アジャイル開発を駆使して「攻めのDX」を実現するにはDXに必要なアジャイル開発

デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業が増える中、多くの企業が共通の課題を抱えている。「攻めのDX」を実現するために、企業に求められる対応策とは。

» 2022年12月14日 10時00分 公開
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 デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する多くの企業が、ITの力で既存事業の業務を改善したりコストを削減したりする「守りのDX」に取り組んでいる。だが、変化の激しいこの時代に従来通りの仕組みやスピードでビジネスを継続していては、競合に後れを取る可能性がある。

 企業が大きく進化するには「守りのDX」だけでなく、既存の価値観や企業文化をアップデートして新規事業を創出する「攻めのDX」が必要不可欠だ。どうすればこれを実現できるのか。

攻めのDX推進 実現を阻む根本的な問題とは?

エーピーコミュニケーションズの上林太洋氏

 「攻めのDXを推進する上では、適切なアジャイル開発チームの構築がポイントになります」。こう話すのはエーピーコミュニケーションズ(以下、APC)の上林太洋氏(取締役兼ACS事業部長)だ。

 「攻めのDXという文脈では、デリバリーに至るまでのスピードが非常に重要です。要件定義に半年や1年かけているようではビジネスチャンスを逃してしまうでしょう。また、今までにない価値というのは不確実なもので、事業として育つかどうかはやってみなければ分かりません。つまり、失敗するなら早く失敗して、トライ・アンド・エラーを重ねてニーズに適応していく必要があります」(上林氏)

 絶えず変化するニーズに素早く追随して、顧客との間に継続的なエンゲージメントを構築することも重要だ。これを踏まえると、攻めのDXを推進するには従来の「ウオーターフォール型」の開発より、スピードと柔軟性を併せ持つ「アジャイル開発」の方が適している。

 一方で、アジャイル開発を駆使した攻めのDXを推進する際には幾つかのハードルがある。そもそも企業が新規事業に投資しにくいという点を除けば、次に挙がるのが「新規事業に割くリソースが不足していて体制を構築できない」という問題だろう。

 多くの企業は十分なIT人材が社内におらず、いたとしてもDX推進の旗振り役を任せるにはスキルが不足している場合がほとんどだ。これが「人材の質と量が足りていないパターン」だ。外部から人材を獲得しようとしても、こうしたスキルを持つ優秀な人材は争奪戦が激しく採用するのが困難だ。

 社内で人材確保が難しいとなると、ITベンダーにサポートを依頼するという選択肢がある。だが上林氏によれば、既存ITベンダーのモデルにおいては、要件を初期に確定していく請負での案件数が多く、新規事業の創出については知見が豊富ではないケースが多いようだ。開発手法で見ても、ウオーターフォールによる開発がまだまだ主流で、新たな価値を創出するためのアジャイル開発では、業務プロセスや開発に適したクラウドネイティブ技術含めて経験が少ないベンダーが多い。

 自社の人材だけで完結する完全内製化が難しい以上、企業は事業の核を握りつつITベンダーとうまく協力体制を構築し、アジャイル開発を進め、攻めのDXを成功に導く必要がある。ここでキーワードとなるのが「準内製化モデル」だ。

突破口になり得る開発手法は「準内製化モデル」

 「準内製化モデル」とは、APCが提唱する新たな開発体制モデルだ。以下の図1はAPCが定義する内製化モデルの分類を表している。

図1 完全内製化モデルと準内製化モデル(出典:APC提供資料)

 一番上の「完全内製モデル」は、企業の中でアジャイル開発チームが成立し、それをリードするプロダクトマネジャーも社内で確保できるというパターンで、人材の質と量が豊富な一部の企業でなければ難しい開発体制だ。

 2番目の「準内製モデル(1)」は、ITベンダー(プライムSIer)を活用するパターンだ。企業側がプロダクトマネジャーを用意し、プライムコントラクターとなるITベンダーがサブのプロダクトマネジャーを立てる。実質的にはこの人物がアジャイル開発チームを編成して開発をけん引する。

 このパターンは、企業側に開発をリードできる人材がいなくてもいいというメリットはあるが、ステークホルダーが複数おり、体制がまとまりにくいというデメリットがある。

 調達面でチームメンバーが複数企業の人材の集まりになることも多く、目標や条件などコントロールするべき項目が多い。その結果、「企業が考える方向性とは違うベクトルを向いて動く」ということが起きがちだ。企業側にとっては体制維持コストが高くなることもある。

 3番目の「準内製化モデル(2)」は、企業側で攻めのDXを推進するプロダクトマネジャーを立て、自社の開発者もアサインしつつ外部アジャイル開発チームの手も借りるというもので、APCが推奨するITベンダーの活用パターンだ。

 上林氏は、推奨する理由について「『攻めのDX』において、業務について深い知識を有するのはITベンダーではなく企業側です。そのため、業務的な要件は企業側で定義してリードするのがベストです。それを受けてアジャイル開発チームが動いた方がいい意味でワンチームになれますし、動きも速くなります。今の時代、業務とアプリケーション、アプリケーションとインフラが密結合している状態、密結合させるのがアジャイル開発の本質です。『準内製化モデル(1)』も悪くないですが、ワンチームでスピーディーなデリバリーを実現するという点で『準内製化モデル(2)』の方が時代に合った開発体制です」と語る。

「クラウドネイティブ内製化支援サービス for Microsoft Azure」とは

 APCの「クラウドネイティブ内製化支援サービス for Microsoft Azure」は、リソースやノウハウ不足の企業がITベンダーとタッグを組んで「準内製化モデル(2)」体制を構築し、攻めのDX推進を実現できるようにサポートするサービスだ。

