ニューノーマル時代の中堅・中小企業のDXはどう進むか、HPEが描く道筋在宅勤務や遠隔診療、中堅・中小企業の事業継続をHPEはどう支援するか

パンデミックを前にDXにつまずく中堅・中小企業を支援すべく、HPEは新しいサブスクリプションモデルなどによる多数の支援策を提示する。止められない業務、医療の現場をHPEはどのように支えたか。

» 2020年07月31日 10時00分 公開
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 Hewlett Packard Enterprise(HPE)は2020年6月24日からグローバルイベント「HPE Discover Virtual Experience」をオンラインで実施している。会期の初めにライブで配信された同社CEOのAntonio Neri氏の基調講演では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックに対応する顧客企業に向けて、IT支援策の提示とともに2つの大きな発表があった。

 一つは、あらゆるITソリューションをオンプレミス、クラウド、エッジを問わず、ハード/ソフトともにas a Serviceとしてサブスクリプション型で提供する「HPE GreenLakeクラウドサービス」。もう一つがコンテナ基盤やデータ管理基盤などで構成されるHPEの新たなソフトウェアポートフォリオ「HPE Ezmeral」だ。HPEはこの組み合わせを生かし、用途ごとにすぐに調達してシステムを立ち上げられる17のパッケージを用意して顧客の要望に応えていく計画だ。

Neri氏の基調講演 Neri氏の基調講演

 こうしたHPEの方針は大企業に向けられたものだけではない。HPEは今回、全体の取り組みを伝えるキーノートセッションに加え、中堅・中小企業向けにも多数のセッションを用意してデジタルトランスフォーメーション(DX)推進のヒントを示した。

パンデミック下での事業継続、明暗が分かれた理由はどこにあったか

 HPE Discover Virtual Experienceの会期2週目に当たる2020年7月1日(日本時間)から配信された中堅・中小企業向けの特別セッション「SMB: THRIVING IN A NEW DIGITAL WORLD(すばらしい新世界へ: 回復と新たなステージへの移行)」は、パンデミックを経験した中堅・中小企業が今後、ITをどう生かしていくべきかをディスカッションした。本稿ではその中でも事業継続のためにいま中堅・中小企業に必要なものと、HPEがどうそれを支援できるかを中心に見ていく。

 本稿で紹介するセッションは、全て「HPE Discover Virtual Experience」のWebサイトで視聴できます。

https://www.hpe.com/us/en/discover-more-network/discover-virtual-experience-2020/smb.html

 一部のセッションは日本語の「クローズドキャプション(cc)機能」を利用できます。画面下の操作メニューから、[cc]マークをクリックすると対応言語が表示されます。

 セッションに登場したのは、調査会社Aberdeenでリサーチディレクターを務めるJim Rapoza氏、HPEで中堅・中小企業担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるTimothy Peters氏、HPE Arubaグローバル中堅・中小企業担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるAmol Mitra氏、HPE Financial ServicesでEMEA(欧州・中東およびアフリカ)担当バイスプレジデント兼マネージングディレクターを務めるPaul Sheeran氏の4人だ。セッションのモデレーターはHPEマーケティング戦略担当バイスプレジデントのSandy Ono氏が務めた。

画像左からMitra氏、Peters氏、Ono氏、Rapoza氏、Sheeran氏 画像左からMitra氏、Peters氏、Ono氏、Rapoza氏、Sheeran氏

 2020年早々に猛威を振るい始めたCOVID-19に対して、各国の政府は都市のロックダウンや移動制限などの対策に踏み切った。

 外出や移動が制限されたことでサプライチェーンは大きな影響を受けることになり、各企業の従業員も働き方を変えざるを得ない状況に陥った。リサーチャーであるRapoza氏は「中堅・中小企業の場合、ディザスターリカバリー(DR)やテレワークなどの準備ができていない可能性が大企業より55%高い」と述べる。

 中堅・中小企業を熟知するHPEのPeters氏は「(パンデミックの発生に対して)大きな衝撃が走っている」として、多くの企業が事業継続性の維持に腐心する現状を語った。移動が制限される環境下ではインターネットなどのネットワークを通じた事業継続の重要性が再認識された。通信インフラを担当するHPE ArubaのMitra氏によると、準備ができている企業と「何をすればいいのかが分からない状態」の企業とに明確に分かれたと状況を分析する。

 デジタル化を進める必要性に異論はないとしても、中堅・中小企業の多くは当面の「キャッシュフローや資金の調達、維持について懸念している」(HPE Financial ServicesのSheeran氏)。予算に制約があり先行きも見通せない状況では、シビアに優先順位を付けて投資方法を見直さなくてはならない。

