業界でも珍しい「ITに強い税理士事務所」が語る、中小企業のテレワークに必要なポイントとは

より柔軟で強力な事業継続の在り方が見直されてテレワークが普及する一方、取り残されがちなのが中小企業だ。中小企業をサポートする立場で早くからIT活用を重視し、いち早く完全テレワークを実現した税理士事務所がある。紙やはんこがとりわけ多い税理士の業務をデジタル化した彼らが語る「中小企業にこそテレワークが必要な理由」と「実現に役立つポイント」とは。

» 2020年06月23日 10時00分 公開
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 2020年の初めに起こった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、半ば強制的であったとはいえ多くの企業にテレワークの必要性を示唆した。以前から働き方改革に取り組んできた組織はもちろん、これまでなかなか改革を進められていなかった組織にとっても、時間や場所を選ばない柔軟な働き方やそれを支えるITが重要性を増しつつある。

 一方で、テレワークを始めたことで新たな課題に気付いた読者も多いのではないだろうか。業務フローの変更だけでなく、新しいITツールやインフラの導入、組織体制の見直しなど、さまざまな対応を迫られることになる。こうした課題は組織の大小を選ばない。とりわけリソース不足やコストの悩みを抱えやすい中小企業にとっては重くなりがちだ。

 そこで本稿では、税理士事務所であるビジネス・ブレインの畑中孝介氏(所長/税理士)と豊田晋太郎氏(アソシエイト)に、テレワークの現状とポイントについて伺った。扱う書類が多く顧客とのやりとりも頻繁でテレワークの適用が難しいと想像される税理士業において、同社はITを活用してほぼ全ての従業員がテレワークに移行した。彼らの取り組みから参考にできるポイントは何か。業務ツールやPCの選択の他、助成金の活用といった税理士事務所ならではの知見を聞いた。

業界では異色の「ICTに強い税理士事務所」は、テレワークをどう進めたか

 ビジネス・ブレインは2015年に設立され、総勢20人の従業員を抱える。「中小企業の成長をサポートする税理士」というモットーの通り中小企業の経営戦略支援を強みとし、M&Aや事業承継の他、ITを活用した経理の自動化などもサポートする。中小企業や小規模事業者だけでなく、連結会計や連結納税といった大企業や中堅企業向けの経営、会計支援も幅広く提供する。電子帳簿や書類のスキャナー保存、電子申告をはじめとする税務の電子化についても経験豊富だ。

ビジネス・ブレインのWebサイト。中小企業をはじめ、さまざまな組織に税務、経営面のサポートを提供する(提供:ビジネス・ブレイン)

 実際に、同社ではどのようなテレワークが進んでいるのか。畑中氏は「(一般論として)税理士は仕事で紙の書類やはんこを扱うことが多く、テレワークに移行しにくい職種の一つと言えます。しかし私たちは、以前からPDFやドキュメント管理ツールを活用したペーパーレス化、はんこ業務の削減に取り組んできました」と話す。

 ビジネス・ブレインは2019年から「Microsoft Teams」(以下、Teams)などのビデオ会議ツールやチャットツールを活用したテレワークを試験的に始めていた。「ITの使い方を工夫することによって、出勤しなくても遂行できる業務は多いと実感していました」と畑中氏は話す。

 同社は専用の会計システムや経理システム、ファイルサーバをはじめ、表計算ソフト、クラウド会計サービスも利用して、オフィスの外でも業務を進められる環境を整えた。現在は、全ての従業員が自宅でほとんどの業務をこなす。豊田氏は「税理士事務所の中でもICT対応が進んでいると思います」と語る。

 「私は上場企業を含めてさまざまな顧客を支援していますが、ほとんどの業務はテレワークで対応できます。決算書の製本など紙の書類を扱う業務はありますが、書類データは自宅のPCで作成できますから、出勤を大幅に減らせるのです。コミュニケーションは、顧客の環境に合わせてTeamsやその他のツールを併用しています」(豊田氏)

テレワークで「オフィスと同等」のパフォーマンスを実現するポイントは

 テレワークへの移行に当たり、畑中氏と豊田氏が挙げたポイントは、「オフィスのPC業務と同様のパフォーマンスを発揮できること」と「チームや顧客とのコミュニケーション手段を確立すること」の2つだ。