 「SIerのビジネスモデルも、従来のシステム納品という“モノ売り”から、ビジネスを成功に導く“コト売り”への変革が求められています。クラウドネイティブ内製化支援サービス for Microsoft Azureは、当社がメンターとして入って企業のアジャイル開発体制を整え、自立を促す“コト売り”サービスです」(上林氏)

 同サービスは単なる技術支援ではない。企業のアジャイル開発プロセスの定着を図り、新たな組織体制や組織文化の醸成を促す支援アプローチが特徴だ。将来的には完全内製化を実現することを目指して、段階的に移行を進める。

 例えば、導入期は外注型で支援する。そのため最初は、「社内にプロダクトマネジャーを務められる人材がいない」という状態でも問題ない。具体的に取り組みを進める過程で徐々にノウハウを移行するからだ。図3のSIフェーズでは、必要なシステムを素早く構築できるようにコンテナやCI/CD、IaC(Infrastructure as Code)、「Azure Kubernetes Service」(AKS)などのクラウドネイティブに必要な初期環境の導入を支援する。

図2 並走しながら段階的な移行をサポート(出典:APC提供資料)

 上林氏は「他社の内製化支援サービスと決定的に異なるポイントは、単にクラウド上でこれまで通りのアプリケーションを開発するのではなく、『クラウドネイティブ環境の実現』に主眼を置いている点です。クラウドの真の価値を享受する上では、アプリケーションがクラウドネイティブで構成されることが必要条件だと考えます」と語る。

図3 APCが提供するクラウドネイティブの技術領域(出典:APC提供資料)

 上林氏によれば、実際に適切なクラウドネイティブ化に関心を寄せる企業は多い。既にWebサービスを公に展開しているITベンダーや、自社のパッケージ製品をSaaSで提供したいと考えるソフトウェアベンダーから「自己流で構築したが、これで合っているか見てほしい」と相談されるケースもあるそうだ。

エンジニアが喜ぶ働き方を熟知し、組織文化の変革を支援

 同サービスの強みは、クラウドネイティブ環境の構築を支援するだけでなく、アジャイル開発手法のノウハウや組織文化の構築にまで踏み込んで支援を提供する点だ。

 コーチ・並走支援では、APCがクラウドネイティブ技術の専門家としてDevOpsやアジャイル開発のチームづくりに必要な技術や手法のアドバイス、スキル習得に向けた開発トレーニング、自動化のノウハウなどを提供する。

APCの松崎 新氏

 APCの松崎 新氏(ACS事業部 シニアプロフェッショナル)は同サービスについて、「当サービスを利用する顧客の中には自社のIT人材を一から育成したいというケースも多く存在します。当社はスキル習得のための開発トレーニングなどを提供する際に成功体験の創出を意識しており、技術ロードマップの策定や初心者向けプロジェクト、学習進捗(しんちょく)を『見える化』して共有するなどの工夫をしています」と語る。

 その他、APCは技術ブログの書き方といったアウトプット支援や教育制度、職場環境の改善、エンジニア採用のアドバイス、エンジニア向け人事制度モデルのテンプレートを提供するなど、エンジニアが働きやすく、カルチャーフィットする仕組みづくりを幅広く支援している。IT人材が不足する昨今、働きやすい職場や文化を用意することでエンジニアの離職を防ぎ、採用で他社より優位に立てる可能性がある。

 「当社は長年の経験からエンジニアが喜ぶ働き方を熟知しています。社内で複数人のエンジニアが育ち、チーム内で学習とアウトプットを繰り返して技術を高め合える環境が構築できるようにサポートします」(松崎氏)

遠鉄システムサービスの組織風土改革を支援

 クラウドネイティブ内製化支援サービス for Microsoft Azureで組織変革を実践している代表的な例としては、遠鉄システムサービスがある。

 同社は企画開発部内にデジタル技術課を設け、Web開発やクラウド技術のスキルを獲得しようとしたが、既存業務との兼務で思うように進まなかった。ソフトウェア開発部隊として設立した遠鉄ベトナムとの連携も手探りの状態だった。そこでAPCの「クラウドの活用を前提とした組織風土の改革」という提案を気に入り、導入に至った。

 APCは、プログラムマネジメントの手法を用いて課題やベネフィット、目指すべき方向性(ゴール)を整理する「プログラム憲章」の作成と、模擬プロジェクトによるアジャイル開発とクラウドネイティブ開発体験という2つの支援を提供している。成長が見える形で進捗を管理したこともあり、3カ月という期間で開発経験ゼロから参加したメンバーの経験値も上がり、チームとして着実にステップアップしている。

 上林氏は最後に「『攻めのDX』の実践方法は2つに大別できます。『経営戦略から落としこむアプローチ』と『現場が既に持っている能力を生かすアプローチ』です。組織のこれまでの歴史やマネジメントスタイルなどにも左右されますが、日本の場合は後者の方が合っている場合も多いと思います。そもそも、既存の事業の強み・資産は現場の中に眠っていることが多く、それを生かすことが差別化になるからです。そして何より現場の方々は皆さん真面目でエネルギー量も高い。われわれがうまく潤滑油になることで、これを解放できるのではと思います。社内だけでは動けない、というようなことがあれば、是非お声掛けください。お手伝いできるところを探して伴走したいと思います」と語った。

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提供:株式会社エーピーコミュニケーションズ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2022年12月25日