セキュリティ業界が苦境か ベンチャーキャピタルからの資金調達額が減少Cybersecurity Dive

セキュリティ業界全体においてベンチャーキャピタルからの資金調達額が減少している。これは、ベンダーや重複するツールが飽和状態にあるこの業界の現実を反映している。

» 2023年11月19日 08時00分 公開
[Matt KapkoCybersecurity Dive]

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Cybersecurity Dive

 2023年10月19日に発表されたCrunchbaseのデータによると(注1)、サイバーセキュリティ企業に対するベンチャーキャピタルの投資は、2022年と比較して投資額および取引件数の両方が減少している。

 サイバーセキュリティのスタートアップ企業は2023年の第3四半期に約19億ドルを調達した。これは、2022年の同四半期の27億ドルから30%減少している。また、2023年の第3四半期の取引件数は153件であり、2022年の同四半期の数値から17%減少した。

セキュリティ業界が苦境に立たされる 資金調達額は減少してレイオフが続く

 業界全体においてベンチャーキャピタルからの資金調達額が減少した原因は、後期段階の大型案件の不足にある。Crunchbaseは、2023年の第3四半期中に7500万ドル以上の取引を5件追跡したが、2022年の同四半期には同規模の取引が約12件あったと指摘した。

 2023年の第3四半期のサイバーセキュリティ関連の資金調達ラウンドの上位3件は、Cato NetworksやNile、OneTrustに割り当てられ、その合計は同年同四半期にベンチャーキャピタルから調達された資金の約30%を占めた。

 サイバーセキュリティ業界におけるベンチャーキャピタルの最新の動きを振り返ると、ベンダーや重複するツールが飽和状態にあるこの業界の現実を反映していることが分かる(注2)。

 Crunchbaseによると、2023年における取引の迅速かつ大幅な好転がない限り、サイバーセキュリティ業界のスタートアップ企業がベンチャーキャピタルから調達する資金の額は、2019年以降で最低となるペースだ。2019年には88億ドルの資金調達が行われていた。

 2023年は市場の混乱が続きDragosやSecureworks、Sophos、Okta、Rapid7、Malwarebytesなど複数のサイバーセキュリティ企業がレイオフを実行した(注3)(注4)(注5)(注6)。それにもかかわらず、サイバーセキュリティに対する世界的な支出は増加の一途をたどっている。

 Gartnerによると、セキュリティとリスク管理への支出は、2024年に2150億ドルに達し(注7)、2023年から14%増加すると予測されている。

 格付け機関事業を営むMoody'sによると(注8)、技術予算の中でサイバーセキュリティに割り当てられる資金の割合も増加している。組織は「2023年には、技術予算の中で中央値である8%をサイバーセキュリティに充てる」と回答しており、これは2019年の5%から増加している。

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