 テレワーク中の業務を支える“相棒”になるノートPCの選定は、生産性を左右する重要なポイントと言える。特に全社テレワークの場合、これまでデスクトップPCを普段使っていたのであれば、新たにノートPCを配布する必要が出てくる。しかし、ここでコストを抑えようとパフォーマンスの悪いPCを選んでしまうと業務に支障が出かねない。

自宅で作業する畑中氏に、モダンPCであるDell Latitude 7400 2-in-1を実際に試してもらった様子(提供:ビジネス・ブレイン)

 そこで重要なキーワードが「モダンPC」だ。モダンPCとは、強力なCPUや大容量のメモリ、高速なSSDを搭載し、デスクトップPCに勝るとも劣らないパフォーマンスを発揮するノートPCだ。オフィスや自宅での作業だけでなく、気軽に持ち運べるサイズと重量が特徴だ。高性能カメラを備える他、音声入出力、手書き入力などのインタフェースも搭載し、Web会議やチャット、リモート環境での共同作業もスムーズに進められる。通信機能やセキュリティ機能も充実し、安全かつ快適なテレワークを実現する機能がそろっている。

 今回は畑中氏と豊田氏にDellのモダンPC「Dell Latitude 7400 2-in-1」を実際に業務で試していただいた。同機は第8世代のIntel CPUを備え、高いパフォーマンスを発揮する。また、世界初というPC近接センサーによる稼働状態復帰機能「Dell ExpressSign-in」を採用した。近接センサーで人が近付くと稼働状態に復帰し、認証機能である「Windows Hello」と連携することで、近づいただけでログインできる。14型のフルHDディスプレイはベゼルを狭く抑え、画面の広さや見やすさを重視したつくりだ。画面のタッチ操作にも対応し、最小重量は1.4キロ程度に抑えた。

Dell Latitude 7400 2-in-1(出典:Dell Technologies)

 「重量はありますが、画像がきれいです。Web会議の起動や画面遷移も問題なくできました」(畑中氏)

 「指紋センサー付きでPINやパスワード入力の手間がなく、タッチパネルなのでWindows 10のUIを余すとこなく使えました。また、ベゼルが薄く画面に集中できますね」(豊田氏)

 豊田氏は特に気付いた点として、Web会議での使いやすさを挙げた。

 「Web会議や『Microsoft Office』ツールは負荷の高いアプリケーションなのですが、本当に速くてスムーズに動きますね。カメラやモニターもきれいでTeamsの画像がくっきり映り、共有資料などが見やすいのが気に入っています。タッチパネル対応のモデルであれば、Teamsのホワイトボードなども使いやすく、Web会議がいっそうスムーズになるのではないでしょうか。アイデア出しもはかどりそうです」(豊田氏)

 今回、ビジネス・ブレインに勤める山本有史氏と篠塚由貴氏にも、同じくモダンPCである「NEC VersaPro UltraLite タイプVB」および「NEC VersaPro UltraLite タイプVG」を試していただいた。どちらも13.3型のワイド液晶を備える。

テレワーク中にNEC VersaPro UltraLite タイプVGを篠塚氏に試してもらった様子(提供:ビジネス・ブレイン)

 山本氏が試したタイプVBは薄さ17.8ミリ、重さ約1.29キロというコンパクト設計ながら最大17.5時間のバッテリー駆動が可能なモデルだ。同氏は「PCを持ち運ぶ機会が多いため、軽く薄く小さいのは非常に便利に感じました」と書面で感想を寄せた。

 篠塚氏が試したタイプVGは薄さ15.5ミリ、重さ785グラムとさらにコンパクトなモデルだ。約13.3時間のバッテリー駆動が可能で、大型のLLバッテリー搭載時(※)は約20時間の駆動が可能になる。Web会議に適したBOX型2Wステレオスピーカーを備え、ボディ天面にはカーボン素材を採用して高い剛性を実現したハイエンドモデルと言える。同氏は「Web会議の際、画像、音声とも問題なく利用できました。薄型で持ち運びに便利で、バッテリーの持ちが良いと感じました」と感想を寄せる。