 HPEはパンデミック下で課題を抱え対応に苦慮する中堅・中小企業に向け、DXを推進する3つの支援策を用意する。Continuity(事業の継続性)、Connectivity(接続性)、Capital(資金)の「3つのC」がポイントだ。

サーバ運用監視をリモートで実現する「iLO Advanced」の無償提供、RDSやVDI基盤も

 1つ目のCがContinuity(事業の継続性)だ。

 テレワークを余儀なくされる中で、事業部門もIT部門も通常通りに事業を継続するにはどうしたらよいのか。外出自粛や移動制限がある中で事業を継続するには、事業を支えるIT基盤の健全な運用も必須の条件だろう。Rapoza氏の調査では、中堅・中小企業はリモート制御、管理、IT機能に高い関心があることも分かっているという。

 HPEはCOVID-19のパンデミックを受け、顧客企業のITインフラの遠隔管理とモニタリングを支援する目的でサーバ管理ソフトウェア「iLO Advanced」を2020年中、無料でパートナーと顧客に提供している。「iLO Advanced」無償提供プログラムは日本ヒューレット・パッカードのWebサイト(リンク)から入手できる。

 iLOは「HPE ProLiant」を始めとするHPEサーバ製品群が搭載する独自のシリコンチップとその機能を指す。サーバリソースとは独立した回路で動作し、サーバのヘルスモニタリングやリモート管理向けの機能を持つ。最新のiLO 5に搭載される「HPE Silicon Root of Trust」はファームウェアなどのシステムの健全性を確認し、問題がある場合は自動修復まで担うハードウェアレベルでのセキュリティ機能も備える。iLO AdvancedはこのiLOの仕組みを生かして、遠隔からサーバを一元的かつ包括的に管理するものだ。本来は別途ライセンス購入が必要な付加価値機能として提供されるツールだが、COVID-19の拡大を受けて広く利用者に開放した。Peters氏によると無償化により「ダウンロード数は従来の2倍」に増加したという。特にパートナー企業による顧客支援に生かされており「困難な時期を乗り越えるに当たって信頼関係を強固にする助けとなった」とみている。

 2つ目のCはConnectivity(接続性)だ。

 Rapoza氏の調査によれば、リモートからの制御、管理、IT機能に高い関心があり「最も価値ある技術」を問う設問では、40%が「リアルタイムコラボレーション、ビデオ会議」を挙げた。このことからネットワークは今後ますます重要になるとRapoza氏は指摘する。

 これについて、HPE Arubaを担当するMitra氏は2019年に発表した「HPE Aruba Instant On」が小規模ビジネス接続性の維持を支援すると説明する。「Aruba Instant Onは小規模ビジネス向けに構築した製品ブランド。ネットワーク構築に必要な技術をシンプルに実装でき、セキュリティとスマートさを備える」(Mitra氏)

 Aruba Instant Onは店舗や小規模オフィスなど向けにターンキー型で設置してすぐに利用できるネットワーク製品群だ。Wi-Fi機器の提供が先行したが、2020年7月には「Aruba Instant On 1930 Switch Series」としてスイッチ製品群も投入し、ラインアップ強化を図る。

 クラウド型の管理ポータルで複数の拠点を一元管理できるため、オンサイトでのサポートが難しい状況でも拠点の通信サービスを維持できる。ネットワーク設計の専門知識がなくても、アクセスポイントを追加することで工場のような広い敷地にWi-Fiを敷設できる点も特徴だ。またゲスト用、重要情報用のように用途ごとにネットワークを分割でき、デバイスごとのトラフィックを監視する機能もある。テレワーク向けには職場のWi-Fiを自宅に延伸する「Aruba Remote AP」(RAP)も有効だ。

 アクセスポイント管理を担う「Aruba Controller」をオフィスに設置し、自宅にArubaのアクセスポイントを設置すれば、自動的にGRE over IPsecを使ったセキュアなVPN接続を確立できる。

RAPの構成イメージ(Kevin Blackburn氏のブログから引用) RAPの構成イメージ(Kevin Blackburn氏のブログから引用)

 こうした通信環境の提供に加え、HPEは中堅・中小の医療法人や企業がすぐに導入して利用できるリモートデスクトップや仮想デスクトップ(VDI)向けパッケージソリューションを複数用意する。アプリケーション単位でリモート操作ができれば十分という場合には「Windows Server 2019」の「リモートデスクトップサービス」(RDS)を利用してコスト負担を低減する選択も可能だ。

HPEが提案するテレワーク方式。RDSはユーザー当たりの費用を抑制できる(出典:日本ヒューレット・パッカード) HPEが提案するテレワーク方式。RDSはユーザー当たりの費用を抑制できる(出典:日本ヒューレット・パッカード)

