCでブラウザを立ち上げ、就業管理システムのトップページにアクセスする蒼。

「ちょっと、何よ、これ!」

 ブラウザに表示された画面を見て、蒼は青ざめた。トップページのレイアウトがズレていて、ボタンやテキストが見えなくなっていたのだ。慌ててその他のWebアプリケーションにもアクセスしてみたところ、やはり幾つかの画面で同様の現象が発生している。

「これは、一通り全部の画面をチェックする必要がありそうね。どうして、こうもうまく行かないのかしら。はぁ……」

Webアプリの互換性検証はお早めに

 Windows XPからWindows 7にクライアントPC環境を移行する際、実はOSそのものの移行に加えて、アプリケーションの互換性という厄介な問題も浮上する。PCで直接利用するネイティブアプリケーションの移行はもちろんだが、業務アプリケーションの多くがWebベースで開発されている現在、Webアプリケーションの互換性検証は極めて重要になる。

 Windows XPで使うWebアプリケーションの大半は、Internet Explorer(IE) 6を前提に開発されている。しかし、Windows 7に搭載されるIE8は、独自仕様の多いIE6に比べ、よりWeb標準に則った仕様である。表示や動作に若干の相違点があり、Windows XP向けに開発されたWebアプリケーションの中には、IE8やIE9で画面が意図した通りに表示されないものが出てくる可能性があるのだ。この問題に対処するうえで、場合によってはアプリケーション自体に手を加える必要も出てくるだろう。

 そのため、できるだけ早く動作検証を始めるとともに、マイクロソフトから提供されているさまざまな技術情報を詳しくチェックしておきたい。例えば、アプリケーション仮想化技術「MED-V」を活用すれば、IE6が動作するクライアントPC環境をWindows 7上で稼働させることもできる。アプリケーションの動作検証や改修にかかる時間やコストとの兼ね合いを考えながら、こうした方法を検討してみるのも手だろう。

Office 2003からOffice 2010への移行も

「Webアプリケーションの動作検証かぁ。今からだと、もう間に合わないアプリが出てくるかもしれないわね。でも、Officeがちゃんと使えれば、業務への影響は最小限で済むかな?」

 蒼は早速、検証用のWindows 7マシンにOffice 2003をインストールして普段使っているExcelのアプリケーションを立ち上げてみた。

「良かった、ちゃんと動くみたい!」

 ほっと胸を撫で下ろす蒼の傍らを、部長が通りかかった。

部長 「お、どうだね? Windows 7」

 「はぁ、いろいろ課題がありそうですが、取りあえずOfficeは大丈夫そうです」

部長 「そうか! 早速Office 2010も試してみたのかね?」

 「Office 2010……2010! いや、今まで使っているOffice 2003ですけど?」

部長 「おいおい、しっかりしてくれよ。Office 2003のサポートも、Windows XPと同じ日に切れるぞ!」

 絶句する蒼。OS移行のことで頭がいっぱいだっただけに、Officeのサポート切れにまでは頭が回っていなかった。「でも、今さらそんなこと言えない……」。動揺を必死で隠しながら素知らぬ顔で答えた。

 「もちろん、Office 2010へのアップグレードを考えていますよ、はい!」

部長 「それならいいのだが。あと、会社でいつも使っているExcelファイルを自宅のPCのExcel 2010で開いてみたらマクロがうまく動作しなくて困っていたんだ。ちょうどいい機会だから、ちょっと調べておいてくれないか?」

 「えっ! ヤダ! そんな大事なこと、どうして早く言ってくれなかったんですか!」

部長 「おいおい何だ、急に怒り出して……」

 多くのWindows XPユーザーが使っているOffice 2003も、Windows XPと同じ2014年4月にサポート期間が満了する。これによって発生する新たなセキュリティリスクを認識できている企業ユーザーは、意外と少ないようだ。例えば、Officeの脆弱性を突くマクロウイルスは、かつてほど話題に上らなくなったとはいえ、依然として猛威を揮っている。近年問題になっている標的型攻撃から自社システムを守るためには、確実にパッチが提供されるOffice 2010へのアップグレードが必須だ。

