ペット関連製品を扱うChewyは、既存の2つの施設を閉鎖し、新たに開設した自動化施設へ注文を移行させる取り組みを進めている。これにより、従来の2割程度コストを削減できる見込みだ。
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小売ビジネスの自動化が進む。自動化の推進で先を行く米国では、生産性向上により、商品発送に欠かせないフルフィルメントセンターを縮小してコストを圧縮する動きも出てきた。
米国でペット関連製品のオンライン販売を行うChewyは、自動化の取り組みを進めるため、2つのフルフィルメントセンターを閉鎖して近隣の施設に業務を移すと、コミュニケーション・広報担当バイスプレジデントのダイアン・ペルキー氏は電子メールで声明を発表した。
影響を受けるのはペンシルベニア州メカニクスバーグとネバダ州マッカランのフルフィルメントセンターだ。この2施設は同社で「最も古いフルフィルメントセンターだ」とペルキー氏は述べた。
メカニクスバーグの拠点では522人、マッカランの拠点では306人の従業員を雇用している(注1、2)。閉鎖予定の施設で雇用されている全てのチームメンバーは、法規にのっとり、他のフルフィルメントセンターに異動する機会が与えられているが、2023年3月22日付の労働者調整・再教育通知法(WARN)通知により、近隣拠点への転勤の申し出を受けなかった両拠点の従業員は、2023年6月3日から順次、雇用から外れることになる。
2023年3月第4週の決算説明会で(注3)、CEOのサミット・シン氏は「2つの古いフルフィルメントセンターを閉鎖することで、より多くの注文が自動化された新施設に流れるようになる。これにより、フルフィルメントのコストを削減できる」と述べた。
シン氏は2023年12月、ペンシルベニア州アーチボルドとネバダ州リノにあるChewyの自動化されたフルフィルメントセンターで注文を処理した場合、従来のネットワークの場合と比べて約18〜20%ほどコストが安くなると述べていた(注4)。
CFO(最高財務責任者)のマリオ・マルテ氏は、2023年3月のオンライン会見で、同社が自動化施設を通じてより多くの注文量を流すことを引き続き進めていると指摘した。同社はミズーリ州ベルトンにも自動化施設を持ち、2023年中にはテネシー州マウントジュリエットにも開設する予定だ。
同氏によると「自動化された施設に注文が集中するのは、さまざまな理由がある。その一つが、注文当たりの変動費に対するコストの低減であり、それが販売管理費とEBITDA(企業の収益力を図る指標の一つ)に反映されることだ。可能な限り多くの量を自動化施設に流していくつもりだ」とのことだ。
同社の年次報告書によると、出荷数が前年比で4.2%増加したにもかかわらず、Chewyのフルフィルメント費用は2022年度には12億ドルで横ばいだった(注5)。
また、同社は「カートン化」、すなわちより多くの顧客の注文を1つのパッケージに収める能力を向上させることで、業務における経費を削減しているとマルテ氏は述べている。これにより、運賃と梱包費を削減することができる。
(注1)Chewyが労働開発局に提出したメカニクスバーグ拠点の解雇に関する報告(Chewy)
(注2)Chewyが労働開発局に提出したマッカラン拠点の解雇に関する報告(Chewy)
(注3)Chewy, Inc. (CHWY) Q4 2022 Earnings Call Transcript(Seeking Alpha)
(注4)Chewy leverages automated fulfillment to lower shipping costs(Supply Chain Dive)
(注5)UNITED STATES SECURITIES AND EXCHANGE COMMISSION(Chewy)
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