破壊的なテクノロジー、「HANA」と「Xeon」がビジネスを変革

6月初め、フロリダ州オーランドで行われたSAPPHIRE NOW 2014 Orlandoでは、SAP HANAによるビジネス変革の先進事例が数多く紹介された。これまでのITでは不可能だったことがHANAとXeonプロセッサー E7 v2 ファミリーの組み合わせで可能となる。この破壊的なテクノロジーを使わない手はない。

» 2014年06月30日 10時00分 公開
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SAPの共同創設者、ハッソ・プラットナー監査役会長

 「2007年ごろ、だれも信じなかったが、わたしはデータベースの応答時間がほぼゼロになるという破壊的なイノベーションを予測し、インメモリーデータベース、SAP HANAの開発を強く進言した」── 6月初め、フロリダ州オーランドで行われたSAPPHIRE NOW 2014 Orlandoの基調講演でSAPの共同創設者であり、今も監査役会の会長を務めるハッソ・プラットナー氏はそう話した。

 2007年といえば、ちょうど同社がインメモリーデータベース技術を活用した「BI Accelerator」を発表したころだ。インテルの協力を得て開発されたこのハードウェアアクセラレーターは、SAPのデータウェアハウスである「SAP Business Warehouse」に横付けするだけで、データ分析のパフォーマンスを20倍から200倍も引き上げることができた。背景には、先進的な同社の顧客企業が、より良い意思決定を迅速に行いたいと考え、さらに高度な分析を必要とし始めたことがある。

インテル データセンター事業開発部の田口栄治シニアスペシャリスト

 パートナーであると同時に、SAPの大手顧客企業としても知られるインテル日本法人の情報システム部門で長年働き、SCMをはじめとするさまざまな大規模プロジェクトに参画した田口栄治 データセンター事業開発部シニアスペシャリストは、「破壊的テクノロジーの時代になれば、企業のITも変革されなければならない。変革を実現するのがSAP HANAであり、それを支えるのがインテルのプロセッサーだ」と話す。

 「ITによっていかに儲けるのか、いわゆる攻めの姿勢が問われる時代になった」(田口氏)

 製造業で行われている日々の製販調整などを例に考えても、かつては欠品ゼロを良しとしたり、単品の売り上げ最大化が狙いだったが、今では全体で「利益」が最適となる需給バランス計画を作成しなければならなくなっている。

 「計算量は何倍にもなり、従来型のバッチ処理では追いつかなくなる」(田口氏)

 もちろん、これまでにもさまざまな部署の要求に応じ、彼らが欲しいと考える情報を素早く提供するため、事前にデータを集約しておく工夫をしてきた。しかし、例えば、1枚の受注伝票がデータ入力されると、あらかじめ作られたたくさんのデータベースを更新しなければならず、システムは複雑化するし、硬直化もする。ビジネスの現場が必要とする情報は常に変わるが、情報システムはすぐに対応できないからだ。

複雑さを生む「データの集約」をHANAが解消

SAPPHIREカンファレンスでもHANAには人だかりが

 SAPのプラットナー氏は、システムが複雑化する根本的な原因は、「データのアグリゲーション(集約)」にあるとする。20年前、SAPはR/3によってクライアント/サーバ型のアーキテクチャーに移行、より多くのユーザーをサポートし、より多くのビジネスプロセスをデジタル化・自動化してきたが、その複雑さは極限に達している。現在のSAP Business Suiteのコードは実に4億行にも及ぶという。

 インテルと共同開発したBI Acceleratorによってデータウェアハウスのパフォーマンスを劇的に改善することに成功したプラットナー氏は、SAP Business Suiteのデータベースそのものをインメモリーデータベースで置き換え、複雑化したアプリケーションのデータモデルを一気にシンプルにし、情報は必要なときに瞬時に加工して導き出すことができると考えた。

 もちろんテクノロジーの後押しも大きい。R/3のリリース当時と比較して、メモリ容量が6000倍、プロセッサのコア数×クロック数は1万8000倍に達している。20年前のものは再設計が必要なのだ。

HANAに最適な最新のインテル®Xeon® プロセッサー E7 v2 ファミリー

 インテルの田口氏は、「これまで企業のITインフラストラクチャーに求められてきたのは、基幹業務を支える信頼性や可用性、そして性能の拡張性という、いわゆる“RAS”の機能だったが、ソーシャル、モバイル、アナリティクス、クラウドといった破壊的なテクノロジーが主流になってくると、日々膨大なデータが生み出され、企業もこれを駆使することが求められるようになっている」と話す。