 ただし、ここで気を付けたい点が1つある。Office 2003で作成したドキュメントやVBAアプリケーションの多くは、そのままOffice 2010でも動作するものの、若干の仕様の違いから一部のものはドキュメントの表示が崩れてしまったり、アプリケーションが正常に動かなかったりする可能性があるのだ。そのためWebアプリケーションだけでなく、Officeドキュメント/VBAアプリケーションの互換性検証と改修にも、可能な限り早めに着手したい。

マイクロソフトのパートナー企業が提供する各種移行支援サービス

「ライセンス認証に、アプリケーションの互換性、それにOfficeのアップグレードまで……」

 蒼は大きくため息をついて、机につっぷした。あと3カ月しかないのに、やるべきことが山ほどある。何から手を付ければいいものか。

「社内にあるWebアプリケーションとOfficeドキュメントを全部、今からたった1人で調べ上げるなんて、到底無理だよ。もう、なるようにしかならないかなぁ……」

 力なく顔を上げた蒼の目に、ふとあるものが止まった。ちょうどブラウザで開いていたマイクロソフトのサイトの片隅にある「Windows 7移行支援サービス」というアイコンだった。

「移行支援サービスね……。今さら支援してもらったところで、どうにもならないわよ。でもまあ、ちょっとだけ見てみようかな」

「移行支援サービス」活用のススメ

 ここまで紹介してきたように、Windows 7/Office 2010への移行には、どうしてもさまざまな課題が付きまとう。マイクロソフトが提供する技術情報を参考にしながら、早めに対応することで移行を成功裡に終えられるだろう。

 とはいえ、蒼のケースのように、「何から手を付ければいいか分からない」「どうしても時間や人手、スキルが足りない」という企業は決して少なくないはずだ。そうした場合にお勧めなのが、マイクロソフトのパートナー企業が提供している移行支援サービスの活用である。移行作業でのポイントを的確に押さえたワークショップやセミナー、あるいは、実際の移行作業の一部を代行するサービスも提供されている。

 サポート切れまでに残された時間とリソース、そして、コストとのバランスを勘案すれば、こうした支援サービスを積極的に活用すべきシーンがかなりあるはずだ。

移行支援サービスでギリギリセーフ

 2014年4月某日、Windows XPのサポートが切れた直後に脆弱性が見つかり、これを悪用するマルウェアの大量感染が世間を震撼させていた。これに巻き込まれたのが、Windows 7への移行に出遅れた中堅・中小企業である。中には、大企業の子会社のWindows XPマシンをあたかも標的にしたように、このマルウェアが侵入。サイバー犯罪者が子会社のPCを経由して親会社のシステムから大量の個人情報を盗み出すような事件も発生していた。

 一方、蒼が勤める会社はというと……。

 「ふー、ひとごとじゃないだけに、危なかったですね」

部長 「まったくだ。まさか、あの会社がやられるとはねえ……」

 部長が手にとる新聞には、ライバル会社がWindows XP経由で大量の機密情報を漏えいさせたニュースが載っていた。

部長 「あと3カ月しか残されていなかったときにはどうなるかと思ったよ。新藤君が見つけてきてくれた移行支援サービスのおかげで何とか間に合ったね」

 「あれがなかったら、きっと私、失踪していました(笑)」

 こうは言ったが、あながち冗談でもなかったのだ。マイクロソフトのパートナー企業が提供するWindows 7移行支援サービスをフル活用したおかげで、何とか最低限の移行作業を、サポート切れ直前ギリギリのタイミングで終えることができたのだった。

部長 「おかげで無事にWindows 7環境に移行できたよ!新藤君がいてくれれば、もう何が起きても安心だな。よし、次はWindows 8だ!」

 「ちょ、ちょっと待ってください! Windows 7とWindows 8は互換性やアップグレードパスがちゃんと保証されていますから、そんなに先走らなくても……。今回やった検証作業の結果をそのまま生かせば、まだ一部残っているWindows XPマシンをWindows 8へ移行させることだってできますよ。だいたい、私はここ3カ月というもの、ろくに休みとれてないんですよ!」

部長 「そのバイタリティで次もがんばろう!期待しているよ!」

  「もう勘弁してください……」

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