サイバー保険の価格上昇が2023年第1四半期は緩やかになっている。これには米国と英国で起こった価格上昇の緩和が関係しているという。
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保険の仲介とリスク管理を行うMarshの「Global Insurance Market Index」によると、2023年第1四半期における世界のサイバー保険の価格が緩やかになり、平均的な価格上昇率は11%で、第4四半期の上昇率である28%と比較して低くなっている(注1)。
この緩和は最大の国際市場である米国と英国の変化によって引き起こされた。米国では、2023年第1四半期の価格上昇率が11%で、2022年第4四半期の28%から大幅に下落している。英国でも同様の緩和が起こり、価格上昇率は2022年第4四半期の34%から大幅に下がりわずか10%となった。
価格の上昇が緩やかになった要因の上位には、競争の激化やサイバーセキュリティ対策の改善、2022年に報告されたランサムウェア攻撃の減少が含まれている。
Marshが発表した2023年第1四半期の数値は、数年間の混乱を経て世界におけるサイバー保険市場の安定を示している。ランサムウェアの乱発やウクライナ戦争に関連した重要インフラストラクチャへの脅威が増大する中で、市場は急激な価格上昇を経験し、競合他社が市場から撤退したのだ。
2023年4月はじめ、金融商品および格付け情報を提供するFitch Ratingsは、サイバー保険の保険料上昇の鈍化を報告した(注2)。Marshは以前にも料率上昇の鈍化を示すデータを発表している(注3)。
Marshの報告によると、英国の銀行Lloydsは2023年3月31日からシステミックリスクを管理するために設計された新しい戦争除外条項を義務付けた。Lloydsは、これらの除外についてまだ交渉を続けている。
Marshによれば、2023年第1四半期にはランサムウェアの苦情が増加している。
また、生体認証情報プライバシー法やビデオプライバシー保護法などの法律に関連して、プライバシーに関する大量の苦情も提出されているとMarshは述べている。
(注1)Global Insurance Market Index(Marsh)
(注2)Cyber insurance premium hikes slowed in 2022, Fitch says(Cybersecurity Dive)
(注3)Signs of stability emerge in turbulent cyber insurance market(Cybersecurity Dive)
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