IoT導入の大きな障害、データの“サイロ化”を防ぐソリューションとは?データ基盤の新たな要件

IoTが普及し始めた今、IoTを支えるシステム基盤では新たな課題が浮上している。それはデータモデルの違いから生まれるデータのサイロ化だ。この対策として注目されているのが、インターシステムズのソリューションである。

» 2016年03月01日 10時00分 公開
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 あらゆるデバイスがインターネット経由でつながり、相互にデータ交換を行うIoT(Internet of Things=モノのインターネット)。エンタープライズITにおいて、今最もホットなトレンドであり、世の中を大きく変える可能性を秘めたテクノロジーだ。

 IoT化が進んだ世界では、さまざまなセンサーやデバイスが、バックエンドのITシステムや他のデバイスに何かを要求したり、報告を求めたり、命令したりといった通信をリアルタイムかつ、自律的に行うことが当たり前になるだろう。機械側が状況を判断し、最適なアクションを行うことで、人間の負担は軽くなるともいわれている。

 場合によっては機械が意思決定を下し、人間に対して作業指示を行うことも考えられる。いわゆる“RoboBoss(ロボット上司)”の誕生だ。米国の調査会社Gartnerは、IT業界の展望「Gartner Predicts 2016」で、2018年までに全世界で300万人以上の労働者が、RoboBossの管理下に置かれると予想している。IoTが私たちの生活やビジネスを一変させる時代は、すぐそこまで来ているのだ。

IoT実現への意外な落とし穴「データサイロ」

 とはいえ“膨大なデータを分析する”という点では変わらないため、IoTが今までのビッグデータ分析と何が違うのか、今一つピンと来ていない人もいるかもしれない。

 簡単に言えば、両者はデータ活用の目的が異なる。ビッグデータはセンサーデータを取得、分析して得られた情報を人間が活用することが目的なのに対して、IoTはバックエンドシステムやデバイス自体が、データの意味を理解して次の行動に移すところにゴールがあるのだ。

 IoTを実現するにはビッグデータ分析に加えて、多数のデバイスやセンサーが正確かつ安全にデータ交換を行う必要がある。しかし、そこには大きな“落とし穴”がある。「データサイロ」だ。

 部分最適化によって構築されたシステムを、それぞれ孤立した構造の貯蔵庫(格納庫)にたとえて“サイロ”と呼ぶことがある。データサイロもこれと同じ考え方だ。異なるアプリケーション間でデータを連携できないのはありがちな話だが、デバイスや機械間でも、リレーショナルモデルやグラフ型モデルなど、処理に適したデータモデルが違うためにデータを連携できないケースも多いのだ。

 それぞれの役割や性能が異なるデバイス(センサー)、アプリケーションで構成されるIoTのシステムにおいて、1カ所でもこうしたデータサイロが発生してしまえば、リアルタイムかつ正確な制御などできるはずもない。

photo 異なるアプリケーション間でデータを連携できないのはありがちな話だが(アプリケーションデータサイロ)、デバイスや機械間でも、リレーショナルモデルやグラフ型モデルなど、処理に適したデータモデルが違うためにデータを連携できないケースも多い(データサイロ)

IoT時代に求められるデータ基盤の“要件”

photo インターシステムズジャパン ビジネスディベロップメント シニア・マネージャー 佐藤比呂志氏

 IoTのポテンシャルを最大限引き出すには、要件に合ったデータ連携基盤を構築する必要がある――。そう語るのはインターシステムズの佐藤比呂志氏だ。佐藤氏によれば、そのカギを握るのは「戦略的相互運用性」だという。

 「IoTに限らず、あらゆるアプリケーションには特有のデータ要件があります。そのため、異なるアプリケーション間でデータを共有する場合、データを送信する側が受信する側に対して『正しいデータを』『正しい量で』『正しい人に』『正しい時間に』配信し、『正しいアクションを』導くという5つの要素を満たす必要があるのです。インターシステムズではこれを“戦略的相互運用性”と呼んでおり、人間を介さずにデータ交換を行うIoTでは、特にこの原則が重要になります」(インターシステムズジャパン ビジネスディベロップメント シニア・マネージャー 佐藤比呂志氏)

 戦略的相互運用性を実現するデータ連携基盤といわれても、イメージするのが難しいかもしれない。佐藤氏によると、それはアンサンブルの指揮者や航空管制官、そして交通整理員の役割に似ているという。

 彼らの役割は、それぞれが個別に行動する演奏者、飛行機、自動車に対して正しい情報を与え、正しいアクションに導くことにある。それと同じくデータ連携基盤は、IoTのバックエンドシステムやデバイスに対して正しい情報を与える役割を果たす。

