Googleが地図データを活用して、ラストワンマイル市場へ参入する。Google Mapsの知見を投入したサービスだが、専門家の評価は分かれる。
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非効率的でコストがかかるが、サプライチェーンの重要な一部であるラストワンマイルサービスに、Googleは「Google Maps Platform」の機能を活用する機会を見いだした。
Googleは2022年3月、ラストワンマイルサービスとルートプランニングに特化した2つのツール「Last Mile Fleet Solution」「Cloud Fleet Routing API」を発表し、宅配業界への参入を表明した。
Googleの車両管理テクノロジーへの進出は、ロジスティクス基盤を提供するLoadsmartのオペレーション担当シニアバイスプレジデントであるジム・ニコルソン氏にとって驚くことではない。同氏はAmazonの物流分野への参入と比較してみても、Googleの幅広い野心を考えれば自然なステップだと述べている。多大な資金と長年にわたるGoogle Maps Platformの改良が、同社のこの分野への進出を後押しするはずだ。
ニコルソン氏は「業界をリードする地図プラットフォームを持つことは、競合企業との差別化を図る大きなチャンスであり、何らかのアドバンテージになる」と述べている。
Googleは、宅配の需要が急増して注目が高まる分野に、Google Maps Platformの豊富なデータと使い慣れたナビゲーションインタフェースを持ち込む。物流企業であるピツニーボウズが公開する「Pitney Bowes Parcel Shipping Index」によると、パンデミック前の2019年に約155億個だった米国の小包量は2021年には215億個を突破した。
荷物の増加に伴い、より効果的な配送計画と実行が重要だ。Google Maps Platformの輸送・物流部門を統括するグループプロダクトマネジャーのシャリーン・マントリ(Shalin Mantri)氏は「ラストワンマイル輸送は配送プロセスの中で最もコストがかかり、最も効率の悪いステップなので、不正確な住所などのミスを避けることが重要だ」と述べる。運送業者は精度がまちまちな住所が記された荷物を扱っており、それが「配送が失敗する最大の原因の一つ」になっていると同氏は言う。
「配送事業者にとって配送の失敗は、基本的にそれが採算の合わない仕事であることを意味する」とマントリ氏は話す。
地図の品質とデータの所有は、今後のラストワンマイル領域における重要な利点になる可能性がある。RMW Commerce Consultingの創設者兼CEOであるリック・ワトソン氏は、SNS「LinkedIn」の投稿で、「Googleのラストワンマイルサービスの顧客は同社の地図の精度をさらに向上させるだけだろう」と述べる。
「『Amazon Flex』のドライバーの話を聞くと、彼らの主な不満の一つはルートや地図などに関するものだ」とワトソン氏は記している。
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