 3つ目のCはCapital(資金)だ。HPE Financial ServicesのSheeran氏からはIT投資の財務負担を調整できるプログラム「2020 Payment Relief Program」の説明があった。2020年中は最小限の支出に抑制してその後に残りを支払う仕組みで、直近の事業運営資金の確保に課題を抱える企業でもDXやIT投資を諦めずに済むようにしている。支払期間は36カ月、48カ月、60カ月と複数のプランを用意する。

 「このプログラムを利用することで、予算へのプレッシャーから解放され、必要な技術にアクセスできる」(Sheeran氏)

事業継続とコストマネジメント、ハイブリッドなIT基盤とテレワークをどう両立させるか

 HPEが示した「3つのC」は具体的にどのように中堅・中小企業の課題を救ったのだろうか。実際の導入支援に携わった同社パートナー企業はどう顧客のパンデミック対応を支援したのだろうか。

 HPEは“ライトミックス”として、顧客の環境や要件に合わせてオンプレミスとクラウドを使うアプローチを提唱している。それを実現するために、「エッジからクラウドまでのプラットフォームをサービスとして提供する」という戦略だ。この際、Peters氏は「将来は(オンプレミスとクラウドの)両方のいいところを得られるハイブリッドにある」と述べる。その上で「顧客にとって何が正しいのかを考えるに当たっては長期的な信頼を勝ち取り、維持できるパートナーが重要になる」として、パートナー重視の姿勢を強調した。

 このメッセージに呼応するように、セッション「Fast Forward to the Future of IT Services Not Expected Until Now(これまで予想されていなかったITサービスの未来)」ではHPE 中堅・中小企業部門の製品ディレクターであるMaciek Szczesniak氏が、パンデミックに対応する顧客を間近で見てきたパートナー各社を交えてテレワーク支援、セキュリティ支援、資金面での支援策を説明した。

HPE 中堅・中小企業部門の製品ディレクターであるMaciek Szczesniak氏 HPE 中堅・中小企業部門の製品ディレクターであるMaciek Szczesniak氏

 セッションには複数のパートナー企業が登場し、それぞれがパンデミックを受けた顧客への対応を振り返ったが、その中でもsubITのJoaquin Ochoa氏は、テレワークを推進するに当たり「従来にもましてセキュリティ意識が高まる顧客に対してFinancial Serviceは非常に役立った」とコメントしている。予算が限られる中で緊急で新たなセキュリティ対策が必要とされるケースでも十分に対応できたのだという。多くの中堅・中小企業がFinancial Serviceを活用して資金節約を目的にオンプレミスに回帰する動きもあるという。

 Ochoa氏はまた「社内で複数のサービスを統合してオンプレミスに移管することで月額の費用削減を狙う企業も多い」と指摘。業務アプリケーションをSaaSに置いてデータをオンプレミスに置くといった柔軟なアプリケーションの使い方が当面は主流になるだろうと、当面のIT基盤の在り方を予測した。

subITのJoaquin Ochoa氏 subITのJoaquin Ochoa氏

医療現場のDXに生きるHPEのテクノロジー

 米国では、COVID-19の流行をきっかけに各種の制限が緩和され、医師による遠隔処方や遠隔診察が定着しつつある。HPEで医療、ライフサイエンス戦略チームを担当するRich Bird氏によれば、HPEにはシステムインテグレーターを含む約8万8000のパートナーが医療機関向けにソリューションを提供しているという。

 パートナーの中の1社で医療業界向けのシステムを多く手掛けるCSPi Technology SolutionsのPeter Kaufman氏は、パンデミックの渦中にRAPを利用した遠隔医療の本番適用を経験したという。医療機関のシステムは今後もSaaSを前提にしながらも医用画像などの巨大データは、ローカルに格納してオンプレミスとクラウドとを透過的に利用するシナリオが当面続くと予想する。各拠点や遠隔診察の拠点となる医師の自宅ネットワークの安全性が重要なのはもちろんだが、医療機関が利用するシステムの安定稼働が重要になる点にも留意すべきだろう。

 グローバルイベントでContinuity(事業の継続性)、Connectivity(接続性)、Capital(資金)のそれぞれで具体的な提案を用意し、中堅・中小企業を強力に支援するプログラムをアピールしたHPE。イベントサイト(リンク)では本稿に挙げた内容の他、ニューノーマル時代の新しい働き方に合わせたDXの実践例なども紹介している。是非参考にしてほしい。

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提供:日本ヒューレット・パッカード株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2020年8月23日

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