Amazonは以前から業務におけるテクノロジーの活用を強化しており、現在では75万台以上のロボットを保有している。ロボットによって人間の雇用は奪われるのだろうか。
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Amazonは2023年10月、米国シアトルにあるロボット研究開発拠点で「Digit」と名付けられた2本足のロボットを試験運用する予定だとブログで発表した。Amazonはロボットを初期段階としており、まずは倉庫内の空のコンテナを拾い上げたり移動させたりするために使用するという(注1)。
このロボットは米国オレゴン州コーバリスを拠点とするAgility Roboticsが開発したものだ。Amazonはこれまで「次世代技術への投資の一環」として、10億ドルの産業革新ファンドを通じてAgility Roboticsに投資してきた(注2)。
Amazonのスコット・ドレッサー氏(ロボティクス部門 バイスプレジデント)は2023年10月18日(現地時間)に同社のWebサイトで「Digitは倉庫内にある商品を移動させられる。(Digitの)サイズと形状は人間のために設計された建物に適している」と述べた。
Amazonは以前から業務におけるテクノロジーの利用を強化しており、現在では75万台以上のロボットが同社の従業員と共に働いている。
米連邦準備制度理事会(FRB)の政策担当者は、2023年6月に発表した予想よりも長期にわたって高金利を維持する方針を示しており、「CFO Dive」によれば同年9月のAmazonにおける雇用者数は33万6000人と急増した(注3)。
Amazonはホリデーシーズンの需要に対応することを目的に、米国テキサスにあるフルフィルメントセンターの1つで新しいロボットシステム「Sequoia」(セコイア)を稼働させている。
また、Agility Roboticsは2023年9月、米国オレゴン州に年間1万台以上のロボットを生産できる工場を建設すると発表した(注4)。
同社は「Digitは人のために設計された空間で、安全かつ有用な業務を行えるように一から設計されている」と述べており、初期用途には倉庫や配送センター内でのバルクマテリアルハンドリング(乾燥したマテリアルを処理するために使用される機器の設計に焦点を当てた工学分野)を含むとしている。Digitは2025年に一般市場に公開される予定だ。
Amazonは、2022年の事故率が前年比で15%、休業事故率が18%減少したとしており、ロボットの使用による安全上の利点を強調した。また、同社は「数十万ものロボットシステムを構築すると同時に、社内では数十万もの新たな雇用を創出している」と述べている。
一方、「ロボットが人々の雇用を奪う」という声もある。
「BBC」の報道によると、英国の労働組合「GMB」の組合統括者であるスチュアート・リチャーズ氏は、Amazonのロボットによる自動化を「雇用喪失へまっしぐら」と表現し、「フルフィルメントセンターではすでに何百もの雇用がロボットによって失われている」と指摘したという(注5)。
しかし、Agility Roboticsのダミオン・シェルトン氏(共同設立者兼CEO)は、「Digitはけがや過労、高い離職率、埋められない労働力不足などの問題を解決するものであり、最終的には人間がより人間らしくいられることを実現する」としている。
(注1)Amazon announces 2 new ways it's using robots to assist employees and deliver for customers(Amazon)
(注2)Introducing the $1 billion Amazon Industrial Innovation Fund(Amazon)
(注3)Robust hiring persists despite credit tightening(CFO Dive)
(注4)Agility Robotics Launches Next Generation of Digit: World’s First Human-Centric, Multi-Purpose Robot made for Logistics Work(Agility Robotics)
(注5)Amazon trials humanoid robots to 'free up' staff(BBC)
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