 「データ連携基盤には、メッセージングやバッファリング以外にも、内容に基づいてデータの送り先を変更するルーティング、インタフェースの違いをデータ変換などで調節するメディエーション(調停)、システム全体を最適化するオーケストレーション、システム全体を統制するガバナンスなど、さまざまな要件があります」(佐藤氏)

多種多様なデータをつなぐインターシステムズのソリューション

 これらの要件を満たすには、システム自体が“今起こっている現状”を理解し、データをどう扱うか判断する仕組みが必要だ。それには「プロセスの可視化とデータ(経験)の蓄積」が不可欠だと佐藤氏は話す。これこそが本当の“データマネジメント”といえるだろう。

 アプリケーション接続・連携プラットフォーム「InterSystems Ensemble」やデータベース管理システム「InterSystems Cache」といったインターシステムズのデータプラットフォームソリューション群は、こうした“理想の”データ連携基盤を実現する手助けになるという。中でも、多種多様なデータ形式や取り扱いに対応しているのが、IoTのシステムに向く点だ。

 「インターシステムズのデータプラットフォームは1つのデータに対して複数のアプローチができる点が強みと言えます。一般的なデータベース製品は、特定のデータ形式にしか対応しないことが多いですが、インターシステムズの場合、リレーショナルや非構造、半構造、オブジェクト指向など、さまざまなデータに対応するマルチモデル対応となっています。

 スキーマモデルも選びません。リレーショナルモデルやオブジェクトモデルのような完全スキーマから、XMLやJSON(JavaScript Object Notation)といったセミスキーマ、キーバリューアクセスのスキーマレスまで幅広く対応しており、データベースの再編成やインデックス再構築も不要です。格納効率も高く、メンテナンスの手間がかからない点も特長といえるでしょう」(佐藤氏)

 そして、データを連携した上での分析、解析にも強いのが同社ならではのポイントだ。データウェアハウスによるバッチ処理中心の分析とオンライン処理によるリアルタイム分析を組み合わせる「アクティブアナリティクス」や、自然言語からコンテキストに基づいた情報を得る「iKnowテクノロジー」による、非構造データの解析といった高度な機能も利用できる。

 これらのソリューションは世界的にも高く評価されている。2015年10月にガートナーが発表した「オペレーショナルデータ管理システム分野(※)におけるマジッククアドラント」では、インターシステムズは2年連続で「リーダー」に位置付けられている。

※XML、JSON、テキスト、音声、画像、動画などのさまざまな構造をサポートするデータベース管理システム

IoTを活用した高度な導入事例

 日本では、これからIoTビジネスを本格的に展開していくインターシステムズだが、海外では既に先進的な導入事例が登場している。“イエローキャブ”の愛称で親しまれているニューヨーク市のタクシーだ。

 ニューヨークでは度々起こるタクシーとトラックの衝突事故が問題になっているが、事故発生時には過失や保険金を巡って争うことになる。そんなときに役に立つのが、タクシーに搭載されているデータレコーダーだ。ビデオや音声の記録に加え、GPSや速度計、衝突回避システム、車線インジケーターといった各種センサーから得たデータを基に分析を行い、保険会社が“何が起きたのか”を正確に検証できる。これも立派な車載IoTデバイスといえるだろう。

photo “イエローキャブ”の愛称で親しまれているニューヨーク市のタクシー。タクシーに搭載されているデータレコーダーにはIoT関連のテクノロジーが詰まっている

 このアプリケーションは、米AssureNet社によって開発されたものだが、そのアプリケーションの構築基盤として採用されているのが、インターシステムズのプラットフォームである。

 AssureNet社ではデータレコーダーとアプリケーションに加えて、リスク管理と損失削減サービスを付加した製品を自動車保険会社とタクシー運行会社の両方に提供している。このシステムの導入により、保険会社は天候や時間、ドライバーの運転のクセ(荒さ)などによって事故が起きるリスクを把握でき、保険金の支払いを抑えることができるようになった。

 さらにタクシー運行会社は事故多発地点を避けたルートを指示することで事故リスクを大幅に軽減できたという。同社はデバイス間の相互接続性、高速処理が可能なデータストレージ、リアルタイム分析機能などを備えたインターシステムズのプラットフォームを高く評価している。

 今後は日本国内でもIoTを活用したさまざまな事例が登場してくるだろう。既に、ウェアラブルデバイスのデータを活用して、さまざまなサービスの開発を行う実験が進行中とのことだ。インターシステムズのソリューションは今後、IoTに最適なデータ連携基盤を実現する有力な選択肢となっていくに違いない。

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提供:インターシステムズジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2016年3月31日