インテル® Xeon® プロセッサー E7 v2 ファミリーの機能向上(出典:インテル)

 今年2月に発表された最新の「インテル® Xeon® プロセッサー E7 v2 ファミリー」では、1ソケットのコア数を50%増の15個に引き上げただけでなく、特に大量のデータ処理やトランザクション処理を必要とするワークロード向けに最大メモリー搭載容量は3倍に引き上げ、4ソケットで何と6テラバイトものメモリーをサポートする。コア数が多く、大容量メモリーへの高速アクセスを実現したインテル® Xeon® プロセッサー E7 v2ファミリーは、大量のデータをメモリー上でリアルタイムに処理するSAP HANAに最適なプロセッサーといえる。

 HANAの開発にあたっては、インテルとSAPが密接に協力して最適化を図っているため、企業の実際の分析業務のように複数クエリーが同時に処理を要求しても、すべてのコアを上手く活用し、CPU使用率もほぼ100%と安定しており、高い負荷が掛かったときにも有効にプロセッサー性能を引き出すことに成功している(NTTデータグローバルソリューションズによる性能検証)。

HANAによる「予測」や「シミュレーション」がビジネスを変革

 「HANAは圧倒的なパフォーマンスを叩き出すので、ERPのデータモデルをいちから作り換え、最低限で済ませることができる。詳細データを基に必要なときに柔軟にレポートを作成し、より高度な“予測”や“シミュレーション”も可能となる」(プラットナー氏)

 プラットナー氏は、いち早くSAP HANAを活用し、「予測」や「シミュレーション」によってビジネスの変革に挑んでいる顧客企業をSAPPHIREカンファレンスのステージに招き上げた。

 イリノイ州モリーンに本社を置くJohn Deereは、世界最大手の農機具メーカー。1837年創業の老舗だが、HANAでトラクターにイノベーションをもたらそうとしている。

 「2050年には世界人口が90億人に達し、食料不足は深刻化する。農業の生産性を高めることが大きな課題となる」と話すのは、同社でグローバルインフォメーションテクノロジー担当ディレクターを務めるラリー・ブリュワー氏。トラクターのセンサーから送られてくるデータをSAP HANAで分析し、故障の予兆を数カ月前につかみ、予防的な保守サービスに役立てているという。

 「よりディープなアナリティクスによって故障の根本原因も究明でき、顧客満足度向上につなげられている」とブリュワー氏。

 米国の大手加工食品メーカー、ConAgra FoodsはSAP HANAの「シミュレーション」パワーを活用し、食品の加工からデリバリーまでのトータルなコスト管理に役立てている。ネブラスカ州オマハの同社では、原材料の調達から加工、配送、広告、店頭での値付けに至るまで、HANAによるシミュレーションを通じて、市況や需要の変化に応じたトータルなコストの最適化を図っている。

三井情報もHANAで新境地を開く

 もちろん日本の企業もSAP HANAを活用したビジネスの変革に挑んでいる。三井物産の情報システム部門が独立して生まれた三井情報は、インメモリーデータベースのHANAと出会うといち早く検証を始め、それまで数日掛かっていたゲノム解析を20分で処理することに成功する。また、スマートフォンなどによる位置情報と顧客の属性情報や購買履歴などを掛け合わせ、HANAでリアルタイムに分析し、売り上げの拡大などに生かす「動線分析」にも取り組んだ。

 同社は今回のSAPPHIREカンファレンスでSAP HANAを活用した「市況予測」サービスを開始することも明らかにした。三井物産は、エネルギー、貴金属、穀物などを商品先物取引所で売り買いする。これまでにも市況予測レポートを販売する会社はあったものの、社内のデータを生かそうとすると、Excelなどに頼らざるを得なかった。新しい市況予測サービスでは、社外から購入した為替データ、商品データ、輸送費データ、マクロ経済データなどと、社内の取引に基づくデータをクラウド上のHANAに取り込み、さまざまなアルゴリズムを組み合わせ、より精度の高い予測を行うことができるという。

 インテルとSAPの協業が生んだSAP Business Suite powered by SAP HANA、いわゆる「Suite on HANA」は、1年前にリリースされたばかりだが、既に世界で1000社以上が採用に踏み切っている。

 「これまでのITでは不可能だったことがSAP HANAとインテル® Xeon® プロセッサー E7 v2 ファミリーの組み合わせで可能となる。この破壊的なテクノロジーを使わない手はない」(田口氏)

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提供:インテル株式会社/SAPシャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2014年9月30日

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