Citrixは年次カンファレンス「Citrix Synergy 2014」を米国・カリフォルニア州アナハイムで開幕。同社が提唱する「Mobile」や「Workspace」のビジョンがより鮮明に打ち出された。
米Citrixは5月6日(現地時間)、グローバル規模の年次カンファレンス「Citrix Synergy 2014」を開幕した。7回目となる同イベントは昨年と同様、カリフォルニア州アナハイムの「Anaheim Convention Center」が会場となっている。
世界66カ国から約1万人の登録者を集め、300時間以上のセッションが詰まった今年のSynergyにおいて、オープニングのキーノートを飾ったのは、年内での退任を発表しているマーク・テンプルトンCEOだ。
大歓声で迎えられたテンプルトン氏は冒頭でSynergy開催の意義とそれに対する感謝の意を伝えた後、「皆さんにとって究極のモバイルデバイスとは何か?」と聴衆に問い掛けた。テンプルトン氏にとって究極のモバイルデバイスは自動車だという。
「乗るたびに常に新しいソフトウェアのアップデートが報告される。私が寝ている間に車自身がより良くなっていく。現在は、ネットワークやストレージなど、すべてがソフトウェアで制御されているが、まさに自動車も“Software-Defined Automobile”といえるだろう」(テンプルトン氏)
そうした中、本イベントのテーマとしてテンプルトン氏が掲げたのが「Software-Defined Workspace」である。今年で創業25周年となる同社は、リモートアクセス製品から事業をスタートし、その後、仮想化、ネットワーク、クラウド、モバイルと領域を広げてきたが、その根底にあり続けた理念は「Workspace(働く空間)をより良くする」ということだった。「働く空間をモバイル化してビジネスの俊敏性を上げる。そのためのテクノロジーをCitrixがサポートするのだ」とテンプルトン氏は意気込む。
モバイル化とはどういうことか。「Mobility」や「Mobile Workspaces」は昨年来、同社が強調するメッセージである。同社が語るモバイルとは、単にスマートフォンやタブレット端末といったモバイルデバイスを指すのではなく、人やビジネス、デバイス、アプリケーション、データなどあらゆるものが自由に動き回ることを意味する。つまり、デバイスや場所を問わず、どこでも働ける環境を提供する、これが同社の推進するモバイルワークスタイル変革なのである。
こうしたMobile Workspacesを実現すべく、キーノートではいくつかの新製品がアナウンスされた。テンプルトン氏に続いてステージに登壇した同社シニアバイスプレジデントのスティーブ・ダヒーブCMO(最高マーケティング責任者)がまず発表したのが、Xenシリーズのスイート製品「Citrix Workspace Suite」である。
これはアプリケーション仮想化製品「XenApp」、デスクトップ仮想化製品「XenDesktop」、モバイル管理ソリューション「XenMobile」、企業向けオンラインストレージ製品「ShareFile」から成る。既存製品を統合し、インフラやサービス、モバイル機能などを単一の製品として提供することで、ユーザーは導入や運用の負荷を低減できるという。Citrixでは、1ユーザー当たりのメンテナンス費が450ドル以上削減できると試算している。また、従来バージョンの製品を個々に持つユーザーに対して、買い替えキャンペーンを実施する。これにより、顧客は最大70%のコスト削減が見込めるという。
加えて、Mobile Workspacesをデザイン、構築、調達するためのクラウドベースのプラットフォーム「Citrix Workspace Services」を新たに発表。これによってあらゆるユーザーやパートナーは仮想デスクトップサービス(DaaS)やクラウドアプリケーション、モバイルサービスなどを瞬時に利用できるようになるという。同プラットフォームはMicrosoftのクラウドサービス「Microsoft Azure」上で構築される。こちらは2014年後半にリリース予定である。
そのほか、モバイル向けのメール「WorxMail」およびWebブラウザ「WorxWeb」のUXを再デザインし、Windows Phone 8を新たにサポートするXenMobileの最新版「XenMobile 9」や、コンシューマー向けオンラインストレージの「Dropbox」や「Google Drive」と機能連携が可能になったShareFile、負荷分散装置「Citrix NetScaler」を支える中核技術の最新バージョン「Triscale 2.0」など、既存製品のパフォーマンス強化も伝えられた。
中でも成長著しいのがShareFileだ。リリースから18カ月で100万ライセンスを達成し、4万5000社のビジネスカスタマーを獲得したという。そのうちの2社はそれぞれ7万5000人以上の従業員が活用しているそうだ。「コンシューマー向けではない、安全かつグローバル規模で導入できるエンタープライズ向けのデータファイル共有サービスだからこそ支持されるのだ」とテンプルトン氏は胸を張る。
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