高級車メーカーのBMWグループは、新しい車両技術のエンジニアリングシステムなどをオンプレミスからクラウドに移行する。
この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。
BMWグループは2023年9月5日(現地時間)、自動運転プラットフォームのためのクラウドプロバイダーを「Amazon Web Services」(以下、AWS)に決定したと発表した(注1)。
BMWグループは、AWSのクラウドインフラやAI(人工知能)、ML(機械学習)、IoTなどを活用し、ADAS(先進運転支援システム)の再構築と機能強化を目指す。
BMWグループのニコライ・マーティン氏(ドライビングエクスペリエンス担当 SVP)は2023年9月5日に、「今後はQualcommの『Ride Vision』のソフトウェアスタックを統合し、BMWのADASをオンプレミスのデータセンター環境からクラウドへ移行する」と述べている。
BMWグループはこれまでもAWSなどとなじみがあった。両社は2022年に車両データ管理ソリューションで協力している(注2)。また、2020年にBMWグループはオンプレミスの運用データをクラウド環境へ移行するため、AWSと「Cloud Data Hub」を構築した(注3)。
クラウドインフラストラクチャのマーケットリーダーであるAWSは(注4)、業界固有のクラウドソリューションの開発に取り組んだことで(注5)、2021年に自動車業界向けのサービス「AWS for Automotive」を発表した(注6)。
AWSのウェンディ・バウアー氏(自動車製造部門 ゼネラルマネジャー)は「AWS for Automotiveが提供するものの多くは車両技術に関するものだが、これらは今やサプライチェーンや製造、カスタマーエクスペリエンスなどの分野にも及んでいる」と述べている。
マーティン氏によると、BMWグループとQualcommはパートナーシップを拡大しており、BMWとQualcommのエンジニアは世界14カ所でソフトウェアを共同開発できるようになる。この契約により、BMWグループの既存のCloud Data Hubとエンジニアリングがリンクされ、車線逸脱アシストや自動車線変更、ハンズフリー運転などの自動化機能を向上させるために必要なデータへのアクセスが容易になる。
次世代ADASは、2025年に発売されるBMWグループが発表する予定の車両「Neue Klasse」に導入される予定だ。
バウアー氏は「ADASソリューションは自動車業界以外にも応用できるかもしれない」と話す。同氏はヘルスケアやライフサイエンス、エネルギー分野、その他複雑でグローバルに分散したソフトウェア開発のエコシステムを持つ業界における潜在的なユースケースへの応用を示唆した。
(注1)The BMW Group Selects AWS to Power Next-Generation Automated Driving Platform(Business Wire)
(注2)BMW Group collaborates with AWS to bring new cloud technologies for fast and reliable availability of digital innovations.(BMW Group)
(注3)BMW Cloud Data Hub: A reference implementation of the modern data architecture on AWS(AWS)
(注4)Cloud market growth plateaus as hyperscalers anticipate AI boom(CIO Dive)
(注5)Oracle bucks revenue trend as cloud business booms(CIO Dive)
(注6)Introducing AWS for Automotive – Accelerating digital transformation across the auto industry(AWS)
© Industry Dive. All rights reserved.