「緊急テレワークが“進む力”の格差をあぶり出した」MS西脇氏が語る新しい選択肢「これからの働き方」基本設計はどうあるべき?

緊急のコロナ禍対応で戦略よりも実務を優先せざるを得なかった企業では、対応が一段落した今、改めて「これからの働き方をどう設計するか」が課題となってきた。先行する企業によれば「変えないこと」の見極めが重要だという。その真意は。

» 2020年12月16日 10時00分 公開
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 新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに日本でもテレワークが急速に広がった。先進的な企業の中には、テレワークを標準的な働き方として採用する企業も現れた。その1社が富士通だ。同社は2020年7月、ニューノーマル時代の新しい働き方として「Work Life Shift」というコンセプトの下、コアタイムのないスーパーフレックスを国内約8万人の全従業員に適用した。就労形態を「原則テレワーク」として明確に打ち出した形だ。日本を代表する企業の1社がテレワークへのシフトを宣言したことは大きな話題となった。そして、この取り組みにより、総務省が主催する「テレワーク先駆者百選」において、最高位となる「総務大臣賞」を初めて受賞した。

 外資系企業の中にはコロナ禍以前から働き方の選択肢の一つとしてテレワークを日本でも積極的に推進し、多くの成果を既に生み出している企業もある。その1社が日本マイクロソフトだ。同社は2011年、それまでのテレワークの導入と活用、普及支援の活動が評価され、日本テレワーク協会のテレワーク推進賞会長賞を受賞している。2013年に日本政府が「2020年までにテレワーク導入企業を2012年度比で3倍にする」という目標設定を掲げると、それと連動するように「テレワークの日」「テレワーク週間」として、テレワークプロジェクトを積極的に推進してきた。2019年には「ワークライフチョイス チャレンジ 2019 夏」として週休3日制を柱とする働き方改革を実践し、生産性が高まることを実証して話題になった。

 両社はニューノーマル時代に向けた働き方改革の状況をどう見ているのか。本稿では日本マイクロソフト エバンジェリストの西脇資哲氏と富士通の丸子正道氏(国内ビジネス推進統括部プロモーション推進部)に企業がこれから目指すべき働き方の在り方やコロナ禍をきっかけとした時代の変化への対応策を聞いた。



ニューノーマル時代に変わること、変わらないこと

1 日本マイクロソフト 西脇資哲氏

──従来、働き方改革関連法の対策として進んできたものの十分に普及してこなかった日本企業のテレワーク制度が、緊急事態宣言の発令をきっかけに大きく変わりました。この状況をどのように受け止めていますか。

西脇氏 日本マイクロソフトの場合、コロナ禍といっても従来の取り組みの延長線で対応できたことから、働き方がドラスティックに変わったわけではありません。緊急事態宣言直前の2020年3月時点でテレワーク率は98.3%で、実際にオフィスに出社していた人は1.7%にすぎませんでした。私はイベントやセミナーで講演をする機会が多いのですが、それらの多くがオンライン開催に移行し、実施数や聴講者数は以前より大きく増えました。

丸子氏 富士通の場合、テレワークに関する制度と環境は以前から整備されていたので、コロナ禍以降も比較的スムーズにテレワーク環境に移行できました。今までと大きく異なったのは全社が強制的に実行したことでマインドのリセットが起こったことです。「出社できない中でもやるしかない」という状況の中で、とにかくできるところから効率を上げていこうという意識が従業員に広がりました。

「会ってはならない」ではなく「会うことも、会わないことも、好きに選べる」が重要に

2 富士通 丸子正道氏

──今、テレワークに取り組む中で課題に直面する企業も多いようです。何が障壁になりやすいとお考えですか。

丸子氏 いろいろな観点があるとは思いますが、「取引先ありき」「お客さまありき」の状況の難しさがあるのではないでしょうか。打ち合わせや営業活動では相手に来てほしいと求められれば、できるだけそれに応えたいと考えるのが普通です。個々の従業員が「テレワークだからいけません」と突っぱねることは実際にはできない。だからこそ組織が仕組みとして支援する環境をどうつくっていくかが重要です。

西脇氏 私はオフラインでのミーティングや講演の依頼があれば参加しますし、出社しなければ仕事にならないのであれば出社します。今課題になっているのは、「全てオンラインに移行すること」によるコミュニケーション不足です。相手とより良いコミュニケーションを取ろうとすれば、直接会ったり電話したりすることが求められるケースは多い。それはニューノーマルだからといって変わるわけではありません。むしろ、十分に対策した上で会うという「選択」ができることを武器にすればいい。

「いつか前のように」ではなく新しい選択肢を受け入れる中でコミュニケーションを再設計する

──個々の従業員が選択できる環境を提供することが武器になるとのことですが、組織として取り組むにはどのようなアプローチがあるでしょうか。

丸子氏 「しばらくしたら元に戻る」と考えてその場限りの対策に終始してしまうと、業務がうまく回らなくなって苦労します。緊急事態宣言を受けてしばらくはテレワークを実施したものの、落ち着いたところで出社を前提とした働き方に戻ってしまう。すると、再びテレワークが必要になったときにまた同じような対策を講じなければならなくなります。一過性の対応ではなく、定常化することが重要です。

