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» 2021年02月09日 13時45分 公開

金融DXを推進するマイクロソフト、カギを握るのは「ループ」とFinTech企業との協業

日本マイクロソフトが金融業界のDX支援の提案を本格化させている。スタートアップなどの外部のTech企業と共同で金融改革の機運に乗る考えだ。提案のポイントはUXの再構築とカイゼンサイクルの仕組み化作りにあるようだ。

[星暁雄,ITmedia]

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 金融機関にとって、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進すること――すなわちビジネス環境の変化に対応するために最新のデジタル技術によってビジネスを変革し、改善し続ける仕組みを構築することは喫緊の課題だ。世界の金融業界ではデジタル技術による革新が急ピッチで進み、日本企業も競争力を維持するにはデジタルへの投資が欠かせない。この課題に対して、日本マイクロソフトが課題解決の提案を一段と本格化させる。

 本稿は、日本マイクロソフトが2020年1月28日に開催したプレス説明会の内容から、FinTech/Insurtech分野での同社の取り組みを見ていく。

 説明会で同社が強調したのは、(1)金融分野でクラウド技術を活用する動きが本格化していること、(2)デジタル技術を活用した次世代の金融サービスを提供するためのDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が高まっていることだ。

 日本マイクロソフトからの新たな発表は、金融機関向けデジタルトランスフォーメーション変革特別支援施策だ。新たなパートナー協業プログラム「Microsoft Enterprise Accelerator- FinTech / Insurtech」(略称MAFI)を2021年1月より提供する。発表時点では国内12社が名前を連ねた。

日本マイクロソフト 藤井達人氏

 「モード2(注:環境の変化に対応する競争力強化に向けた変革)のための提案力を強化する必要性を感じている。この不足をパートナー企業との協働で補っていきたい」(日本マイクロソフト業務執行役員エンタープライズ事業本部 金融イノベーション本部長 藤井達人氏)

 協業する企業は次のリストの通りだ。この中には、SBI R3 JapanやLayerX、bifFlyer Blockchainのようにブロックチェーン技術で有名なスタートアップ企業も含まれる。ブロックチェーン技術は、デジタル証券(Security Token Offering:STO、セキュリティトークンとも呼ぶ)分野などで利用が進みつつあり、FinTechで要注目の技術の一つとされている。ただし今回の説明では、「特別にブロックチェーン分野に注力ということではなく、スタートアップ企業に限定するわけでもない」(藤井氏)としている。

  • パートナー協業プログラム「Microsoft Enterprise Accelerator- FinTech / Insurtech」に参画する12社
    1. インフキュリオン
    2. SBI R3 Japan
    3. クラウドキャスト
    4. クラウドリアルティ
    5. クレジットエンジン
    6. justInCaseTechnologies
    7. ZEROBILLBANK JAPAN
    8. Backbase Japan
    9. bitFlyer Blockchain
    10. Finatext
    11. マネーツリー
    12. LayerX

 これに加えて、DXを推進するための「デジタルフィードバックループ」(後述)を回していくためのリファレンスアーキテクチャとフレームワークをまとめた一種の技術標準として「FgCF(Financial-grade Cloud Fundamentals) for DX」を新たに発表した。なお、従来「FgCF」と呼んでいた金融機関向けの技術基盤は「FgCF for IT Modernization」と呼んで、これと区別する。

1 DXを実現するためのマイクロソフトのアプローチ(出典:日本マイクロソフト)

コロナ禍をきっかけにMicrosoftのSaaSが金融機関に採用され始めた

日本マイクロソフト 綱田和功氏

 今回の説明会は金融機関向けの施策と併せて、日本マイクロソフトのクラウド事業の成長を示す数字が明かされた。

 日本マイクロソフトの綱田和功氏(業務執行役員エンタープライズ事業本部金融サービス営業統括本部 統括本部長)によれば「会計年度21年の第2四半期は、前年同月比で『Microsoft Azure』が50%増、『Office(Microsoft) 365』が21%増、『Dynamics 365』が39%増と伸びた」という。

 金融機関に限って見ると、SaaSにおける「日本の金融機関でもコロナ禍をきっかけにクラウド利用が伸びている。例えばオンライン会議ツール『Microsoft Teams』の利用はコロナ禍前の10倍に伸びた。リモートワークに加えて非対面営業でも活用されている」(綱田氏)という。

 綱田氏は、日本の金融機関においても業務支援分野でのSaaS採用だけでなくDXへの取り組みが重要であるとの認識を示した。

 「日本の金融機関がDXを成し遂げ、グローバルに打って出る競争力を付けるには、モダナイゼーション(情報基盤の現代化)を進める必要がある。幾つかの金融機関はこの動きを加速する状況にある」(綱田氏)

 同社は、クラウド上の金融機関向け情報基盤「FgCF」(Financial-grade Cloud Fundamentals)を構築し、生命保険大手である第一生命の情報システムに導入するなど、情報基盤分野でも実績を挙げつつある。

金融DXは外部企業との協業やデータ活用が重要に

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