(※)LLバッテリー搭載時の本体重量は約831グラムです。

(左)NEC VersaPro UltraLite タイプVB、(右)NEC VersaPro UltraLite タイプVG(出典:NEC)

 今回、ビジネス・ブレインでモダンPCを試した人の多くがWeb会議での動作に言及しているように、PCだけでなくコミュニケーションツールの活用もテレワークの重要なポイントだ。上述のように、ビジネス・ブレインは以前から顧客とのミーティングにTeamsを活用してきた。

Web会議 Web会議を使った顧客との打ち合わせの様子

 畑中氏は「毎月の定例会議をWeb会議で実施していますが、ほとんど問題はないですね。アイデア出しのようなフランクなミーティングは対面の方が好ましいと感じますし、顧客とのコミュニケーションは対応がさまざまで事前の説明が難しい場面もありますが、しっかり対話できていると思います」と話す。

 また、Teamsの大きなメリットとして、畑中氏は「相手のPCをリモートデスクトップで遠隔操作できる点」を挙げる。「ITに不慣れな顧客でもサポートしやすいのです」と同氏は話す。

補助金・助成金を活用して テレワークを導入するチャンス

 テレワーク移行の動きが進む現在でさえ、中小企業、とりわけ小規模事業者ではなかなか取り組みが進まないというケースが見られる。多くの企業が厳しい経済状況にさらされる中、移行のコストを懸念して「COVID-19の終息まで注意しながらオフィス業務を続ければ、テレワーク移行の必要はない」という経営判断を下す場合もあるようだ。

 だがテレワークは、企業の生き残り策を支える働き方改革やデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進剤でもある。またいつ起こるとも分からない有事に備え、日本だけでなく世界の働き方が大きく変わり、テレワークが主体になるという見方もある。

 ビジネス・ブレインがIT活用の幅をうまく広げて紙の書類やはんこを業務からできるだけなくしてテレワークに踏み切った背景にも、COVID-19終息以降の働き方を見据えた戦略がある。中小企業をサポートする立場にもある同社にとって、テレワーク移行は「一時的な対策」ではなく「働き方改革、生産性向上も含めた将来のビジネスに向けた投資」だという。

 「感染症や自然災害などへのリスク対応は、事業継続計画(BCP)の強化やビジネスの付加価値になります。むしろ対応できていないことが弱みになり、ビジネスチャンスを逃す結果を招く恐れもあります。小規模企業はできるところから少しずつ、大規模企業は全体最適化に注意しながら、テレワーク環境を整えてリスクに備えることが肝要です」(豊田氏)

 働き方を変化させる際は、当然解決すべき課題も多くなる。「従業員のリテラシー教育などのセキュリティ対策やコンプライアンス対応は欠かせません」と畑中氏は話す。

 「テレワークなどの新しいスタイルを“採り入れない”ことは、近い将来の経営リスクになります。できるところから少しずつ、細かなことを積み重ねていくことが重要です」(畑中氏)

 テレワーク移行には、国や自治体による助成金を利用できる。経済産業省・中小企業生産性革命推進事業の「事業再開支援パッケージ」(持続化補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金)は、新型コロナウイルスの影響を鑑みて補助金の内容を大幅に強化した。

 畑中氏は「中小企業に向けた支援がとりわけ充実している点にも注目すべきです」と話す。サプライチェーン毀損(きそん)への対応、テレワークや非対面ビジネス対応などの「特別枠」では、通常の補助率上限が2分の1であったところを3分の2または4分の3まで引き上げ、ソフトウェアだけでなくPCを含むハードウェアのレンタルなども含まれるようになった。また、これまでは事前申請のみ受け付けていたが、2020年4月7日以降の契約であれば事後申請もサポートするという。

 企業がテレワークを通じてより柔軟な働き方を実現する環境を整えることは、有事の際も事業を続け、従業員を守る強さを獲得することでもある。今はまさに、その取り組みを実行すべきタイミングだ。PCやツールを含めた活用から、その戦略を練り始めてはいかがだろうか。

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