中小企業の業務効率化で見落としがちな「基幹系と情報系の連携」の効果とは?

労働力不足や少子化を前に「働き方改革」が待ったなしの局面を迎える中、人材や予算に余裕のない中小企業は具体的に何に取り組めば良いのか。そのヒントは「基幹系システム」と「情報系システム」の連携だ。専門家に詳細を聞いた。

» 2020年01月14日 10時00分 公開
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 「働き方改革」の必要性が叫ばれるようになって久しい。国立社会保障・人口問題研究所の予測によれば、2020年には日本人の約3割が65歳以上となる。少子高齢化や労働者人口の減少は今後も加速していくだろう。企業が生き残るためには、より効率的な「働き方」を取り入れて生産性を高め、避けられない社会構造の変化に対応する他ない。

 従業員の業務負荷を減らして企業全体で生み出す価値を高める取り組みは、業種業態や規模を問わず必要だ。少数の従業員で事業を展開し、定期的な人材補充が困難な中小規模企業にとって、限られたリソースで最大限の価値を生み出す働き方への転換は最重要の経営課題といえる。

 経済産業省の外郭団体である中小企業庁の調査によれば、日本企業全体における中小企業の割合は99.7%にのぼり、従業者数は全体の約7割を占める。つまり中小企業における働き方改革こそが、日本全体の生産性を高める上で大きな意味を持つということだ。しかし「大企業ほどの余裕がない」「どうすればいいか分からない」といった理由から具体的な取り組みに着手できていない中小企業は多いのではないだろうか。

削減できる「ムダ」は「基幹系」と「情報系」のスキマに残っている

 「キャッチフレーズとしての『働き方改革』が注目され、『従業員の残業時間を減らす』ことを具体的な目標として掲げる経営者が増えていますが、あまり良くない傾向だと思います。業務そのものを十分に見直さず、勤怠管理のみで残業時間を減らしたところで、その『時短』には意味がないからです。業務の中にあるムダやムリを減らし、その結果として残業がなくなるという本質を見失っては本末転倒です」

OSK取締役兼上席執行役員マーケティング本部長 石井 ふみ子氏

 こう話すのは、基幹系・情報系統合ソリューションパッケージ「SMILE(スマイル) V」の開発元であるOSKの石井 ふみ子氏(取締役兼上席執行役員マーケティング本部長)だ。

 働き方改革の実現にITの積極的な活用は有効だ。しかしITを導入しただけに終わらず、業務効率化や生産性向上といった成果を生み出すところまで活用できている企業はそれほど多くない。

 石井氏は、理由の1つとして基幹系システムと情報系システムが社内で分離していて、多くのムダが発生していることを指摘する。この傾向は、社内システム全体の企画や構築を担当する部署や専任の担当者を置く余裕がない中小規模企業において特に顕著だという。

 中小企業におけるIT化は、まず販売管理や会計管理、人事給与管理といった業務を回すための基幹系システムを導入し、その後で社内の情報共有や稟議、承認といったワークフローを効率化するためのグループウェアなどの情報系システムを整備することが多いのではないだろうか。その結果、基幹系と情報系が連携されないまま別のシステムとして運用されているならば、そこに改善の余地がある。

 例えば「営業担当者が顧客に対して見積もりを出し、発注を受ける」という業務の流れを考えてみよう。見積書は表計算ソフトでテンプレートなどを基に作成して、ファイルサーバに保管する。上司による見積もり内容の確認と承認を経て顧客に送られ、先方が納得したら発注書が届く。

 発注の方法は顧客によってまちまちだ。電話で受注した営業担当者が伝票に記入したり、送付されてきた発注書を事務担当者が定期的にまとめて確認して販売システムに入力したりといった作業が発生する。

 これだけでも基幹系システムに関わる作業と情報系システムに関わる作業が混在していることが分かる。「見積もり作成」「発注情報入力」は基幹系システム、「見積もりに対する上司の承認(ワークフロー)」は情報系システムを利用して処理される。システムの分断が情報の転記や承認待ちといったムダな作業やムダな時間を生み出すというわけだ。

 「企業の中で基幹業務に携わる人や基幹システムを直接触る人は、ほんの一部です。一方、現場で業務を処理する人たちは、ワークフローやスケジューラなどの情報系システムを日常的に使っています。企業全体の業務効率化を考えるのであれば業務の流れの中で基幹系と情報系をうまく連携させ、そのはざまにあるムダをなくしていく必要があります。SMILE Vは、それを念頭に置いて基幹系と情報系のシステムを統合しています」(石井氏)

