クラウド競争に出遅れた大手金融機関が巻き返せない理由CIO Dive

米国大手金融機関のクラウドシフトが進んでいる。複数の銀行が2022年1月の決算説明会でクラウド活用の必然性と取り組みへの姿勢を強調した。ただし、これらの企業は活用を阻む新たな課題にも直面している。

» 2022年04月15日 10時00分 公開
[Barbara DeLollisCIO Dive]

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CIO Dive

 米国の大手金融機関が2022年にクラウドを取り入れ、投資する準備が整っていることに疑問の余地はない。

 フィンテックの新興企業やPayPalなどの有力企業は、何年も前から従来の金融機関の市場シェアを奪ってきた。ようやくそれに気付いた銀行のCEOたちは、2022年1月の業績発表で、クラウドによって機敏性や競争力、安全性、関連性を維持する力を得られると投資家たちに語っている。

 投資アドバイザリー企業のMotley Foolの記録によれば(注)、米国大手金融機関のJPMorgan Chaseのジェイミー・ダイモンCEOは、アナリストに向けて「競争が激化しているが勝つつもりでいる。そのためには資金を費やさなければならないこともある。あと20億ドルかけて明日にでもクラウド化できるのなら、すぐにでもそうしたい」と語った。

 レガシーな銀行が、進化する顧客ニーズにより良く対応して“応答性の高いデジタルファーストの金融機関になる”というミッションを達成する上で、クラウドは大きな役割を果たす。2022年1月の業績発表で(注2)、Goldman Sachsのデビッド・ソロモンCEOはこのテーマを繰り返した。

 CIO(最高情報責任者)を対象にしたRed Hatのグローバル調査「2022 Global Tech Outlook」に回答した金融サービスと銀行のうち、“クラウド戦略を取り入れる計画はない”と答えたのはわずか4%だった(注3)。

 Gartnerのアナリストであるジェイソン・マロ氏は「クラウドは市場で受け入れられるようになっただけでなく、好んで使われるような成熟したレベルに達している。今では、このソリューションでどうすればより多くのことができるかが問われるようになっている」と話す。

金融機関の間で高まるクラウド需要 米国企業の取り組みは?

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