「宅ふぁいる便」の情報漏えい事件がまだ記憶に新しい中、ファイル共有サービスには一層高度なセキュリティやユーザーのプライバシー保護が求められています。そんな中、Mozillaのファイル共有サービス「Firefox Send」は、意外な方法でこの要求をかなえる仕掛けを提示しました。
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2019年1月25日に発表された、ファイル共有サービス「宅ふぁいる便」の情報漏えい事件に関して、事件の全容を記した報告書が、同サービスを手掛けるオージス総研によって公開されました。宅ふぁいる便は多くの方が利用していた分、事件の影響は広範囲に及びました。利用者の「一時預かりファイル」が漏えいしていなかった点は、ひとまず不幸中の幸いだったかもしれません。
また、宅ふぁいる便の今後に関しては、「最新技術の採用や利便性向上等のためのシステム再構築が必要であることから、本サービスは当面休止」とも発表されました。歴史の長いシステムであることもあり、再開まではかなりの時間がかかりそうです。
とはいえ、第三者のサービスで漏えい事件が起こったからといって、今さら大容量のファイルを「電子メールの添付ファイル」として送信するのは現実的ではありません。私自身は、こうしたファイルの共有は宅ふぁいる便ではなく、Dropboxの共有リンクを使っていましたが、ちょっと面白いサービスがひっそりと正式公開されていました。Mozillaが提供する「Firefox Send」です。
Firefox Sendは、ある程度のサイズのファイルをまとめて誰かに送信、共有するための無料のサービスで、Firefox以外のWebブラウザでも使え(注)、Firefoxの会員登録すら必要ありません(FirefoxのIDでログインすると、ファイルアップロードの最大容量が増えます)。
注:同サービスを使うには、WebブラウザがAES-GCMアルゴリズムを使ったJavaScriptの暗号化APIに対応している必要があります。
必要な操作はほとんどなく、送りたいファイルを画面にドロップし、有効期間を指定した上でアップロードするだけ。すると送信用のURLが表示されるので、それを共有相手に送るだけで、ファイルをやりとりできます。実際に触ってみると「これだけ?」と思うはず。ぜひ、まずはあなたのWebブラウザで試してみてください。
と、ここまで読んで「でも、それってただ簡単なだけじゃないの?」と思う方もいるでしょう。実は、この“作りのシンプルさ”に注目するのには、それなりの理由があります。
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