基幹系と一体化した「情報系モジュール」で業務改革を実現するSMILE V

 OSKのSMILE Vは、約40年の歴史を持つ業務ソリューションパッケージだ。矢野経済研究所の「ERP市場の実態と展望 2019年版」(2019年8月発刊)において、中堅中小企業(年商50億円未満)向けERPライセンス売上高シェアの分野で7年連続No.1を獲得するなど高い実績を持つ。

 SMILE Vは、「販売」「会計」「人事給与」などを中心に業務のIT化に求められる周辺機能をモジュールとして提供する。2018年11月以降は「ワークフロー」「ドキュメント管理」「スケジューラ」「コミュニケーション」といった複数の情報系モジュールを備え、基幹系と情報系をより緊密に連携できるようになった。

SMILE V共通ライセンスの仕組み(出典:OSK)

 情報系モジュールの統合から1年あまりを経て、基幹系と情報系を連携させるメリットが導入企業にも浸透し始めた。先述の見積もり業務の場合、担当者がSMILE V「販売」で見積もりを登録すると「ワークフロー」機能を利用した申請が同時に行われ、上司の承認を受けられるようになる。

見積もり業務と承認ワークフローを連携させるSMILE Vの活用例(出典:OSK)

 「ワークフロー」の活用例は他にもある。例えば、「ワークフロー」で承認された経費をもとに「会計」の仕訳や振込データを作成したり、住所変更や資格取得などの人事情報を「ワークフロー」で承認し、「人事給与」に反映させたりするといったバックオフィス業務も効率化できる。

承認ワークフローと経費精算業務を連携させる使い方も可能だ(出典:OSK)

 また「販売」で利用する顧客情報のマスターに情報系モジュール「ドキュメント管理」の文書管理機能をひも付けることもできる。これによって「長く取引のある顧客の関連情報を、担当者変更があった場合にも継続して蓄積する」といったことが可能になる。

SMILE Vで取引先データや商品データを管理する際の活用例(出典:OSK)

 「取引先や担当者の変更、会社の組織変更や社員の入退社に合わせて、基幹系と情報系のシステムにその都度個別に情報を入力するのは明らかに非効率です。SMILE Vは取引先や人事の情報を全て単一のマスターで管理するため、そのような作業も一括でできます」(石井氏)

 基幹系と情報系モジュールの機能を連携させたSMILE Vの具体的な事例を探ると、特に高い効果が認められるのは、業務の中で細かい段取りが必要な業種だ。例えば、スタッフのスケジュール管理や機材などのリソース管理が重要になる運送会社やイベント会社、建物のリフォームを手掛ける建築事務所などが挙げられる。このような企業は「ワークフロー」や「ドキュメント管理」に加え「スケジュール管理」といった情報系モジュールも積極的に活用している。

 「これらの業種は複数の外部企業と協力して、随時発生する細かい変更に対応しつつリソースを確保し、発注や受注、承認といったプロセスを進める必要があります。そのタイムラグを少しでも減らしながら確実に仕事を回していきたいというニーズが、SMILE Vの『基幹系と情報系の連携』というコンセプトに合っているのではないかと考えています」(石井氏)

スケジュール管理機能は、人の予定だけでなく施設や備品の予定もひも付けられる(出典:OSK)

外部システムとの連携の他、Web APIの提供も開始

 SMILE Vは、既に多くの企業で導入実績のある他社の業務パッケージやクラウドソリューションとの連携を可能にしている。

SMILE Vは、数多くの他社ソリューションとの連携も可能だ(出典:OSK)

 また、11月リリースの最新版はWeb APIの提供も開始し、外部システムとの連携も容易にする。基幹系と情報系の連携を進めるに当たり、既存のシステム環境への組み込みが容易な点も同製品の強みの一つだ。

 基幹系と情報系の連携は、中小企業では特に見落とされがちだ。しかし、思い切って取り組めばフロントオフィスとバックオフィス双方の業務を効率化できる。企業全体の生産性向上だけでなく、本当の意味での働き方改革へ大きな一歩を踏み出せるのではないだろうか。

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提供:株式会社OSK
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2020年1月28日