西脇氏 利用するツールや仕組みを変えていくことで、取り組みを定常化することはできます。日本マイクロソフトでも2009年と2019年のツールの利用率を比較すると、働き方が大きく変わっていることが分かります。2009年の段階ではメールが7割を占めていましたが、2019年にはメールが3割、チャットが6割になりました。働く場所も2009年にはオフィス7割、客先3割でしたが、2019年にはオフィス3割、客先3割、自宅やカフェ、移動先などのオフィス外が4割です。こうした変化に伴って、残業時間は減り、一人当たりの売り上げは上がり、顧客数も株価も上がりました。

──恒常的な働き方改革を進めるには、環境をどう整備するかが課題になりそうです。

西脇氏 ツールの整備という点では、用途ごとに異なるツールをばらばらに導入するのは、継続的な利用を妨げやすいと考えています。「取りあえず会議の代用でWeb会議」と導入して、必要がなくなれば利用をやめればよいという発想では、以前の働き方に戻りやすいでしょう。その点、「Microsoft 365」は一つのプラットフォームでWeb会議やチャット、メール、文書管理などを提供できますから、コミュニケーションもスムーズで、取り組みを継続するための先を見据えた投資がしやすいというメリットがあります。

丸子氏 富士通もビデオ会議システムやWeb会議などを長く利用してきましたが、以前は専用の機材を使い会議室の中で会議するというスタイルでした。それが明確に変わったのは、「Skype」(現「Skype for Business」)が登場してからです。自分のPCを使って自席でWeb会議ができるようになり、働き方が変化しました。今は「Microsoft Teams」でWeb会議を進めていますが、西脇さんがおっしゃるようにミーティングやプレゼンテーション、チャットなどが1つにまとまっているため、複数のツールを使った議論も効率良く進められます。ばらばらの設計思想で作られたツール同士ではここまでスムーズには連携できないかもしれません。組織のインフラとして定着しやすいと感じています。

テレワークでは「デバイス」が重要になる

──テレワークやニューノーマル時代の働き方に向けて、アプリケーションだけでなくネットワークやデバイス、セキュリティにも注目が集まっています。特にPCはテレワークに不可欠な要素であり、富士通でもさまざまな製品を展開しています。PCにはどんな要件が必要になるとお考えですか。

2 片手で軽々持てるほど軽量だ

丸子氏 富士通は、働き方改革のニーズに合わせて法人向けノートPC「LIFEBOOK」においてさまざまなラインアップを展開しています。中でもテレワーク向けのモバイルノートで重視するのは、モビリティとセキュリティです。テレワークでは、在宅での作業はもちろん、必要に応じて出社したり取引先に出向いたりと、利用する場所が臨機応変に変わります。まずは、そうした柔軟な働き方をサポートできることが重要です。

 コンバーチブルタイプの「U9310X」と、ノートPCタイプの「U9310」を提供していますが、いずれも13.3型ワイドディスプレイを搭載し、画面が大きく作業がしやすいことも特徴です。

西脇氏 私も富士通のコンバーチブルタイプを4年以上愛用しています。一度使ってみて、「とりこ」になりました。富士通の法人向けPCと言うと「堅牢(けんろう)で信頼性が高いものの、武骨で重い」という印象でした。ただ、このコンバーチブルタイプのLIFEBOOKは全く違いました。とても軽くて2本指で持つことさえできます。ペンも内蔵されていますし、HDMI、有線LAN、手のひら静脈センサーなど、ビジネスで必要になるインタフェースやセキュリティ機能はほぼ全て備えています。以前のイメージとのギャップが大きく、それがいい意味での驚きにつながっています。

──かなり使い込んでいらっしゃるのですね。

3 「過去の富士通法人PCのイメージを全く覆された」と西脇氏

西脇氏 使わない日はないというくらい愛用しています。周辺機器の接続性の高さはもちろん、さまざまな環境で利用するための内蔵SIM、長時間駆動のバッテリー、「Windows Hello」による顔認証や静脈認証など、良いところを語りだすときりがありません。一つポイントを挙げるとすれば、ユーザーの使い勝手を考え抜いて、製品の改善を繰り返しているところでしょうか。ヒンジが強化されたり角にバンパーが付いたりと、新しいモデルが登場するたびに小さな改良が加えられ、完成度が高まっています。

オンラインにもアナログのコミュニケーションプロトコルを持ち込む

──最後に、ニューノーマル時代にテレワークやモバイルワークを定着させていくためのポイントをアドバイスいただけますか。

西脇氏 テレワークをうまくこなしていくコツは、不足しがちなコミュニケーションを適切なタイミングと手段で補っていくことにあります。Web会議やチャットで済まそうとするのではなく、必要なら電話をし、時には直接会って話をします。インフラとして定着させるためには「コミュニケーションして楽しい」という雰囲気をつくり出すことが重要です。例えば、Teamsのチャットでハートマークやスタンプを送り合う。人間は何か評価されたり、承認されたりするとうれしいものです。普段、友達同士が交わすコミュニケーションを仕事でも同じようにしてみることです。「いいね」をしまくって感情や反応を共有することが、従業員の健康を支え、組織の文化をつくり出すことにつながります。

丸子氏 一過性の取り組みとしてWeb会議などのツールを導入するのではなく、将来的にユーザーの利便性を高めることを考慮して、継続的な取り組みをしていくことがポイントです。使いやすいデバイスを導入することもその一つです。デバイスは業務の生産性を高め、多様な働き方に対応するための手段にすぎません。ただ、手段が間違っているために生産性が落ちたり、多様な働き方が阻害されたりしてしまうのは避けなければなりません。テレワークを当たり前に実施できる環境を整備するために、まずはデバイスの重要性を改めて考えてほしいと思います。

──ありがとうございました。

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